伊百五十六型潜水艦

日本の潜水艦の艦級

伊百五十六型潜水艦(いひゃくごじゅうろくがたせんすいかん)は、大日本帝国海軍潜水艦の艦級。海大III型b(かいおおさんがたビー)とも。全部で5隻が建造され、1隻が戦前に事故で沈没、1隻が戦没、残り3隻は戦後に海没処分された。

伊156型潜水艦(海大3型b)
伊号第五十六潜水艦
画像は初代伊56(後の伊156
艦級概観
艦種 一等潜水艦
艦名
前級 伊百五十三型潜水艦(海大3型a)
次級 伊百六十二型潜水艦(海大4型)
性能諸元
排水量 基準:1,635トン 常備:1,800トン
水中:2,300トン
全長 101.00m
全幅 7.90m
吃水 4.90m
機関 ズルツァー[注釈 1]3号ディーゼル2基2軸
水上:6,800馬力
水中:1,800馬力
速力 水上:20.0kt
水中:8.0kt
航続距離 水上:10ktで10,000海里
水中:3ktで60海里
燃料 重油:230t
乗員 63名
兵装 40口径十一年式12cm単装砲1門
留式7.7mm機銃1挺
53cm魚雷発射管 艦首6門、艦尾2門
六年式魚雷16本
Kチューブ(水中聴音機)
備考 安全潜航深度:60m

概要

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本型(海大3型b)は巡潜型の設計を取り入れ、前型(海大3型a)と比べ艦首の形状を鋭角とし、凌波性を改善した。このため全長がわずかに(約40cm)長くなった。また、艦橋や艦尾の形状にも若干の改良が加えられている。それ以外の兵装や性能はほとんど前型と同じである。ただ設計が米英のフィート・ポンド法から独のメートル法に切り替えられたと言われる。

海大3型aと同じく1923年(大正12年)度の計画により建造され、昭和3年(1928年)から昭和5(1930年)にかけて5隻竣工した。計画番号S27

戦歴

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伊63は開戦前に事故で沈没したため戦歴は無い。太平洋戦争の初期に通商破壊を行い、その中で伊60が戦没した。残った3隻は1942年(昭和17年)6月のミッドウェー海戦に参加後、で練習潜水艦となった。伊156,157は1943年(昭和18年)6月にアリューシャン作戦キスカ島への輸送任務に参加した。それ以外は終戦まで練習潜水艦として使用され、戦後海没処分となった。

同型艦

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1942年(昭和17年)5月20日に改称、艦番に100を加えた。

潜水隊の変遷

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第十九潜水隊

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呉鎮守府籍の伊56伊57と海大3型aの伊58で編成。3隻とも太平洋戦争に参加し、マレー作戦に参加した後、主にインド洋で活動。昭和17年7月10日からは主に練習隊として活動した。昭和20年4月20日に解隊された。

1929年(昭和4年)4月1日:伊56、伊58で編成[1]。第19潜水隊司令熊岡譲大佐。呉鎮守府部隊。
1929年(昭和4年)12月1日:第二艦隊第2潜水戦隊。
1929年(昭和4年)12月24日:竣工した伊57を編入[2]。編成完結。
1930年(昭和5年)11月15日:伊57が予備艦となる[2]
1930年(昭和5年)12月1日:第19潜水隊司令鋤柄玉造中佐。呉鎮守府部隊。
1931年(昭和6年)10月15日:鋤柄司令離任。
1932年(昭和7年)6月1日:伊57、伊58が予備艦となる[3]
1932年(昭和7年)12月1日:第19潜水隊司令高塚省吾中佐。第二艦隊第2潜水戦隊。
1933年(昭和8年)11月1日:伊58が予備艦となる[1]
1933年(昭和8年)11月15日:第19潜水隊司令醍醐忠重中佐。
1934年(昭和9年)10月22日:伊57が予備艦となる[2]
1934年(昭和9年)11月15日:醍醐司令離任。呉鎮守府部隊。
1935年(昭和10年)11月15日:第19潜水隊司令石崎昇中佐。第一艦隊第1潜水戦隊。
1936年(昭和11年)7月31日:伊58、座礁事故による損傷修理のため予備艦となる[1]
1936年(昭和11年)12月1日:第19潜水隊司令鍋島俊策中佐。呉鎮守府部隊。
1937年(昭和12年)11月15日:第19潜水隊司令駒沢克己中佐。
1938年(昭和13年)12月15日:第19潜水隊司令篠田清彦中佐。伊57が予備艦となる[2]
1939年(昭和14年)11月15日:第19潜水隊司令中岡信喜大佐。第一艦隊第1潜水戦隊。
1940年(昭和15年)10月19日:第19潜水隊司令小田為清中佐。
1940年(昭和15年)11月15日:連合艦隊第4潜水戦隊。
1941年(昭和16年)10月20日:第19潜水隊司令太田信之輔大佐。
1942年(昭和17年)3月10日:連合艦隊第5潜水戦隊。
1942年(昭和17年)4月10日:解隊された第28潜水隊より伊59を編入[4]
1942年(昭和17年)5月7日:第19潜水隊司令小野良二郎中佐。
1942年(昭和17年)7月10日:呉鎮守府部隊[4]
1942年(昭和17年)7月14日:第19潜水隊司令浜野元一中佐。
1942年(昭和17年)7月31日:第19潜水隊司令西野耕三中佐。
1943年(昭和18年)2月20日:(兼)第19潜水隊司令栢原保親中佐。
1944年(昭和19年)1月31日:第19潜水隊司令浜野元一大佐。解隊された第18潜水隊より伊121伊122伊155を編入[5]
1944年(昭和19年)7月20日:第19潜水隊司令藤本伝大佐。
1944年(昭和19年)12月15日:呉防備戦隊より伊162を、第8潜水戦隊より伊165をそれぞれ編入[6]
1945年(昭和20年)2月25日:第19潜水隊司令小泉麒一大佐。
1945年(昭和20年)4月1日:伊156、伊162、伊165は第34潜水隊に転出[5]
1945年(昭和20年)4月20日:解隊。伊157、伊158、伊159は第34潜水隊に[5]、伊121、伊122、伊155は第33潜水隊に編入[5]。第33潜水隊については第33潜水隊の項で、第34潜水隊については第34潜水隊の項で記述する。

第二十八潜水隊

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呉鎮守府籍の伊59佐世保鎮守府籍の伊60伊63で編成。昭和14年2月2日に伊63が事故により失われ、残った2隻は太平洋戦争に参加し、マレー作戦に参加した後、主にインド洋で活動したが、昭和17年1月17日に伊60が戦没し、司令官が戦死したことにより4月10日に解隊された。

1929年(昭和4年)12月24日:伊60、伊63で編成[4][7]。佐世保鎮守府部隊。
1930年(昭和5年)3月31日:竣工した伊59を編入[8]
1930年(昭和5年)11月15日:第28潜水隊司令渡部徳四郎中佐。第二艦隊第2潜水戦隊。
1931年(昭和6年)11月2日:第28潜水隊司令福田良三中佐。
1932年(昭和6年)12月1日:第一艦隊第1潜水戦隊。
1933年(昭和8年)11月15日:福田司令離任。伊59が予備艦となる[8]。佐世保防備隊。
1933年(昭和8年)12月1日:佐世保警備戦隊。
1934年(昭和9年)11月15日:第28潜水隊司令道野清中佐。
1935年(昭和10年)11月15日:第一艦隊第1潜水戦隊。
1936年(昭和11年)12月1日:第28潜水隊司令駒沢克己中佐。伊63が予備艦となる[7]。佐世保防備戦隊。
1937年(昭和12年)11月15日:第28潜水隊司令伊藤尉太郎中佐。第二艦隊第2潜水戦隊。
1938年(昭和13年)11月15日:第28潜水隊司令舟木重利中佐。
1938年(昭和13年)12月1日:第一艦隊第1潜水戦隊。
1939年(昭和14年)2月2日:豊後水道で伊63事故沈没[4]。1940年(昭和15年)6月1日除籍。
1939年(昭和14年)3月11日:第28潜水隊司令中岡信喜中佐。
1939年(昭和14年)11月15日:第28潜水隊司令貴島盛次中佐。
1940年(昭和15年)11月15日:連合艦隊第5潜水戦隊。
1941年(昭和16年)6月2日:伊59が予備艦となる[8]
1941年(昭和16年)8月11日:第28潜水隊司令加藤行雄中佐。
1942年(昭和17年)1月17日:クラカタウ島北北西沖で伊60戦没(加藤司令戦死)。
1942年(昭和17年)3月10日:解隊された第29潜水隊より伊62を編入[4]。伊60(書類上在籍)が第四予備艦となり第28潜水隊から除かれる。3月15日伊60除籍。
1942年(昭和17年)4月10日:解隊。伊59は第19潜水隊に[4]、伊62は第30潜水隊に編入[4]。第19潜水隊については上記第19潜水隊の項で、第30潜水隊については第30潜水隊の項で記述する。

脚注

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注釈

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  1. ^ スイス・SULZER社。英語読みではスルザー。

出典

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  1. ^ a b c 『艦長たちの軍艦史』424-425頁。
  2. ^ a b c d 『艦長たちの軍艦史』426頁。
  3. ^ 『艦長たちの軍艦史』424-426頁。
  4. ^ a b c d e f g 『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集19巻』72頁。
  5. ^ a b c d 『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集19巻』71頁。
  6. ^ 『艦長たちの軍艦史』428-429頁。
  7. ^ a b 『艦長たちの軍艦史』429-430頁。
  8. ^ a b c 『艦長たちの軍艦史』426-427頁。

参考文献

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  • 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年 ISBN 4-7698-0462-8
  • 雑誌「丸」編集部『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集19巻』潜水艦伊号、光人社、1997年。
  • 外山操『艦長たちの軍艦史』(光人社、2005年) ISBN 4-7698-1246-9

関連項目

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外部リンク

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