ステンレスのフライパン
卵焼き料理を作るためのフライパン(卵焼き器

フライパン(frying pan)は、主に焼く炒めるなどの調理法で用いる調理器具であり、片手鍋(クッキングパン)の一種。ソテーパン、もしくはスキレット(skillet)と呼ばれることもある。元来の英語としての"fry"はフランス語ソテーや若しくは中国語(バオ)とほぼ同一の意味である。

概要編集

鍋の中では、比較して浅く径が大きい事が特徴。胴部が外側に傾斜している物が多い[1]。浅い為に、容積が少なく、一般的には焼く、炒めるなどの用途に使われ、食用油を入れて揚げる事や、水を入れたりをする事によって蒸す調理にも使用される。一般的にはが付属していないことがあるものの、蓋をして調理することもある。

鉄のフライパンは、使用時に金属臭(金気)が出るのを防ぐため使い始める際に油焼きの処理が行われることがある[1]

素材など種類も多く、ステンレスアルミニウム琺瑯びきなどがある[1]。さらに金属の表面にコーティング(多層もある)するフライパンが存在する。また、素材自体の特徴を利用するものがあり、熱間圧延鋼板を使用したものは「黒皮鉄」などと呼ぶ。底が波打った四角いフライパンを「グリルパン」(grill pan)と呼ぶ。

柄は、金属や木が使用される。本体にネジ止めしたものがあるが、厚い鉄板をV字型に加工した上でリベットや溶接で固定する事もあり、またパイプ状の物を使用する事もある。柄の内部が空洞になっている場合、柄の根元に水や空気を抜くための小さな穴が開いている[2]

メソポタミア文明の遺跡から製のフライパンが出土している。

材質編集

編集

鉄フライパンは、なじみが良いうえ熱容量が大きく[3]、かつ耐摩耗性と強度も高いため、古くから多用されてきた。プロの調理人が使用する業務用フライパンが多く[4]、料理好きな人も使用している事がある。鉄は酸化(の発生)が起こる事から、気遣いが必要である。鋼板をプレスして成型したものと鋳鉄製のものに分けられる。現在では、電磁調理器で使えるというのも利点として挙げられる。

アルミニウム編集

アルミニウム製のフライパンは、家庭用にも広く普及している。軽いが油のなじみが悪く、酸によって腐食する。また熱容量が小さく、摩擦に弱いなど耐久性でも劣っている事から焦げ付きやすく、表面をフッ素樹脂でコーティングしたり、鋳造によって肉厚に作ることで、熱容量の小ささと焦げ付きやすさを補う製品がある。プロ用はAS3905/AS3905硬質アルミを使用して耐食・耐摩耗性を上げた製品がある。キャンプ用に軽さを重視したアルミ板をプレス加工した製品もある。熱伝導率が鉄の約3倍あるため、鍋全体に熱が伝わりやすいのはアルミニウムの利点である。

チタン編集

軽いチタン製も出回っているが、高価である。他の素材とは扱い方が異なる。軽さと耐食性を生かして野外での活動時に携行するのに適しているが、薄い上に熱伝導率が鉄の約1/4しかないため、炎の当たる部分が焦げ付きやすい。

表面加工編集

フッ素樹脂加工編集

特徴編集

分子中にフッ素原子を含むフッ素樹脂には、摩擦性が低く、耐熱性に優れ、燃えにくい性質がある[5]。このフッ素樹脂でコーティングを施し焦げ付きや汚れを防止したものがフッ素樹脂加工である[5]

フッ素樹脂加工に利用されるフッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)である[5]。例えばデュポン社のテフロン(テフロン加工)はポリテトラフルオロエチレンを利用している。

フッ素樹脂加工のフライパンでは空焚きに注意する必要がある[5]。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)の使用上限温度は260℃で、350℃を超えると熱分解が起こり、有害な粒子状物質やガスが発生する危険がある[5]

また、フッ素樹脂は傷つきやすいため、金属製のへらや研磨剤入りのクレンザーなどの使用は避ける必要がある[5]

マーブルコート・ダイヤモンドコート編集

フッ素樹脂の耐久性を向上させるため、大理石の粒子を混ぜたマーブルコートや人工ダイヤモンドの粉末を混ぜたダイヤモンドコートのフライパンもある[6]

アルマイト加工編集

エンボス加工編集

エンボス加工は表面に凹凸の加工を施した製品である。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 社団法人全国調理師養成施設協会編『改訂調理用語辞典 カラー版』 1999年、1044頁
  2. ^ 「フライパン 〜小さな穴の大きな秘密〜」”. ど〜なの?DJ. 東北放送 (2012年6月27日). 2013年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月14日閲覧。
  3. ^ フライパン倶楽部「アルミニウムは同じ体積で比べると、比較的軽くなりますので、比熱が大きくても、質量は小さくなります。 この熱容量から考えると、結果としては、厚手の鉄フライパンなども相応しいでしょう。」
  4. ^ アカオ日本製 業務用 鉄黒皮・Feパン 18~45cm 熱間圧延鋼板(黒皮)・鉄
  5. ^ a b c d e f ちょっと注目『ふっ素樹脂加工フライパンの空焚きに注意』 アクティビティノート第247号(2017年9月) 一般社団法人日本化学工業協会、2020年3月3日閲覧。
  6. ^ フライパンの選び方 リビングアンドヘルス、2020年3月3日閲覧。

関連項目編集