ムスクキシレン(ムスクキシロールとも。: Musk xylene)は、合成ムスクの一種。

ムスクキシレン[1]
識別情報
CAS登録番号 81-15-2 チェック
PubChem 62329
ChemSpider 56123 チェック
EC番号 201-329-4
国連/北米番号 2956
KEGG C19462 ×
MeSH musk+xylene
ChEBI
ChEMBL CHEMBL228513 チェック
特性
化学式 C12H15N3O6
モル質量 297.26 g mol−1
精密質量 297.096085227 g mol−1
外観 黄色の結晶
匂い ムスク香
融点

110 °C, 383 K, 230 °F

への溶解度 150 ng dm−1
溶解度 アルコールに微溶、プロピレングリコールグリセリンに難溶、調合香料に可溶[3]
log POW 4.369
蒸気圧 9.7 mPa (at 40 °C)
危険性
EU分類 爆発性 E 有害 Xn 環境への危険性 N
EU Index 609-068-00-1
Rフレーズ R2, R40, R50/53
Sフレーズ (S2), S36/37, S46, S60, S61
引火点 2℃
発火点 305–341 °C
関連する物質
関連するニトロムスク ムスクアンブレット
ムスクケトン
関連物質 トリニトロトルエン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途 編集

光により変色する性質があるものの安価で香りが強く、石鹸用など多くの調合香料に使われたが、生分解性の低さによる生物蓄積の懸念から1980年代を境に消費量が減少し、欧州連合ではREACHの規制を受け、日本でも使用が不可となっている[3]

製法 編集

メタキシレンから塩化アルミニウム触媒としたフリーデル・クラフツ反応により2-クロロ-2-メチルプロパンまたはイソブテンで5位にtert-ブチル基を導入し、硝酸硫酸混酸ニトロ化し、粗生成物を95%のエタノール再結晶化して得られる[4]

 

安全性 編集

ニトロ化合物であり、日本の消防法では危険物第5類(自己反応性物質)に分類される[5]国際がん研究機関は本物質の発癌性グループ3(ヒトに対する発癌性が分類できない化学物質)としている。

脚注 編集

  1. ^ Section 1.3, European Union Risk Assessment Report (2005), pp. 6–7.
  2. ^ musk xylene - Compound Summary”. PubChem Compound. USA: National Center for Biotechnology Information (2005年3月26日). 2011年10月28日閲覧。
  3. ^ a b (印藤 2005, p. 408)
  4. ^ (湖上 1995, p. 130)
  5. ^ 5-tert-ブチル-2,4,6-トリニトロ-m-キシレン東京化成工業

参考文献 編集

  • 湖上国雄『香料の物質工学 -製造・分析技術とその利用』地人書館、1995年、130頁。ISBN 4-8052-0491-5 
  • 印藤元一『合成香料 化学と商品知識』化学工業日報社、2005年、408頁。ISBN 4-87326-460-X