愛犬 (松本清張)

松本清張の短編小説
愛犬から転送)

愛犬』(あいけん)は、松本清張短編小説。『清張短篇新集』第2話として『小説新潮1978年2月号に掲載され、1979年12月に短編集『隠花の飾り』収録の1作として、新潮社より刊行された。雑誌掲載時の題は「狗」。

愛犬
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
シリーズ 隠花の飾り
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出小説新潮1978年2月
初出時の題名 『狗』
出版元 新潮社
刊本情報
収録 『隠花の飾り』
出版元 新潮社
出版年月日 1979年12月5日
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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1986年にテレビドラマ化されている。山﨑努による朗読CDが、2001年に新潮社より発売された。

あらすじ 編集

京橋近くの会席料理店で会計係をつとめているおみよさんは、小さいときから犬が好きで、今もサブと名付けた柴犬を飼っている。サブは敏感で、よく家の外の物音や足音に耳を立て、吠えたてた。ある時、真夜中におみよさんの家の前を通る男の靴音が、5か月くらい続いた。最初のうちその度に吠えていたサブが、次第に静かになってきた頃、家からそれほど遠くない場所で主婦が殺される事件が起こった。ところが、その事件以来夜の靴音がぴったりと絶えてしまう。犯人の仕返しを恐れて警察への届出をためらうおみよさんだったが、意外なところから、犯人はおみよさんに接近してきた。

エピソード 編集

  • 著者は「料理屋で聞いた話」として本作の手控えのメモを以下のように記している。「犬を飼っている東京の女が、犬を姉に預けて恋人の待つ南九州へ旅行に出る。鹿児島の旅館に着いたとき姉から電話がかかり、私が食物をやっても犬が食べない。あれでは衰弱すると言う。彼女は恋人とは三時間くらい遇っただけで東京へ引返す。犬は、彼女が毎日勤めに出ていくときは恨めしそうな顔をするが、デートに行くときは睨みつける。外出から帰ると身体じゅうを嗅ぎまわる。出先でほかの犬を抱いたと分ると、爪で引搔く。また身体に異性の体臭が残っているのが分ると、狂ったように吠え立てる。彼女は友人が死んでも平気だが、よその犬が死んだ話を聞くと、もらい泣きする」[1]

テレビドラマ 編集

松本清張サスペンス 隠花の飾り
愛犬
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『愛犬』
脚本 大薮郁子
監督 松尾昭典
出演者 小川眞由美ほか
製作
制作 関西テレビ
放送
放送国・地域  日本
放送期間1986年5月26日
放送時間22:00 - 22:54
放送枠関西テレビ制作・月曜夜10時枠の連続ドラマ
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1986年5月26日関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)にて「松本清張サスペンス 隠花の飾り」(22:00 - 22:54)の1作として放映。視聴率15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[2]

キャスト
スタッフ
関西テレビ制作・フジテレビ系列 松本清張サスペンス・隠花の飾り
前番組 番組名 次番組
見送って
(1986.5.19)
愛犬
(1986.5.26)
箱根初詣で
(1986.6.2)

出典 編集

  1. ^ 「創作ヒント・ノート」(『小説新潮』1980年2-3月号掲載、『作家の手帖』(1981年、文藝春秋)に収録)参照。
  2. ^ 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版