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向山 光昭(むかいやま てるあき、1927年1月5日[1] - 2018年11月17日[2])は、日本有機化学者東京大学名誉教授。東京工業大学名誉教授。東京理科大学名誉教授。社団法人北里研究所基礎研究所有機合成化学研究室名誉所員(前室長)。東京化成工業株式会社基礎研究所技術顧問。長野県伊那市出身。

向山 光昭
(むかいやま てるあき)
生誕 (1927-01-05) 1927年1月5日
死没 (2018-11-17) 2018年11月17日(91歳没)
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 基礎化学
有機化学
研究機関 東京大学
東京理科大学
北里大学
出身校 東京工業大学
東京大学博士課程
主な業績 向山アルドール反応の発見
影響を
与えた人物
中村栄一
林雄二郎
小林修
光延旺洋
硤合憲三
桑嶋功
植木正彬
奈良坂紘一
村上正浩
鈴木啓介
岩澤伸治
西郷和彦
山口雅彦
椎名勇
田辺陽など多数
主な受賞歴 #学術賞参照
プロジェクト:人物伝
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略歴編集

業績編集

シリルエノールエーテルとカルボニル化合物をルイス酸触媒四塩化チタンなど)下で作用させるとアルドール反応が進行することを発見。この反応は世界的に向山アルドール反応と呼ばれるほどで、今日、有機合成化学者で知らない者はいないほど有名である[1]。それ以外にも脱水縮合反応を中心とした研究を行っている。大環状化合物合成に有用な向山縮合試薬や、フッ化糖類を用いる新規グリコシル化反応なども開発した[3]。脱水反応はライフワークともいうべきもので、その手法は大員環ラクトンの合成法である向山-Corey法、糖類の立体選択的アノマー構築など数多くの素反応へと展開された。弟子に当たる光延旺洋がこれを継承し、発展させたものが高名な光延反応である。

東京理科大学時代、これまで有機素反応開発で名を馳せた向山は、パクリタキセル(タキソール)の全合成に取り組み、わずか5年で達成した。その合成ルートはアルドール反応をうまく組み合わせ各置換基の立体が制御された非環形化合物をヨウ化サマリウムを用いた環化反応により八員環(B環)を始めに構築するという非常に特徴的なものであった[1]。これはタキソール全合成5例目に当たる。さらに新規触媒的酸化反応(向山酸化反応)[4]、アルケンの水和反応(向山水和反応)なども開発、幅広く独創的な研究を展開した。近年では、光延反応を改良した有用な反応系(向山酸化還元縮合反応)も開発している。

東京理科大学退職後、北里研究所に異動し、その後も塩化スルフィンイミドイルを用いるアルコール酸化反応や、晩年はキノン - ホスフィンの酸化-還元系を用いる酸化還元縮合反応なども手がけ、精力的に研究を続けた。

2004年、有機合成化学協会より全米科学アカデミー外国人会員に選出され[5]、また喜寿を迎えたことを記念してMUKAIYAMA AWARDが創設された。2008年には80歳の誕生日を記念し、ケミストリー・アジアン・ジャーナルの第3巻第2号[1]が向山に捧げる記念号として出版された。

栄誉編集

学術賞編集

  • 1957年 日本化学会進歩賞
  • 1973年 日本化学会学会賞
  • 1975年 内藤記念科学振興賞
  • 1978年 東レ科学技術賞
  • 1986年 コペルニクス・メダル(Poland)
  • 1983年 恩賜賞 (日本学士院)
  • 1987年 藤原賞
  • 1994年 有機合成化学協会特別賞
  • 1996年 ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry
  • 1998年 テトラヘドロン賞(英国)
  • 2006年 Sir Derek Barton Gold Medal (UK)

門下生編集

中村栄一(東大・院理)[7]、林雄二郎(東北大・理)[8]小林修[9](東大・院理)、市川淳士 (筑波・数理物質)など。

著書編集

  • 『有機化学 (基礎化学シリーズ)』日刊工業新聞社、1970年。
  • 『有機合成反応―新しい可能性を求めて』東京化学同人、1987年。
  • 『有機合成反応〈2〉さらなる可能性を求めて』東京化学同人、2010年。

脚注編集

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  1. ^ a b c d e f g h i j k Kobayashi, Shu (2008). “In Celebration of the 80th Birthday of Professor Teruaki Mukaiyama”. Chemistry – An Asian Journal 3 (2): 148-149. doi:10.1002/asia.200800004. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/asia.200800004/abstract. 
  2. ^ a b “向山光昭氏が死去 有機合成化学の第一人者 ノーベル賞候補”. 産経新聞. (2018年11月26日). https://www.sankei.com/life/news/181126/lif1811260029-n1.html 2018年11月26日閲覧。 
  3. ^ 向山縮合試薬 chem-station
  4. ^ 向山酸化 chem-station
  5. ^ a b 鈴木啓介「米国国立科学アカデミー会員になられた向山光昭先生」『有機合成化学協会誌』第62巻第7号、有機合成化学協会、2004年、 672頁、 doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.62.672
  6. ^ 『官報』7416号、平成30年12月25日
  7. ^ E. Nakamura”. 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 中村研究室. 2012年2月9日閲覧。
  8. ^ 林研”. 東北大学大学院理学研究科 林研究室. 2015年10月7日閲覧。
  9. ^ 小林 修教授に聞く環境に優しい「グリーンケミスト」とは何か”. 2015年10月7日閲覧。

関連項目編集