斜長石(しゃちょうせき、Plagioclase、プラジオクレース)はケイ酸塩鉱物の中の長石の一種であり、固溶体の一つである。(2つのへき開面を持ち斜めに交差していることから、ギリシャ語plágios (πλάγιος '斜め') + klásis (κλάσις '割れ目')に因みplagioclase feldsparと名づけられた。)ドイツの鉱物学者であるヨハン・F・C・ヘッセル英語版が1826年に発見した。この鉱物は曹長石から灰長石までの一連の鉱物の端成分(それぞれの鉱物を組織するNaAlSi3O8やCaAl2Si2O8など)を占めており、ナトリウムカルシウムなどの原子が結晶格子に入ることができるようになっている。斜長石はその抱合的な双晶か「レコードの溝効果」の観察で特定される。

斜長石
分類 長石の一種、立体網状珪酸塩英語版
化学式 NaAlSi3O8 – CaAl2Si2O8
結晶系 三斜晶系
対称 三斜晶系の卓面
H-M記号: (1)
空間群: C1
晶癖 粒状の塊
双晶 多く存在、曹長石の{001}に条線あり[1]
へき開 {001}と{010}
粘靱性 もろく砕けやすい
モース硬度 6 - 6.5
光沢 ガラス
灰色、青白、赤みの白、緑みの白
条痕
透明度 透明もしくは半透明
比重 2.62 (曹長石) to 2.76 (灰長石)[1]
光学性 二軸性 (+) 曹長石, 二軸性 (-) 灰長石[1]
屈折率 曹長石: nα 1.527, nβ 1.532 nγ 1.538
灰長石: nα 1.577 nβ 1.585 nγ 1.590[1]
溶解度 曹長石は塩酸に溶解し、灰長石は塩酸で分解される[1]
文献 Webmineral data
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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斜長石のへき開した状態
火山岩では粒度の小さい斜長石が'マイクロリティック'な状態を小さな結晶内で見せることがある。

斜長石は地殻の主要な構成成分であるため、岩石学岩石組成を特定し、火成岩の起源と成長を調べるために使われる。斜長石はまた月の石の主成分である。

斜長石の種類 編集

斜長石の鉱物の組成
% An = % CaAl2Si2O8
% Ab = % NaAlSi3O8
Name % An % Ab
 
灰長石
90–100 10–0
 
亜灰長石
70–90 30–10
 
ラブラドル長石
50–70 50–30
 
中性長石
30–50 70–50
 
灰曹長石
10–30 90–70
 
曹長石
0–10 100–90

脚注 編集

  1. ^ a b c d e Klein, Cornelis and Cornelius S. Hurbut, Jr.; Manual of Mineralogy, Wiley, 20th ed., 1980, pp.454-456 ISBN 0-471-80580-7

関連項目 編集