ヴィットリオ・カマルデーゼ
ヴィットリオ・カマルデーゼ(Vittorio Camardese、1929年7月6日 - 2010年7月2日)は、ポテンツァに生まれ、没した、イタリアのギタリスト、医師。後年のエディ・ヴァン・ヘイレンらに先んじて、ギターのタッピング奏法を用いていた人物として知られる。
ヴィットリオ・カマルデーゼ Vittorio Camardese | |
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生誕 | 1929年7月6日 |
出身地 | イタリア ポテンツァ |
死没 | 2010年7月2日 |
ジャンル | ジャズ |
職業 |
ギタリスト 医師 |
担当楽器 | ギター |
活動期間 | 1956年 - 2010年 |
経歴
編集ポテンツァにある、ホラティウスの名を冠した古典語学校であるクィントゥス・ホラティウス・フラックス古典語学校に学び、大学進学のためにローマへ移った。放射線医学を専門として医学部を卒業し、サンフィリッポネリ病院で医師として働き、その後ウンベルト1世総合病院に勤務した[1][2]。
カマルデーゼは独学で音楽を修めたアマチュアであった。1956年にテレビ番組『Primo applauso』に初めてテレビ出演し、番組内のコンテストで1等賞をとった。1965年にはアーノルド・フォアのテレビ番組『Chitarra amore mio』に、1970年にはレンツォ・アルボレのテレビ番組『Speciale per voi』にそれぞれ出演した[3][4][5]。
カマルデーゼは、ローマのおもだった2か所のジャズ色の強いクラブ、ミュージック・インとフォークスタジオに出演していた。当時は、チェット・ベイカー、トニー・スコット、ジョー・ヴェヌーティ、レリオ ルタツィ、ロマーノ・ムッソリーニ、イリオ・デ・パウラなど、多くのミュージシャンたちと共演した[1][2][4]。
1978年、彼は以降18年間愛し続けるパートナーと出会った。彼女には、当時3歳の息子(後にシンガーソングライターとなったロベルト・アンジェリーニ)がおり、その存在はカマルデーゼの才能を高める助けとなった。同年、彼は再びアルボレの番組に出演したが、これが最後のテレビ出演となった。もともと恥ずかしがり屋で控えめな性格だったカマルデーゼは、あまりにも大きなプレッシャーを理由に、以降の出演依頼を拒むようになった[2][5]。
カマルデーゼの芸術的活動は十分に記録されておらず、1965年にイタリア放送協会 (RAI) によって放送された『Chitarra amore mio』への出演で、もっぱら知られている。しかし、残された映像記録は、彼が自力で開発したギターの画期的な演奏技法によって、重要な意味を持つものとなった。右手の指を使って、指板上で弦を叩いて音を出す技法は、注目に値する[1][4]。
今ではタッピング奏法と呼ばれているこの技法は、1930年代のアメリカ合衆国のロイ・スメックをはじめ、既に他の楽器では用いられていた[6]。しかし、カマルデーゼのが編み出した奏法は、10年後にポップ、ロック、フュージョンなどの分野で、重要になるいくつもの要素を、いち早く先取りしたものであった。その超絶技巧の中には、凄まじい速度感だけでなく、概ねジャズ的な調性の中で、ベース、サイドギター、パーカッションからなる伴奏のアンサンブルを思わせる感覚を、聴覚的に再現してみせる能力も含まれていた[1][4]。
脚注
編集- ^ a b c d “La storia di Vittorio Camardese, il chitarrista-radiologo che ha inventato il tapping” (イタリア語). Rockit.it. 2018年12月21日閲覧。
- ^ a b c Seppino Di Trana. “Vittorio Camardese, il medico jazzista che inventò il tapping” (イタリア語). L'indiependente. 2018年12月21日閲覧。
- ^ “POTENZA ED IL JAZZ: UN LUNGO SODALIZIO - Potentia Review”. www.potentiareview.it. 2019年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月21日閲覧。
- ^ a b c d “Prima di Eddie Van Halen, c'era l'italiano Vittorio Camardese”. www.artistsandbands.org. 2018年12月21日閲覧。
- ^ a b potentiareview. “QUEL POTENTINO SCHIVO CHE NON VOLLE DIVENTARE UNA STELLA DEL JAZZ”. Potentia Review. 2019年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月28日閲覧。
- ^ スメックはウクレレでこの奏法を用いることがあった。:Roy Smeck - YouTube - 1分30秒前後でタッピング奏法が見られる。