極楽寺 (山武市)

千葉県山武市蓮沼中根にある仏教寺院

極楽寺(ごくらくじ)は、千葉県山武市蓮沼中根にある浄土宗鎮西義の寺院。山号は中根山、院号は光宗院、本尊は阿弥陀如来上総広常の孫光宗の要請により、記主禅師然阿良忠上人が正嘉元年(1257年)に開山した。

極楽寺
所在地 千葉県山武市蓮沼ハ-1033
位置 北緯35度36分07秒 東経140度29分54秒 / 北緯35.60194度 東経140.49833度 / 35.60194; 140.49833座標: 北緯35度36分07秒 東経140度29分54秒 / 北緯35.60194度 東経140.49833度 / 35.60194; 140.49833
山号 中根山
院号 光宗院
宗派 浄土宗鎮西義
本尊 阿弥陀如来
創建年 正嘉元年(1257年
開山 良忠
正式名 中根山光宗院極楽寺
法人番号 1040005010551 ウィキデータを編集
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開創 編集

寿永2年(1184年)に上総広常が粛清された際、その孫の光宗は家老油井隼人兼房に伴われ従者27人と共に海岸伝いに当地に逃れ河中の小島に仮屋を建て隠れ住んだ。そして低湿地帯の開拓を進め50年を過ぎ一村を成すに至り、光宗は石橋丹後守を名乗った[1][2]。そのような折、栗山川を隔てた北東の匝瑳郡では、浄土宗第3祖然阿良忠が布教活動を続けており、霊夢を感じた光宗は使いを遣わし良忠を迎え一寺を建てた[3]。開創の際良忠が17日の説法を講じた時、かたわらの蓮沼池のの花が今を盛りと咲き乱れあたかも極楽浄土のありさまであったので、寺名を「極楽寺」と号し、村名を蓮沼と称するに至ったとされている[2]

末寺 編集

ほとんど寺院が天台宗真言宗の山武市にあって、蓮沼地区にのみ浄土宗の寺院が偏在し[4][注釈 1]明治時代までは当寺の末寺である蓮光寺、蓮花寺、薬王寺、超勝寺、稱名寺、清浄院、東光院などがあり[3]、このうち蓮沼南の蓮光寺(蓮沼二2235)、蓮沼殿台の蓮花寺(蓮沼イ1847)が現存している。正元元年(1259年)良忠が外護者の椎名八郎胤光と衝突し匝瑳南条荘を去り、多くの浄土宗の寺院が真言宗などに改宗したが[5][注釈 2][注釈 3]、蓮沼地区の寺院は浄土宗のままであり、他の宗派の寺院は存在せず「一円浄土」と呼ばれている[4][7]

境内 編集

大区小区制のもとでは扱所の庁舎に使用され、明治17年(1884年戸長役場に変更、町村制施行後は村役場が置かれた。後、補修学校が、現在は蓮沼保育園が置かれている。

アクセス 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 南側の旧・山辺郡上総七里法華の管内であり、日蓮宗以外の寺院の存在は許されなかった。
  2. ^ 成田山新勝寺中興一世貫首照範が得度した寺として知られる横芝光町の真言宗新善光寺はその寺名から、また善光寺様式の三尊像本尊としていることも、良忠との関係をうかがわせる。
  3. ^ 広済寺では、鬼来迎薩摩僧侶石屋によるとされるが、香取市の旧・小見川町下小堀の浄福寺では良忠が紹介したものと伝えられており、広済寺についても良忠との関係がうかがえる[6]

出典 編集

  1. ^ 千葉県の地名, p. 736.
  2. ^ a b 山武郡郷土誌, p. 478.
  3. ^ a b 山武郡郷土誌, p. 484.
  4. ^ a b 山武市宗教法人一覧”. 宗教法人名簿(千葉県). 2024年4月1日閲覧。
  5. ^ 千葉県の地名, p. 645.
  6. ^ 千葉県の地名, p. 30.
  7. ^ 極楽寺”. 山武市観光協会. 2024年4月4日閲覧。

参考文献 編集

  • 平凡社地方資料センター『千葉県の地名』(オンデマンド版)平凡社〈日本歴史地名大系〉、2003年。ISBN 4582910319NCID BA69222670全国書誌番号:97010628 
  • 千葉県山武郡教育会『山武郡郷土誌』臨川書店〈千葉県郷土誌叢刊 復刻版〉、1987年。ISBN 4653015821NCID BN07618018全国書誌番号:87051018 

外部リンク 編集