ボー (baud、略記ではBd) は、変調レート英語版単位である。ボーは、搬送波に対する1間あたりの変調の回数と定義される。

ボー(baud)
デジタル変調の例
記号 baud
MKScgsfps
変調レート
定義 伝送波に対する1秒間あたりの変調の回数
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「ボー」という用語は、フランスの電信技術者エミール・ボドー(Jean-Maurice-Émile Baudot )の姓「Baudot」の最初の4文字に由来する。[注釈 1]

変調レート 編集

ビットレートを各シンボルで送信できるビット数で割った値を変調レートという。シンボルレートやボーレートともいう場合がある。

変調方式 信号数 変調レートあたりのデータ転送レート 画像
BPSK 2 1  
QPSK 4 2  
8QAM 8 3
16QAM 16 4  
32QAM 32 5
64QAM 64 6
128QAM 128 7
256QAM 256 8

bpsとの混同 編集

 
16QAM変調の例。1回の変調で4ビットが送られるため、ビットレート値(bps)はボー値の4倍になる。

ボーとデータ転送レートを表すbps(ビット毎秒)は本来は異なる概念である。例えば、被変調波の伝送する1回のパルスが変調信号の1ビットに対応する場合、1baudのときのデータ転送レートは1bpsとなる。被変調波の1回のピークが4ビットの情報に対応する場合、1baudでも転送効率は4bpsである。

ところが、転送レートのことをボー・レートと呼ぶような誤った用法が過去には存在し、現在もその名残が見られることがある。その理由は、かつては1回の変調で1ビットを転送するために、変調回数と転送効率が一致するシステムが多かったためである。しかし、今日では、帯域幅を効率的に利用するために1回の変調に複数のビット(たとえば4ビット)をコード化するのが一般的であり、変調回数と転送レートとは数字的には一致しないことのほうがむしろ多いので、注意が必要である。

以下にパソコン通信時代に広く普及した代表的なモデムのbpsとボーの関係を説明する。

たとえば、四位相偏移変調 (QPSK) によって1回の変調で2ビットが処理されている通信速度1200bpsのモデムは、600ボーである。また、9600bpsのモデムでは多くの場合変調方式は16QAMであり1回の変調で4ビットを送り出し変調レート2400ボーで済み[1]、64QAM変調方式では1回の変調当たり6ビットであり、2400ボーでは6倍の14,400bpsの通信速度を得られる[2]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ フランス語ではauを「オー」や「オ」と発音するので、bauは「ボー」である。フランス語では最後の子音は読まないパターンも多いのでbaudと書いて「ボー」と読む。「Baudot」の最後の「 t 」も発音しない。
  1. ^ 16QAM”. 通信用語の基礎知識 (2007年3月11日). 2009年2月27日閲覧。
  2. ^ 64QAM”. 通信用語の基礎知識 (2007年3月11日). 2009年2月27日閲覧。

外部リンク 編集