山形鉄道YR-880形気動車

山形鉄道YR-880形気動車1988年昭和63年)に6両が製造された山形鉄道フラワー長井線用の気動車である[6]1990年平成2年)に一部仕様を変更したYR-880-2形2両が追加製造された[7]。路線名のフラワー長井線にちなんで「フラワーライナー」の愛称がつけられている[3]。本項では両者をまとめて記載する。

山形鉄道YR-880形気動車
Yamagatarailwayco yr888.jpg
YR-888号(スウィングガールズラッピング車両)
(2008年2月20日、赤湯駅
基本情報
運用者 山形鉄道
製造所 新潟鐵工所 [1][2]
製造初年 1988年(昭和63年)
製造数 8両[1][2]
運用開始 1988年(昭和63年)10月25日[3]
主要諸元
軌間 1,067[3] mm
設計最高速度 160[5] km/h
車両定員 座席120人
(座席60人)[4]
自重 28.0 t [4]
全長 18,500[4] mm
車体長 18,000[3] mm
全幅 2,998[4] mm
車体幅 2,700[3] mm
全高 3,845[4] mm
車体高 3,620[3] mm
車体 普通鋼 [3]
台車 NP120[3]
車輪径 762 mm[3]
固定軸距 1,800 mm[3]
台車中心間距離 13,000 mm[3]
機関 DMF13HS[4]
機関出力 183.9 kW [4]
変速機 液体式
TACN22-1100[3]
変速段 変速2段・直結1段[3]
搭載数 1基 / 両
歯車比 2.73[4]
制動装置 電気指令式DE1A[3][5]
備考  YR-880形製造時のデータ
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概要編集

山形鉄道開業に備えて製造された新潟鐵工所製の軽快気動車(NDC) [6]で、1988年(昭和63年)の開業時にYR-880形6両(YR-881、882、883、884、885、886)[1]、1990年(平成2年)に仕様を一部変更したYR-880-2形(YR-887、888)の2両が製造された[7][2]。YR-880形はボックスシート10組を備えるセミクロスシートで、トイレを備える[3]が、YR-880-2形は全席ロングシートでトイレはない[8]。両者とも18 m級車体の両運転台車で、ワンマン運転用設備を備えている[3]。路線名のフラワー長井線にちなんで「フラワーライナー」の愛称がつけられている[3]

2003年(平成15年)にYR-881号[9]2015年(平成27年)にYR-885号[10]が経営改善計画に基づいて廃車されている[11]2004年(平成16年)から2015年(平成27年)にかけてエンジンが更新されている[11]

車体編集

車体は強度、耐久性を考慮したモノコック構造の普通鋼製、正面貫通構造の両運転台式である[3]。省力化のため後乗り前降り方式でワンマン運転ができるよう、客用扉は運転台の直近に設けられた[3]。乗務員室には扉が設けられていない[3]。車内を明るくするため、客室の窓を大きくし、居住性を向上させている[3]。自然と沿線の四季の花に調和するよう、車体はアイボリーホワイトに塗装され、ピンクグリーンオレンジのラインが入れられた[3]。路線名のフラワー長井線にちなんで「フラワーライナー」の愛称が付されており、側面に車両ごとに異なる、沿線市町村、国県の花のイラストが描かれた[3]。イラストは、YR-881号から順に、こぶし白鷹町)、さくら(日本)、あやめ長井市)、べにばな(山形県)、ダリア川西町)、きく南陽市)、あずましゃくなげ米沢市)、ひめさゆり飯豊町)である[12]

YR-880形の車内には5列10組、シートピッチ1,520 mmのボックスシートと便所が設けられ、それ以外のスペースにはロングシートを備える[3]。YR-880-2形は全席ロングシートでトイレはない[8]。ワンマン運転のため、整理券発行機、両替機付運賃箱、運賃表示器などの装備が設けられた[3]。YR-880形の定員は座席60人、立席60人、車両質量28.0 t、YR-880-2形は座席60人、立席65人、車両質量27.5 tとなっている[5]

耐寒耐雪構造を採用するとともに、25.6 kW(22,000 kcal/h)の機関直結式冷房装置と、温風式の暖房装置が備えられた[3]

走行装置編集

エンジンは、 新潟原動機DMF13HS(183.9 kW / 1,900 rpm)を1基搭載、動力は変速2段、直結1段のTACN-22-1100変速機を介して台車に伝達される[3]。前位側台車は2軸駆動の動台車NP120D、後位側は従台車NP120Tで、いずれもダイアフラム式の空気ばね台車である[3]制動装置は応答性の良い電気指令式空気ブレーキDE1Aが採用された[3][4][5]

   
883号
888号

廃車編集

経営改善計画に基づき[11]、YR-881号が2003年(平成15年)11月30日、YR-885号が2015年(平成27年)12月26日に廃車となった[13][14]

エンジン更新編集

2002年(平成14年)の全般検査で、エンジンシリンダライナ研磨限界に達していることが判明したため、2004年(平成16年)から2015年(平成27年)にかけてエンジンを新潟原動機製DMF13HZ(242.7 kW / 2000 rpm)に更新している[11]。変速機などは従来のものを流用したため、故障防止のため198.6 kWに出力を落として使用されている[11]

車体ラッピング編集

沿線市町村PRラッピング編集

2016年(平成28年)7月1日から、4両に順次沿線市町村を象徴する花を基調にしたラッピングを施して運行している[15][16]

  • YR-883号 紅花ラッピング
2016年(平成28年)7月1日運行開始[17]白鷹町が日本一の紅花の産地であることから、「日本の紅(あか)をつくる町」を発信するため、赤基調の車体に紅花が描かれた[16]
  • YR-884号 さくらラッピング
2016年(平成28年)9月15日運行開始[18]南陽市赤湯にある烏帽子山の千本桜をイメージし、が描かれた[19]
  • YR-886号 あやめラッピング
2016年(平成28年)10月29日運行開始[20]長井市の花であるあやめが描かれた[21]
  • YR-888号 ダリヤラッピング
2016年(平成28年)7月21日運行開始[22]川西町に日本有数の規模のダリヤ園があることから、色とりどりのダリアが描かれた[23]

鉄道むすめラッピング編集

2017年(平成29年)2月11日から、YR-887号に「鉄道むすめ」のラッピングを施して運行している[24]

食堂車編集

2017年(平成29年)1月にYR-882号がシンボル車両(食堂車)「花結びより」としてリニューアルされた。

車歴編集

YR-880形車歴
車両番号 製造 機関更新 廃車
881 1988年7月18日[1] - 2003年11月30日[13]
882 1988年7月22日[1] 2013年[11] -
883 1988年7月27日[1] 2004年[11] -
884 1988年7月28日[1] 2004年[11] -
885 1988年8月1日[1] 2007年[11] 2015年12月26日[14]
886 1988年8月3日[1] 2012年[11] -
887 1990年[2] 2015年[11] -
888 1990年[2] 2014年[11] -

脚注編集

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参考文献編集

書籍編集

  • 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5

雑誌記事編集

  • 鉄道ピクトリアル』通巻512号「新車年鑑1989年版」(1989年5月・電気車研究会
    • 藤井 信夫・大幡 哲海・岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 93-123
    • 山形鉄道(株)運輸部長 高橋 忠男「山形鉄道 YR-880形」 pp. 128
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 230-232
    • 「竣工月日表」 pp. 232-242
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻550号「新車年鑑1991年版」(1991年10月・電気車研究会)
    • 藤井 信夫・大幡 哲海・岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 122-138
    • 「1990年度車両動向」 pp. 241-252
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻753号「鉄道車両年鑑2003年版」(2003年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2002年度民鉄車両動向」 pp. 120-140
    • 「車両データ 2002年度民鉄車両」 pp. 216-227
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻862号「【特集】東北のローカル私鉄」(2012年5月・電気車研究会)
    • 服部 朗宏「現存 東北ローカル私鉄の気動車 現有車と少し昔の在籍車」 pp. 40-45
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻923号「鉄道車両年鑑2016年版」(2016年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2015年度民鉄車両動向」 pp. 93-123
    • 山形鉄道(株)鉄道総括運輸部長 鈴木 博「山形鉄道 YR-880形・YR-880-2形機関更新工事」 pp. 128
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 193-198
    • 「車両データ 2015年度民鉄車両」 pp. 215-227

Web資料編集