ミシン
ミシン(英語: sewing machine)は、織物・紙・革(かわ)などを縫い合わせる機械[1]。

概要編集
ミシンは、「織物(布)、皮、紙などを糸で縫い合わせるのに用いられる機械」である[2]。
原理編集
ミシン針は手縫い用の針と異なり、針の先端付近に針穴がある。まず針穴に糸(上糸)を通した状態で針が布を貫通する。次に針が布から抜かれるが、このとき針・糸間の摩擦力よりも糸・布間の摩擦力の方が大きいため、糸は布の下面にループの形で余った状態になる。このループに下糸等を通して上に抜けないようにすることで糸が抜けない縫い目が形成される。
代表的な縫い方式を示す。
- 本縫い
- 単環縫い
- 二重環縫い
- 縁かがり縫い
- 扁平縫い
- 安全縫い(インターロック)
- 本縫い
本縫いは上糸のループに下糸をくぐらせる方式である。解けにくく強度に優れる。伸縮性は乏しい。
通常の家庭用ミシン(本縫い&下送り)の場合、布の上から、穴のあいたミシン針の穴に通された糸(上糸)が、針ごと布を貫通する。布の下には別に下糸があり、貫通した際に2つの糸を交差させ、縫い目をつくる。ミシン針が上に戻った際に、布をわずかにずらし、再び布に針を刺す。この動作を機械により連続的に行うことにより、縫い目が作成される。各部品には釜、天秤、送り歯、など独特の名前が付けられている。
上糸が下糸の入ったボビンを回る必要があるため、連続して縫える量はボビンに格納できる下糸の量によって決まる。
- 単環縫い
一本の針と一本の糸で縫う方式。糸が切れた場合に連続して解けやすい。
一つ前の縫い目のループの中に次の縫い目のループを通すことにより、糸の抜けを阻止する。
布を前後に移動させる機構の動画。ギザギザの部分が上に上がり前後に移動することで布を移動させる。針の上下のリズムと布を送る機構は同期しており、針が布から抜けて上に上がっている間だけ布を移動させ、針が下りて布を貫通し下側の機構と糸のやりとりをしている間は布を移動させない。
呼称編集
日本語表記は、英語のsewing machine(ソーイング・マシン)の「machine」の音を示したもの[3]であり、「裁縫ミシン」[4][5]の略が一般化した。「略訛[1]」とも。
種類、分類編集
種類は多く、さまざまな分類法がある。
ひとつには、動力に焦点をあてて 人力ミシン / 電動ミシン と分類する方法がある。
その他に使用目的や使用分野によって、布などを単に縫いあわせるためのありふれたミシンを単に「ミシン」と呼んでおいて、他の特定の使用目的のミシンを呼び分けるということが行われている。たとえば布の端を始末する(布の端を自動ハサミでカットしつつ布端を糸で抑え込むように縫い合わせる)ミシンはロックミシン、皮革も縫いあわせられるほど機構が丈夫でモーターのパワーも強いミシンをレザー用ミシン(レザークラフトミシン、皮革用ミシンなどとも)、ボタンつけ専用のボタン付けミシン、刺繍全般用の刺繍ミシン、文字(ネーム)の刺繍専用でコンピュータ制御で指定した文字を自動的に刺繍するネーム入れミシン、製靴(靴づくり)に使う(靴のカカト部分に入るほどに「テーブル」部分が極端に小さい)製靴用ミシン、畳を縫う畳用ミシン、しるし付け用ミシン などがある。
一般家庭で裁縫の初心者 - 中級者などが使うための基本的な機能を備え(使用後は押入れなどにしまっておける程度にコンパクトな)ミシンを「家庭用ミシン」と呼び、家庭用ミシンよりも性能が高くていわゆる「仕立屋」「縫製職人」「テーラー」などが職業的に縫製を行うためのミシンを「職業用ミシン」などと呼び、さらに工場などで使うための特定の目的や工程に特化したミシンなどを「工業用ミシン」や「産業用ミシン」などと呼び分けることも行われている。
ほかにも、布をあわせる原理が根本的に異なる、縫い糸を使用せずに高熱で溶接するミシンは高周波ミシンと分類している。
- 動力源による種別
- 人力ミシン
- 足踏み式や手回し式などがある。足踏み式ミシンとは、人の足先の上下反復運動を回転運動へと変換する仕組みのもので、踏板・ピットマン棒・ピットマンクランクなどの機構を持つミシンである(フットスイッチでオン・オフする電動ミシンではない。)。1960年代までは足踏み式のミシンが主流であった。電気の無い地域でも使えるので、最近その価値が見直されている。
- その他にも、「ハンドミシン」といわれるステープラーのような形をした、片手で持って操作するような小型のミシンがある。
- 電動ミシン
- 近年では、電動式(=電動機を動力源とする)ミシンが主流となっている。一般に、電気で動くミシンは、さらに「電動ミシン」「電子ミシン」(電子速度制御ミシン)「コンピューターミシン」などに大別されている。
歴史編集
アイザック・シンガー(左)および彼が1854年に特許を取得したモデル(右)。
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1589年、イギリスで、ウイリアム・リーが編み機を発明する。
1755年、ドイツ出身でイギリスで活躍した医師ヴィーゼンタール(Charles Fredrick Wiesenthal)が、1790年、同じくイギリスのトマス・セイント(Thomas Saint)がそれぞれ別の仕組みのミシンを発明。ただし、どちらも量産はされなかった。
1810年、ドイツの靴職人クレムス(B. Krems)が針先端付近に針穴がついたミシン針を発明。近代ミシンの原理の基礎となる。
この後、フランスのバルテルミ・ティモニエ(Barthélemy Thimonnier)が1830年に特許をとったミシンが、軍服を縫う目的で1840年に80台生産されたが、失業を恐れた他の仕立て屋によって工場ごと焼き討ちにされたという有名なエピソードが伝わっている。
アメリカ人のウォルター・ハントは、現在のミシンとほぼ同じ構造の、ミシン針の先端に穴があいていてそこに上糸を通すしくみのミシンを1830年代はじめに発明したが、特許をとらなかったため、この後、複数の業者による特許紛争の原因になった。ハントとほぼ同じ構造のものが、ハントの発明の後に同じアメリカのエリアス・ハウによって特許がとられている。
1850年、アイザック・メリット・シンガーは現在とほぼ同じ構造のミシンを発明。翌年特許をとり、I. M. シンガー社(のちのシンガー社)をつくった。
日本のミシン史編集
1854年にペリーが2度目の来航をしたときに、将軍家にミシンを送ったというものがもっとも古い記録である。この後、1860年にはジョン万次郎がアメリカからミシンを持ち帰っている。ちなみに、日本で最初にミシンを扱ったのは、天璋院だといわれている。
ミシンが普及をはじめるのは明治期になってからである。初期は輸入のみで、修理などを通じて技術を取得した技術者によって、徐々に国内生産が開始された。最初の製造業者は、江戸時代までは大砲職人であった左口鉄造であるとされ、1881年に東京で開かれた第2回内国勧業博覧会に国産ミシン第1号として展示された。
日本のミシン製造の量産は、1921年に創業したパイン裁縫機械製作所(現・ジャノメ)によってはじめられた。このころ(大正時代)から、日本でもミシンの量産がはじまった。ただし、量・質ともに、シンガーなどの輸入品にはかなわなかった。
しかし、外国製品は故障が多く、加えて品質が安定していない点に、ミシンの修理で生計を立てていた安井正義、實一兄弟(ブラザー工業創始者)が着目。彼らは、性能の良い国産ミシンは売れると確信し、製造に着手した。1928年(昭和3年)に「麦藁帽子製造用環縫ミシン」を発表し、販売し始める。発表年に因んで「昭三式ミシン」と呼ばれ、全く壊れないと大評判となり注文が殺到し、安井兄弟のミシンは瞬く間に広がった。耐久性の秘密はその「造り」にあると云われ、針があたっても壊れないよう「糸受け」を硬く加工しながらも内部に柔らかさを残す為、「浸炭焼入れ技術」という独自の方法を採用した。
第二次世界大戦が始まると家庭用ミシンの製造は禁止され、戦時中、ミシンは軍用ミシンのみが製作されることになる。
1945年に終戦を迎えると、ミシンの需要は飛躍的に増大した。ミシン工業は、戦災焼失による復元と、洋裁の普及による内需の増大に支えられて急速に復旧し、軍需工場の転換などもあつて、技術的にも高度のものとなった。繊維製品(既製服)が日本の輸出品になったことも大きかった。1947年、家庭用ミシンの規格が統一され、1948年から規格に基づいた製品の出荷が始まった。
また、国内販売分だけでなく、ミシンそのものも重要な日本の輸出品となり、船舶につぐ主要な機械輸出製品の地位を確保するに至った。ミシンの生産に対する輸出割合は、1950年(昭和25年)以降は概ね50%を越え、特に1954年(昭和29年)以降は70%以上となった。輸出はアメリカ合衆国向けが最も多く、輸出先は世界各国の半分程度を占めていた。ただし、特にアメリカ合衆国からダンピングの非難を受け、1956年(昭和31年)には輸出価格の大幅な引下げが行われ、輸出ミシン調整組合による輪出数量の調整を行わざるを得なくなった。輸出額は1950年の172億円から1955年には805億円に成長したが、1956年には384億円まで縮小した[8]。
ミシンは工業用のほか、家庭用が多く作られた。その理由として、当時、日本の既婚女性の多くは家庭外で労働しなかったため、内職に使用することで副収入を得られるミシンが嫁入り道具として多く使われたことも大きい。ただし、国内ミシンメーカーの家庭用ミシンの工場が、1970年あたりを境として中国や台湾などに移転し始め、現在は高級機種等を除き、国内では家庭用ミシンはほとんど製造されていない。さらに、近年、工業用ミシンも低コスト化やアパレル産業の海外への移管などもあって、海外製造にシフトし始め減少傾向にあるが、ミシンは精密機械であるため、高精度の金属加工技術が要求され、部品の多くは依然日本で製造されている面もある。 しかし、コストダウンのため海外(特に中国)で精密部品を生産することが主流である。
足踏みミシン編集
足踏み式ミシンとは、人の足先の上下反復運動を回転運動へと変換する仕組みのもので、踏板・ピットマン棒・ピットマンクランクなどの機構を持つミシンである(フットスイッチでオン・オフする電動ミシンは足踏み式ミシンではない。)。1960年代までは足踏み式ミシンがミシンの主流であった。
電動式ミシンの登場によって次第に使われなくなっていった。だが一旦足踏み式の熟練者になった者の中には、あえて電動ミシンを使わず、足踏みミシンを好んで使う人もいる。熟練者だと、足先の微妙な感覚などでクランクの細かい角度、クランクを停止させる位置まで自分の身体の一部のようにコントロールでき、針を望んだ位置でピタリと停められ、また足だけで逆回転に入れることもできるからである。
- とは言え、それは熟練者の場合であって、慣れるまでがかなり大変で、初心者・中級者には電動ミシンのほうが簡単なので先進国ではほとんど使用されなくなった。だが、足踏みミシンは電気が不要なことが発展途上国内の電力供給のない地域での使用に有効なことが再評価され、NGOの努力などにより収集され、発展途上国の人へと無償で譲渡されることが行われている。
家庭用ミシン編集
家庭の部屋に置け、現代のものは通常、電気を動力源としている。古くは足踏み式や手回し式のものが多く使われ、直線縫いしか出来なかった。電気式のものは足元のフットコントローラーあるいは手元のパネルを用いて調節しながら駆動する。
家庭用ミシンは直線縫いの他に、多種類の模様縫いやボタン穴かがり、刺繍などのできる機能もある。模様縫いは、かつては「カム交換式」であったが、現在は「カム内蔵式(ダイヤルで切り換え)」か「コンピューター式(ボタンで選択)」となっている。最近のものは、一般に持ち運びでき、水平釜で自動糸調子や自動糸切り機能を搭載しているものも多く、使い勝手を中心に改良されている。ミシンを使うハードルが下がってきて、誰でも簡単に使えるようになってきた。
縫い速度はそれほど速くない(最高約700〜1000針/分)。
しかし家庭用であるがゆえに「低価格・高機能(縫い模様の多種類化、オールマイティ性)・操作の簡易化・軽量化」などといった相反する要素が求められ、その進化の過程でいささか無理が出てくるようになってきた。その一例が、プラスチックの多用・電子回路の採用・機構の複雑化である。
戦後にごく一般的に使われていた黒い家庭用ミシンは、JIS規格によって寸法や材質などが定められており、使われている部品にはある程度の汎用性があった。しかし現在のミシンは電子化・複雑化(→ブラックボックス)している上、パーツについてもミシンの多様化に伴ってメーカーが各機種ごとにパーツを独自製造する一方で旧製品のものは在庫枯渇・絶版になりがちである。つまり「壊れても技術的にユーザー自身や町の販売店レベルでは手に負えず、高額なメーカー修理となってしまう。最悪の場合、パーツが手に入らないためメーカーですら直せない。」という状況であり、1台のミシンの使用年数低下に拍車をかけている面がある。
もっとも、このような「多様化やブラックボックス化に起因する整備性の悪化、低寿命化」という問題は乗用車や家電、パソコンなどといった家庭用機械類においては半ば当然のように発生している状況であり、ミシンに限った話ではない。
また、近年は既製服の値段も非常に廉価になり、ミシンそのものの需要が減少してきている。この為(単機能での性能を追求すればいいことの多い職業用や工業用のミシンに比べ)「開発が難しい上に売れない」、経営を成り立たせるのが非常に難しい商品であると言われている。大手メーカーでも家庭用ミシン関連部門は非常に厳しい経営状況であり存続が常に問題視されている。
職業用ミシン編集
仕立て屋やミシンの使用頻度の高い(洋裁をするような)個人向けの直線縫い専用ミシン。工業用ほどは巨大ではなく、特に最近のポータブル型職業用ミシンは軽金属を用い、持ち運びも出来るようになった。家庭用で使われる2倍程度の速度(最高約1500針/分)で縫う事が出来、直線しか縫えないので構造が比較的簡単で、その分故障も発生しにくい。工業用ミシンほどではないが、各種業務にも使われるので高精度のミシン製造・金属加工技術が要求され、直線縫いだけにも関わらず比較的高価である。また、豊富な工業用アタッチメントの一部や工業用ミシン針が利用出来る。ジーンズなどの厚物でも、家庭用ミシンより綺麗に縫製出来る。
過去にはジグザグミシンもあった。
ハンドミシン編集
(小型)ロックミシン編集
裁ち目かがり(布の裁断面を、ほつれないよう包み込むように縫う)専用のミシン。ロックとは布の端をロックする(閉じる)の意味。通常のミシンのような直線縫いはできず、布の端だけを縫うことができる。仕様によって、糸を2本、3本、4本、5本使うものがある。小型ロックミシンは職業用的に使われていたが、洋裁をする人を中心に普及しつつある。最近は、カットアンドソー (cut and sewn) といって、ニット地の縫合せにも用いられる。
家庭用ミシンと同じように樹脂部品が多くなり、難しいルーパー糸通しまで自動的にできる機種も出てきている。しかし、それ以外も含めて構造がかなり複雑になっている。便利さとメンテナンス性や耐久性とは、トレードオフの関係にある。
(小型)ロックミシンは、主にオーバーロック (overlock) 専用機を指すことが多いようであるが、カバーステッチ (coverstitch) 専用機もある。オーバーロックとカバーステッチの両方が可能な複合機もある。
工業用ミシン(産業用ミシン)編集
主に縫製(既製服)工場に備え付けられたもので、直線縫い、かがり縫い、ボタン付け用など用途ごとに専用ミシンがある[2]。大型で重いために移動はきわめて困難である。各縫製工程を綺麗に便利に高速に縫うことが出来るように特化しているために、1台でただ1種類の動作しか行うことができない。高速対応性は、針熱対策や自動給油システムや太い軸径、適した釜方式等の多く要素によって支えられている。また、低速な工業用ミシンもある。工業用ミシンの具体的な種類には、直線縫い専用ミシン、ボタン穴かがり専用ミシン、刺繍専用ミシン、すくい縫いミシン、インターロックミシン、オーバーロックミシンなどがある。
主なミシン製造業者編集
- 日本
- ヤマトミシン製造 - YAMATOブランド。高品質、高機能な工業用環縫いミシンを開発・製造・販売。
- 森本製作所 - KANSAI SPECIALブランド。工業用特殊二重環縫ミシン世界シェア1位。
- ブラザー工業 - 工業用・家庭用ミシン全般が得意。
- ジャノメ - 主に“ジャノメミシン”ブランドで展開。家庭用ミシンが得意。
- JUKI - 工業用・職業用ミシン・小型ロックミシンが得意。
- babylock
- ベビーロック(旧ジューキ) - ロックミシン(鈴木製作所製)と職業ミシン(蛇の目製OEM、ブラザー製OEM)を販売している会社。上記JUKIよりスピンアウト。その後ジューキからベビーロックに社名変更した。
- 鈴木製作所 - 家庭用小型ロックミシン・ベビーロックを開発・製造しているメーカー。
- ジャガーインターナショナルコーポレーション - ジャガーミシンを販売。2001年には「世界初」を謳うゲームボーイカラーの刺繍用ソフト『マリオファミリー』を発売[注釈 1]。
- アイシン販売 - トヨタミシンを販売(製造はアイシン)
- ハッピージャパン - 家庭用ミシンを得意とする。元はジャノメの下請けだったが、1946年に自社製造のミシン「ハッピーミシン」の製造・販売を開始。1990年代にシンガーミシンのOEM生産を開始し、2000年以降は国内における販売元となった。2021年、20年ぶりに自社ブランドのミシンを発売。
- シンガー日鋼(現存せず) - 日本製鋼所により「パインミシン製造所」として設立。その後米シンガー社との合弁となりシンガーミシンのブランドで製造・販売を行っていたが、2000年に事業を停止し解散した。
- ペガサスミシングループ - ペガサスミシンを製造・販売している会社グループ。環縫いミシン専業で世界シェア1位。徳島・上板町にある子会社の美馬精機等でも製造を担当。
- リッカー販売(旧リッカーが倒産し、ダイエー(現在はイオン傘下)がスポンサーとなったが、ミシン製造からは撤退。現在はダイエーオーエムシー→オーエムシーカード→セディナ→SMBCファイナンスサービスに吸収)
- 三菱電機(名菱テクニカ) - 工業用ミシン
- バルダン - 工業用自動刺繍ミシンのトップメーカー。
- セイコーミシン - 厚物用工業ミシンに特化したメーカー
- 株式会社TISM・タジマ工業 - 同じく工業用自動刺繍ミシンのトップメーカー。バルダンと世界市場を二分している。
- アックスヤマザキ
- コントロールミシン
- その他
ギャラリー編集
ロックミシンで縫った布端の例。ロックミシンは布の端をハサミ状の機械で自動的に切断しつつ、糸が布端をまわりこむように縫い合わせてくれる。おかげで縫い合わせた布を使いつづけても布の端がバラけてこない。似たような布端の処理は、家庭用の普通のミシンでも一応可能であり、あらかじめ布に(切断予定の)線を引いて「ジグザグ縫い」の片方の端がその線の上にくるように縫い合わせてから、縫い糸を切断しないように注意しつつ予定線のあたりをハサミで丁寧に切り落としても一応実現可能なので、一般家庭の初級~中級者はロックミシンはわざわざ買わずに済ますのが一般的だが、職人は大量に速く作業しなければならないのでロックミシンを使う。
他編集
ミシンを使って縫った「縫い目の形」を「ミシン目」と呼ぶ。
また、紙などに空けた「切り取り用の破線状の孔」も同じような形をしていることから、「ミシン目」と一般に呼ばれるようになった。破線そのものを指して「ミシン目」と呼ぶ場合もあり、これらは短縮されて単に「ミシン」と呼ぶ場合がある。但し、切手や収入印紙などに施されたものは目打と呼ばれる。
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ a b 広辞苑第六版「ミシン」新村出 2008。
- ^ a b c d 意匠分類定義カード(K5) (PDF) 特許庁
- ^ マシンがなぜミシンか? エッセイ《英語と日本語のふしぎな関係》(11) 山川学而
- ^ (魚住清記 1916)
- ^ (吉田元 1965)
- ^ 落合直文著・芳賀矢一改修 「みしん」『言泉:日本大辞典』第五巻、大倉書店、1928年、4434頁。
- ^ 『言海 : 日本辞書. 第1-4冊』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ^ 「日本の輸出産業4 ミシン」、昭和32年2月1日官報(資料版第9029号)。
- ^ M.B.MOOK『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』 (ISBN 9784866400259)、50ページ
- ^ ミシン大手の上工申貝、ドイツの同業パフを買収 日本貿易振興機構、2013年3月25日配信。
参考文献編集
- 鎌田佳伸「やさしい繊維基礎講座 ミシン縫製の科学」『繊維学会誌』第60巻第2号、2004年2月、34-37頁、doi:10.2115/fiber.60.P_34、NAID 80016393329。
- 中山千代「竹口喜左衛門信義『横浜の記』の研究 : ミシン初伝をめぐって」『大妻女子短期大学研究紀要』第21号、1977年12月、NAID 110001188712。
- 魚住清記「和洋裁縫ミシン裁断教授書」、一書堂書店、1916年、NDLJP:966071。
- 吉田元「裁縫ミシン」、家政教育社、1965年、全国書誌番号:65006945。
- 新村出, ed. (2008). "ミシン". 広辞苑 (6 ed.). 岩波書店. ISBN 978-4-00-080121-8。
関連項目編集
- おとり商法 - ミシンの訪問販売に多い。
外部リンク編集
- JUKIミシン博物館…ミシンの種類、歴史など
- 日本大百科全書(ニッポニカ)『ミシン』 - コトバンク
- ブラザー クラフト日和…ハンドメイドが楽しくなる手作り情報