レコード芸術

日本の雑誌

レコード芸術(レコードげいじゅつ)は、かつて音楽之友社が発行していた、クラシック音楽レコード(現在はCDまたはDVD)専門の月刊誌。通称レコ芸

レコード芸術
THE RECORD GEIJUTSU
愛称・略称 レコ芸
ジャンル 音楽
読者対象 クラシック音楽ファン
刊行頻度 月刊
発売国 日本の旗 日本
言語 日本語
定価 1,400円
出版社 音楽之友社
ISSN 0289-3614
雑誌名コード 09603-02
刊行期間 1952年3月(3月号)- 2023年6月(7月号)
ウェブサイト 公式サイト
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1952年創刊。2023年6月20日発売の7月号を以って休刊となった[1]

歴史 編集

創刊された1952年はLPレコードが日本で初めて発売された翌年である[2]。まだLPプレイヤーがあまり出回っておらず、新譜はSPのほうが多かった。1958年8月1日、日本ビクターから日本初のステレオ盤LPが発売[3]。60年代になると、学校の音楽室や家庭にも、セパレート型ステレオが出回り始めた。

1969年にクラシックの千円盤が登場すると、ステレオセットも一般家庭に普及し、カラヤンベームなどの大物演奏家が来日、クラシック・ファンが増加し、また、中学・高校生など、若い世代の読者も増えた。

2009年1月号で、創刊700号となった。 2010年1月号から、「吹奏楽」部門を新設した。2015年4月から、定期購読者へのサービスの一環として、ウェブサイト「レコード芸術クラシック・データ資料館」の公開を開始した。

2023年4月3日に、同年6月20日発売の2023年7月号を以って休刊する旨の発表があった[1]。音楽之友社の取締役常務執行役員である大谷隆夫は、日本経済新聞に対し「クラシック界全体の問題でもあるが、若い読者を育てることができないままに(ここ数年赤字が続く)厳しい状態に陥った」と語っている[4]。なお、音楽評論家の沼野雄司らは、『レコード芸術』の存続を求めて署名活動を行い、1週間でファンや音楽家ら3,000人の賛同を得た[4]

内容 編集

メインは、最近一ヶ月間に発売されたCDおよびDVDの新譜批評である。交響曲管弦楽曲協奏曲などの部門に分かれ、各部門二人ずつで批評し、二人が推薦マークをつけたメディアは特選盤となる。国内のクラシック音楽レコード批評では、朝日新聞の「試聴室」とともに、よく知られているものである。

そのほかに、演奏家や作曲家などをテーマにした特集が組まれており、海外版の試聴記や、クラシック音楽に関する随筆、演奏会の案内など、レコードを中心にクラシック音楽を楽しんでいる人たちの情報誌として編集されている。

1996年3月号から、発売されるCDの「さわり」を収録した試聴CDが付録として添付されていた。2012年5月号からは、『蔵出し』の遠回し語である『インテルメッツォ・アーカイブ』のコーナーが設けられた。このコーナーは、月ごとに様々な管弦楽団の未発表オリジナルライブ音源が、約20分間、最初から最後まで、付録である試聴CDに収録されているものであった。しかし2017年5月号を最後に、この付録は廃止となった。

主な執筆者 編集

※過去の執筆者も含む

レコード・アカデミー大賞 編集

日本で開催されるクラシックのレコード賞としては最も権威のある、レコード・アカデミー大賞を主催しており、毎年1月号にその受賞ディスクと批評が発表される。

脚注 編集

  1. ^ a b 『レコード芸術』休刊のお知らせ』(プレスリリース)株式会社音楽之友社、2023年4月3日https://www.ongakunotomo.co.jp/information/detail.php?id=29652023年6月23日閲覧 
  2. ^ ちなみに日本初のLP(モノラル)は、当時の日本コロムビアから発売された。内容は、米コロムビア原盤によるもので、ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルによるベートーヴェン交響曲第9番(2枚組。レコード番号WL-5001~2。)。価格は、当時の値段で2枚組で4,600円と、非常に高価であった。
  3. ^ 日本初のステレオ・レコードの詳細については、日本ビクター#略歴を参照のこと。
  4. ^ a b “「レコ芸」休刊、岐路に立つ音楽批評”. 日本経済新聞. (2023年4月25日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70473040V20C23A4BE0P00/ 2023年6月23日閲覧。 

外部リンク 編集