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放課後退魔録』(ほうかごたいまろく)は、岡本賢一著、黒星紅白イラストの日本ライトノベル角川スニーカー文庫より、全4巻。

放課後退魔録
ジャンル 伝奇SF
小説
著者 岡本賢一
イラスト 黒星紅白
出版社 角川書店
レーベル 角川スニーカー文庫
刊行期間 2001年4月 - 以下続刊
巻数 既刊5巻(本編4巻+続編1巻)
テンプレート - ノート

なおこの項目では、放課後退魔録の続編である『放課後退魔録マルる』(ほうかごたいまろく マルる)についても記述する。以降においては便宜上、放課後退魔録(る)、もしくは単に(る)と表記する。

目次

ストーリー編集

紅椿学園に通う高校生・雨神丈斗はある朝、九堂よしえと桜宮サヤの2人に、悪い妖怪・妖魔を退治をしているという、妖魔術クラブに勧誘される。その時は取り合わなかった丈斗だったが、その後サヤにもらった護符を身につけていると、今まで見えていなかった化け物が見えるようになり、妖魔の存在を認めざるを得なくなる。そして彼は深夜の学校の地下で、妖魔に取り込まれ、恋人の夏芽に出会う。丈斗は夏芽を妖魔から引き離して、妖魔を倒すことに成功するが、夏芽は妖怪化が進み繭のような姿で眠りに就く。丈斗は夏芽を人間の姿に戻すため、妖魔退治をしていくことを決める。

丈斗の強引な妖怪狩りに反発していた妖怪たちも、丈斗の無用な妖怪狩りをしないという誓いを信じ和解する。そして妖魔を狩るうちに、丈斗たち妖魔術クラブは、妖魔を密造するメラ星の秘密結社・ベロルの存在を知る。その実力から妖怪たちに一目置かれるようになっていた丈斗は、本格化してきたベロルの地球侵略に対抗すべく、妖怪たちの連合・アマタケ連合を作る。やがて丈斗の働きにより夏芽が自我を取り戻し、そのころベロルとメラ星上層部による地球侵攻作戦が明らかとなる。丈斗はそれを阻止すべく地球侵攻の際に使われる星天使を召喚する人工衛星に忍び込む。だがその内部は、実験として召喚された下級の星天使・カウラに乗っ取られていた。カウラは研究員の隙をつき、強力な星天使である、リリスとリカーラを召喚していたのだ。

カウラのもとに辿り着いた丈斗。カウラは丈斗に日本と夏芽のどちらかを選べと告げる。丈斗は苦悩しながらも、夏芽に犠牲になってもらうことを選ぶ。そしてカウラが夏芽を殺そうとした時、それまで半分眠りについていたリリスが目を覚まし、そして丈斗は、リリスとカウラが歩んできた長い苦しみを知る。リリスは夏芽に同化し、カウラも夏芽の中のリリスと共にいるために丈斗と同化する。日本を攻撃しようとするリカーラを止めるには、人工衛星がなくてはならない。そのため丈斗はカウラの助けを借り、反乱の起こった人工衛星を破壊しにきたベロルの戦艦を倒す。丈斗は瀕死となりながらもリリスの物質転送の力で地球に帰還した。

用語説明編集

妖怪
本作では、一口に妖怪と言っても様々であり、名前を持ち強力なものから名もない有象無象まで、全てを含めて妖怪と呼ぶ。また妖魔術クラブの面々は、人を喰ったりする悪い妖怪を特に妖魔と呼んで区別している。
全ての妖怪は普通の人間には知覚されない。そこに妖怪がいることを認識できず、妖怪に触れられても「触れられている」と認識できず、また妖怪が机を倒したとしても「机が倒れた」ということを認識できない。また妖怪に喰われた人間は妖怪化するので、たとえ隣で誰かが喰われたとしてもそれに気付くことはできない。ただ、妖怪の気配などは認識以下の領域で知覚でき、「なんとなく居心地が悪い」など感じることもある。
妖怪は12種類のエレメントと呼ばれるエネルギーで構成されている。エレメントがなくなると妖怪は消滅する。
全ての動植物の中で一番妖怪になりやすいのは人間である。妖怪になった人間は周囲に認識されなくなると同時に、「その人物について記憶」が認識できなくなり、つまり周囲の人の記憶からも消えていく。大抵の人間は、妖怪になる過程で思考力を放棄してしまっているが、一部は理性を保ったまま妖怪になる。また妖怪になりかけの人間は半妖怪と呼ばれる。
エレメント
妖怪を構成する12種類のエネルギー。精神や魂を形成するものでもある。地球では未確認だが、メラ星では108つのエレメントが確認されている。人間は誰でも周囲のエレメントを吸収する力を持っている。エレメントを吸収しすぎた人間は妖怪になる。
エレメントを吸収し、それを放出すれば強力な攻撃手段となる。
妖魂(ようだま)
妖怪や人間が死んだ時に出る、エレメントの結晶。真珠のような外見でビーダマほどの大きさのものが多く、人間の妖魂は白く妖怪のものは黒い。妖怪化の素質のある人間だと、透明な妖魂が出る。
妖魂はエレメントの結晶なので、妖魂を吸収すれば短時間で効率よくエレメントをためられる。
紅椿学園(べにつばきがくえん)
バブル崩壊のせいで閑散とした紅椿ニュータウンを見下ろす丘の上に立つ、私立高校。当初の計画では小・中・高を一括したマンモス校となるはずだったが、生徒が集まらず、高校としてしか使われていない。『(る)』では地下に中等部が併設され中高一貫校となった。丈斗たちの通う学校である。
元々妖怪が集まりやすい土地に建てられたので、地下校舎は妖怪の巣窟となっている。
メラ星
地球から遠く離れた(本文中に「光でも47年かかる」と「4.7光年」という2つの記述があり特定できない)、おうし座39番星の第3惑星。厳密に言うとメラは恒星の方の名前である。
早くから妖怪の存在を知覚しており、大昔から妖怪を利用、妖怪と共生しつつ文明を発達させてきた。現在では高度な妖怪文明を確立している。科学力も地球を遥かにしのぎ、巨大な宇宙戦艦の建造、サイボーグ化による延命など高度な技術を有する。100年前に世界大戦があり、現在は戦争に勝った一国がメラを統一している。言語はエノク語。エノク語は魔法円にも用いられる。地球に妖怪を啓蒙しようとしているが、過去数回は失敗に終わったとのこと。
メラ人と地球人は元々同じ惑星で発生した人類だとされており、メラ人と地球人のハーフも可能。顔立ちはアジア黄色人種に似る。
魔法円(まほうえん)
エレメントを利用するためにメラ星で開発された方法の1つ。妖魔術クラブで使っているものは、エノク式法円術の発展形。元々妖怪はを嫌う性質があり、ただの正円でもある程度の退魔の効果がある。
正円の中に五芒星やエノク語を書き加えることにより、周囲のエレメントに働きかけて、退魔や結界などの様々な効果を引き出す。強力なものほど複雑な図形となり、中には書くのに数日掛かるものもあるという。同じ魔法円でも使用者で威力が変わる。
サイボーグ
メラ星の技術の1つ。ただし人間の体を機械にするのではなく、人工の細胞に変えるだけなので、精密な検査でもない限りはサイボーグだと気付かれない。骨の内部構造に工夫があり、これによって100kgを超えるものも持ち上げられるようになる。さらに死後1時間以内であれば、適切な処置をすることでサイボーグとして蘇生させることも可能。メラ星の法律で妊娠できるサイボーグは作れない。
人工精霊(エレメンタル)
エレメントを使って人工的に作った精霊。形状は召喚者の自由が利くようだ。
妖魔術クラブ(ようまじゅつクラブ)
地球とメラ星の交流のための足掛かりとして、霧山が紅椿学園に設立した。表向きは「郷土研究クラブ」ということになっているが、裏では日々悪さをする妖怪を退治している。
部室のドアに退魔の魔法円が貼ってあり、中には九堂が自費でつけたエアコンや、サヤが持ち込んだウサギのぬいぐるみを入れたロッカーなどが置いてあるが、それ以外は特に変わった点はない。
秘密結社ベロル
メラ星の組織で、正式名はベロム・ダクロム資本結社。宗教系政治団体を名乗るが、実態はメラ星でのマフィアのような存在。妖魔を人工的に作り出し、それを兵器として密売している。メラ星政府上層部にも繋がりがあり、地球侵攻作戦も妖魔兵器を売買を目的にベロルが先導したことだった。
『(る)』では、かつての悪行を「一部の暴走」として追及を逃れ、その裏で大天使召喚を企てていた。
デオドア
星天使の召喚円の役割を果たす人工衛星。地球侵略の際、戦いの天使イブ・ラランを召喚すべく建造されたが、実験のために召喚したカウラに乗っ取られた。最終決戦の場である。

登場人物及び妖怪など編集

雨神丈斗(あまがみ たけと)
主人公。紅椿学園に通う高校2年生。
サヤたちによって妖怪の存在を知る。その後、妖魔のせいで妖怪化し眠りについた恋人の夏芽を元に戻すことを決意。そのために必要な妖魂を集めるうちに力をつけ、最後には地球を救う働きも見せた。
妖怪としての素質があったため、エレメントの吸収・照射や結界を魔法円なしでできる。
彼自身の強さに加え様々な妖怪たちの助けもあり、妖怪間のもめごとは「アマタケ」の名前を出すだけで治まってしまうほどに、一目置かれる存在となった。彼を慕って集まった妖怪たちの連合アマタケ連合は、かつてできた妖怪たちの集まりとしては最大級。
妖怪格闘ランキング0位。これはランキング1~5位の妖怪たちが全員「試合はしないが、丈斗の実力は自分以上だ」と表明したことによる。
丈斗の家系は代々妖怪化しやすい系譜。妹の妙子は昔に妖怪化してしまっており、丈斗は妖怪が見えるようになるまで認識できなかった。
酔うとその時の記憶が飛ぶ。
桜宮サヤ(さくらみや サヤ)
丈斗と同学年の幼げな顔立ちで小柄な少女。妖魔術クラブの第2代会長。人工精霊を使って戦う。使い魔は柴犬の姿の妖怪のピーチ。
ウサギが大好きで、私服はウサギづくめで学校でもウサミミを付けている。さらに部室にはロッカーいっぱいにウサギのぬいぐるみを持ち込んでおり、その全てに名前が付いているらしい。そのため「ウサバカ」と呼ばれることもある。ウサミミには妖怪を見るための装置が内蔵されているが、それもいつもウサミミをつけていることを正当化するためのようだ。
だが九堂よりも妖力があり、複数の人工精霊を召喚できさらに八卦占いをできたりなど、実力面は申し分ない。
かつて、好きになった人を妖怪に喰われた。そのことを妖怪ではないサヤは覚えていないが、九堂とともにその人を喰った妖怪を退治したことが入部のきっかけだった。彼女のウサギ好きも、その人の名前が「宇佐見」だったからなのではないかと、自ら推測している。
たびたびエロ発言をして九堂や五郎八にハリセンで叩かれる。
九堂よしえ(くどう よしえ)
眼鏡におかっぱ頭の妖魔術クラブのメンバー。丈斗たちより一学年上。パソコンで魔法円を描いて照射する戦法を多く用いる。財閥の令嬢。
以前妖魔退治をした際、首から下を妖魔に喰われてしまったが、サイボーグ手術をして蘇生した。たとえ心臓が止まっても、数日で復活できる。サイボーグ化によって視力は3.0になっていて、眼鏡は妖怪を視るための装置。
どうやら彼女の悲恋と体を喰われた時の話は関係があるようだが、詳しくは語られていない。
卒業後は、発達した技術を学びにメラ星へ留学した。
兄は泌尿器科医。妖魔術クラブのパソコンは彼の使い古しを譲り受けて改造したものであり、消去し忘れた画像データ(サヤたちは「邪念の塊」と呼んでいる)が度々出てくる。
彩音寺夏芽(さいおんじ なつめ)
丈斗と同じ学年で、彼の恋人。彼女の家も妖怪化しやすい体質の持ち主である。
中学生の頃、姉を階段から突き飛ばして殺してしまう。だが姉は妖怪化したので両親は彼女の存在を忘れ、夏芽自身も庭に姉の死体を埋めて、そのことを忘れた。だが姉はデビモに復活させられ、良心の呵責に耐えきれなくなった夏芽はデビモに取り込まれる。丈斗に救い出されるが、心を閉ざした夏芽は急速に妖怪化し、校庭の一角で繭のような姿で眠りに就く。
その後、丈斗が集めた妖魂によって人間の姿を取り戻す。半妖怪となった彼女は再び母と暮らし始めるが、母はこれまでの生活との歪みにストレスをためて体を壊してしまう。そして夏芽は、人間としての「夏芽」ではなく妖怪の「ナツメ」として生きることを決意し、一人暮らしを始めた。
寺流五郎八(てらながれ いろは)
丈斗たちの一学年後輩の少女。長身で髪を三つ編みにしている。妖怪好き。
妖魔術クラブに依頼をしたことで彼らと知り合い、サヤが作った妖魔術クラブの会員章が可愛かったので入部した。
実は彼女はメラ人、それも記憶を封印されてベロルのスパイとして地球に送りこまれた子供の1人だった。だが記憶を取り戻した彼女は、ベロルの任務遂行命令を拒み、妖魔術クラブと地球のためにベロルとの戦いを決めた。
「邪念の塊」と丈斗のせいでトラウマを負った。
霧山遊子(きりやま ゆうこ)
紅椿学園の卒業生で、妖魔術クラブの創始者。メラ星人で、本名はアルフィーナ。遺伝子構造が日本人に似ていたため、日本に派遣された。
メラ星と地球のコンタクトを円滑に進めるため、妖魔術クラブを創始する。妖魔術クラブの使う武器や法術は霧山がメラ星から持ち込んだものである。
ルヨン
メラ星の殺し屋の半妖怪。百八枚のお札をそれぞれ使い魔にして、それを使って戦う。ベロルに丈斗を殺すよう依頼されるが、丈斗に救世主としての素質を見出し、依頼を断って殺し屋をやめた。
その後デオドアに妖魔術師として呼ばれる。カウラを倒そうとするも敗れるが、最後は生きてデオドアを脱出した。
島城美也乃(しましろ みやの)
馬首山(ばとうさん)に住む少女。妖怪を見られる体質で、父親が妖魔になったことや母親が殺されたことにおぼろげながら気づいていた。最期は、縊鬼とともに丈斗の撃ったエレメントで死んだ。
ダリオ
デオドアの開発技師。カウラに攻撃を仕掛けるが、返り討ちにあい死ぬ。だがサイボーグ技術で蘇生した模様。
(る)にてわずかに登場し、命の恩人の丈斗を実験台にしたいという意思を述べた。
遊天童子(ゆうてんどうじ)
丈斗に憑く妖怪。金髪でベリーショート、ウエイトレスのようないでたちで、背中に赤い番傘をさしている。甘党で特におはぎが好物。普段は普通の人の姿だが、虎の頭をした獣人に姿を変えることもできる。
丈斗の先祖にあたり、丈斗の家系の人々を見守ってきた。だが、唯々諾々と周囲に流されるようなつまらない人間は生きていてもしょうがない、という考えも持っている。番傘には白字で「極楽浄土」の4文字が書かれており、そこにこれまで見守ってきた人の妖魂のうち透明なものをはめ込んでいる。このコレクションはその人を最後まで見守ったということの証のようなものとのこと。
右腕を千切られた丈斗に、自分の右腕をあげた。
月華に恋心を抱く。ウエイトレス姿は彼との約束によるもので、さらにおはぎも月華との出会いがきっかけで好きになったようだ。一人称は「俺」だが、性別は不詳。
ミョウラ
豹柄のミニワンピースを着た美女の姿の妖怪。豹に姿を変えることもできる。遊天とは古い友人。
強い力を持っていると噂されるが、決闘を申しこまれると負けを認めて試合を放棄してしまうので、その実力は未知数。
地下校舎に住んでいたが、「なんか面白そうだから」と丈斗の家に居候し始めた。
モーギ
紅椿学園周辺の妖怪の兄貴分の牛鬼。かつては格闘で名を馳せていた。
妖怪狩りを強行する丈斗の討伐をしようとするが、ぬらりひょんの口車でそれをやめて、代わりに丈斗がこれ以上無駄な妖怪狩りをしないように見張るため、丈斗の家に居候する。
ぬらりひょん
目立たない老人の妖怪。その見た目とは裏腹に、妖怪総大将の座についている。のらりくらりとしているが、実は腹黒かったりする面もある。
デビモ
地下校舎に巣食って学園に災厄をまき散らしていた妖魔。夏芽を取り込んで知恵がつき、妖魔術クラブを苦しめていたが、丈斗の働きによって夏芽を取り戻されてしまう。その後、妖魔術クラブの兵器の中の人工妖魂を喰らい巨大化するも、丈斗に倒される。
デビモは、妖魔術クラブが「デビルモンスター」を略して付けた名前。
縊鬼(くびれおに)
駅のホームなどにいる、疲れた人を殺す妖怪。馬首山に住むものは、元は美也乃の父親で、ベロルによって妖魔兵器にされていた。忠誠を誓っていたベロルに捨てられ、最期は丈斗に撃ち抜かれた。
カウラ
星天使の中でも非力なもの。エレメンタルを自由に操れる。デオドアに召喚された後、密かにリリスとリカーラを召喚しデオドアを乗っ取った。
彼はかつて人間であった。永遠の愛を誓ったリリスを自分の国と引き換えに殺し、それから永きにわたって業を受け続けてきた。丈斗と同化し、その業は丈斗に引き継がれることになった。
リリス
星天使。情報をどこにでも飛ばす能力があり、その後物質転移能力にも目覚めた。カウラとともに業の輪廻の中にいた。ナツメと同化する。
リカーラ
星天使で「黒い光の神」とも呼ばれる。攻撃・防御に長ける。地球侵攻に向かったが、その後カウラの命により、五郎八を守ることとなる。

放課後退魔録(る)編集

放課後退魔録(る)』(ほうかごたいまろく マルる)は、放課後退魔録の続編として書かれたライトノベル作品。放課後退魔録の2年後を描く。岡本賢一著で、イラストは前作と同じく黒星紅白である。角川スニーカー文庫刊。

サブタイトルの「ワラキズ」はあとがきによると「笑う鬼神と傷のある少女」の略。(る)については、何を意味しているのか明かされていない。

I.とサブタイトルについてはいるが、2005年1月1日にI.が発売されて以来新刊は出ていない。

あらすじ編集

紅椿学園中等部に通う狛止米子と瀞牧兼は、ある日校内でウサミミを拾い、それを付けると今まで見えなかったドアが見えた。好奇心から2人は中に入るが、結界により外に出られなくなり、さらに妖怪に襲われてしまう。妖魔術クラブにその場を助けられ2人は窮地を脱し、彼らの話を聞いて妖怪について知る。そこに、水鬼を初めとした妖怪たちが襲撃してくる。その戦闘で米子は、自分の父を殺したのがその水鬼だったと知る。水鬼は逃走し、米子は水鬼への復讐を決意。米子と兼は妖魔術クラブの会員となる。

九堂たちに妖魔術の基本を教わった2人。そこに敵が現れる。水鬼に違いないと意気込んで現場に向かった米子だが、彼女はそのまま敵の手に落ちてしまう。米子をさらった水鬼は、米子に自分の過去と米子の父との約束を語る。そこに敵の黒幕であるピヨトルの側近が現れ水鬼に米子を喰うよう命令するが水鬼はこれを拒んで殺される。米子も殺されそうになったが、状況を不利と判断した敵はその場から撤退し、米子は難を逃れる。そして妖魔術クラブはピヨトル、そしてベロルの狙いを知る。ベロルは大天使を召喚して強大な力を手に入れようとしていたのだ。

そして、ピヨトルを裏切り殺した彼の側近・ザラバザが大天使に転生する。地球侵略をもくろむ彼を阻止しようとするザラバザを止めるべく米子と兼は戦うがまるで歯が立たない。そして兼はザラバザによって瀕死の状態となるが、そこで兼が大天使を召喚・転生する。ザラバザより数段強い鬼神となった彼はいとも簡単にザラバザを殺し、さらなる破壊をしようとする。米子は兼に必死で呼びかけ、兼は自我を取り戻して鬼神から人間の姿に戻ることができたが、代わりに妖怪となってしまったのだった。

新出用語編集

基本的な用語は前作と共通である。

大天使(だいてんし)
「神々が隠したエレメンタル」とも呼ばれる、人型の12の存在。メラ星にも地球にもいる。四大天使と呼ばれるものから、とても弱い者までいる。力の強さは天使係数で表される。
大天使を召喚すると、召喚者はその大天使に転生して強力な力を得られる。召喚される大天使はルーレットのようなもので決められるので、強いものを召喚できるかは運任せ。またまれに大天使を二体召喚するものもいる。その場合は、2体の天使の天使係数の掛け算で、合成後の力が決まる。ニ体召喚に成功すれば、最強の天使を一体召喚するよりもはるかに強大である。

登場人物・妖怪など編集

狛止米子(こまどめ こめこ)
紅椿学園中等部2年生。元々妖魔術の素質があり、前からぼんやりとした妖怪の姿を見ていた。幼いころの水難事故で、顔に大きな傷跡があり、その事故で父を亡くした。
父の死が水鬼のせいだと知り、その水鬼を殺そうとしたが、結局果たせなかった。そしてその悔しさを糧に、ザバラザに挑む。
瀞牧兼(とろまき かねる)
「瀞」の字は、正確にはさんずいに「静」だが、表示の便宜上ここでは「瀞」としている。
紅椿学園中等部2年生。米子と幼馴染。妖魔術の素質は全くない一般人。米子が「か」にアクセントを置いて外国人の名前のように「カネル」と呼んでいるので、周りにもそのイントネーションが定着している。
あだ名は「ハイテンションのび太」で、ツッコミ役。米子といつも一緒にいることから「金魚のフン」と揶揄されることもある。米子のためならば危険を顧みず行動する。
大天使のうち最弱のアナエルを二度召喚し、結果鬼神として強大な力を得るが、代わりに妖怪化してしまった。
ロロミ
他校から妖魔術クラブに入りに来た妖魔術師の少女。強力な術を使うが、力不足を理由に妖魔術クラブ入会を拒否された。そのため、入会許可された米子を恨んでいる。なぜかドアを開けられないので、どうしてもそこを通るときは連れている小龍に壁やドアを切り刻ませる。
シリル
黒い詰襟に黒いマントをはおり、学生帽をかぶった少年。エレメントを含ませたタロットカードを投げて攻撃する。外国人のような名前だが日本人。
寺流五郎八(てらながれ いろは)
妖魔術クラブ現会長。メラ星の両親のもとに行っていて半年ほど休学したため、3年生で留年した。彼女の慕う妖怪は数多く、召喚円を使う必要がないほど。
桜宮サヤ(さくらみや サヤ)
紅椿学園卒業生。結界で地下校舎から出られなくなっていた米子たちを救い出した。相変わらずウサギ好きなようである。前作ではうまく作れていなかった人工精霊を操るなど、実力も上がっている。
九堂よしえ(くどう よしえ)
紅椿学園卒業生だが、なぜか紅椿学園の制服を着ている。最近体に改造を加え頭に補助電源を付けて、首だけになってもある程度生きられるようになった。後頭部に補助電源のスイッチが付いているようだ。
雨神丈斗(あまがみ たけと)
地球を救った伝説の人物。地球を救ったのちに力の使いすぎで死んだとされていたが、それは強い力を持つ彼が無防備な状態だと知られないための嘘であり、本当は地下校舎の奥で眠りについていた。
ピヨトル
ベロルの元副官。サイボーグによる延命措置を繰り返し、その末に細胞が死にかけて人工細胞も拒否反応を起こし、今では脳と頭の一部しか体がなくなっている。大天使との融合で命を長らえベロルに復帰しようとするが、ザラバザに裏切られ殺される。
ザラバザ
ピヨトルの腹心の緑の鬼。ピヨトルを殺し、大天使ガブリエルと融合するが、鬼神となったカネルに倒される。
マリマ
酷薄な女研究員。背中に機械じかけの8本の腕が収納された薄い箱を背負う。研究のためなら寝返りも何とも思わない。ダリオを姉さんと呼ぶ。
シロ
フェレット鬼。パンダのぬいぐるみのユウを背負っている。いつもロロミにいじわるされているらしい。前作のラストでもわずかに登場していた。
タカイタカイ
マットのような姿で、人が近付くと触手でその人を放り投げる。だがそれは決して怪我しないようなもので、じゃれているのに近い。ちょっといじめられるとすぐに逃げてしまう。米子が召喚円を書くと、なぜかタカイタカイしか来ない。コンペイトウが好き。
遊天童子(ゆうてんどうじ)
丈斗に憑く妖怪。丈斗が眠っている今は、アマタケの護符を不正使用する者などがいないか見張っている。
水鬼(すいき)
透明な大蛇の姿の妖怪。米子の父を殺した。
かつて商人を溺れさせようとした時、商人は娘が育つまで待ってくれといった。水鬼はそれを信じ商人を逃がしたが、商人は戻ってこなかったばかりか、水鬼を退治しようとした。そこで水鬼はその一家を皆殺しにした。その時から水鬼は、人間を溺れさせ、約束を交わして逃げさせては、約束を守らない人間の一家全てを喰ってきた。米子の父は、約束を守って米子の代わりに水鬼に殺されたのだった。
米子の父と交わした約束を果たすため米子を喰うことを拒むなど、心底からの悪い妖怪ではないようだ。

既刊編集

関連項目編集

  • 長嶋有 - 放課後退魔録(る)にて解説を寄稿