吉川 逸治(よしかわ いつじ、1908年12月14日 - 2002年12月5日)は、日本美術史学者西洋美術史専攻。東京大学名誉教授。従兄は中国文学者吉川幸次郎[1]

経歴

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神奈川県横浜市生まれ。旧制神奈川県立横浜第一中学校旧制浦和高等学校東京帝国大学文学部美学美術史学科卒業。矢代幸雄に師事。1933年から1939年までフランスに留学、アンリ・フォシヨンに師事。「サン・サヴァン教会堂ヨハネ黙示録画の研究」でパリ大学博士号。ロマネスク建築・壁画研究を専門とした。

1947年東京芸術大学教授を経て1953年東京大学文学部助教授、1955年教授、1969年定年退官後、大和文華館館長。後に名古屋大学教授、東海大学教授。1974年11月6日紫綬褒章受章。1980年11月3日叙勲三等授旭日中綬章。1982年日本学士院会員。没後、叙正四位、叙勲二等瑞宝章[2]

人物

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多数の西洋美術全集を編集監修した。友人の美術史家に秋山光和柳宗玄が、弟子に高階秀爾田中英道辻佐保子若桑みどり等がいる。

大岡昇平中村光夫福田恆存らの「鉢の木会」に加わり、季刊同人誌『聲』(丸善で10号発行)も編纂した。

主な著書

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  • L'Apocalypse de Saint-Savin, Paris, 1939.
  • 「西洋美術史 第3巻 中世の美術」東京堂 1948
  • 「近代美術への天才たち」新潮社 1964
  • ロマネスク美術を索めて」 美術出版社 1979
  • 「日本の美術1 日本美術入門」平凡社 第2版1980
  • 「サン・サヴァン教会堂のロマネスク壁画」新潮社 1982 
  • Poèmes (句集, avec un hors-texte inédit de Pierre Soulages), Méridianes éditions, Montpellier, 2022

主な訳書・共訳

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コローを周りて」、「マネーの勝利」を収録
  • ジャン・ユベールほか 『カロリング朝美術 人類の美術9』前川誠郎ほか共訳、新潮社 1973
  • ルイ・グロデッキほか『紀元千年のヨーロッパ 人類の美術10』柳宗玄と共訳、新潮社 1976

論文

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脚注

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  1. ^ 竹之内静雄『先知先哲』講談社文芸文庫、1995年、162頁。 
  2. ^ 東京文化財研究所