桜井掬水(さくらい きくすい)は、山形県天童市在住の駒師伝統工芸士、山形県将棋駒協同組合専務理事。本名・桜井和男[1]

長男の桜井淘水とうすい(本名・桜井亮)も駒師である。

経歴 編集

1971年、23歳のとき駒師に弟子入りする。当時は東京駒が高級品で天童駒は普及品とみられていた[2]

あるとき、兄弟子の村上秀峰が実演のため名古屋へ行き、そこで板谷進棋士から対局用の盛上駒を見せてもらう。天童に戻ってきた村上は「いっしょにタイトル戦で使われる駒を作ろう」と桜井を誘った。はじめ、村上が彫りを、桜井が漆を担当したが、二人は互いの技法を教え合い、1985年頃には二人とも彫りと漆を自身で手掛けるに至った[3]

同時期、天童では駒木地を作る職人が絶えたため、桜井は原木の仕入れから仕上げまで一貫して行うことにした[3]

2010年、第28回天童市技能功労者褒賞受賞[4]

2011年、山形県卓越技能者知事表彰を受ける[4]

2015年彬子女王(全国中学生将棋選抜選手権大会の名誉総裁)に駒を献上[5]

2018年、将棋関係者として初めて文化庁長官表彰を受ける[1]

2023年、経済産業大臣表彰を受ける[4]

現在、5人しかいない将棋駒の伝統工芸士の一人[1]名人戦竜王戦などの対局では毎年桜井の作品が採用されている。2024年1月27日 - 28日王将戦第3局(藤井聡太菅井竜也)では淘水とうすいの作品が使用された[6]

出典 編集

参考文献 編集

  • 「将棋とおやつをめぐる旅」『トランヴェール』第37巻第4号、東日本旅客鉄道、2024年4月1日、6-17頁。 
  • 桜井掬水. “掬水のプロフィール”. 掬水の駒. 2024年4月28日閲覧。
  • 「文化庁長官表彰を報告 天童 将棋駒工芸士・桜井さん」『山形新聞』、2019年3月20日、26面。

外部リンク 編集