千葉県(ちばけん)は、日本の関東地方に位置する県庁所在地千葉市

ちばけん ウィキデータを編集
千葉県
幕張新都心業務研究地区
成田山新勝寺 犬吠埼灯台
鋸山地獄のぞき 御宿海岸
成田国際空港第1ターミナル
千葉県の旗 千葉県徽章
千葉県旗 千葉県徽章
日本の旗 日本
地方 関東地方
団体コード 12000-6
ISO 3166-2:JP JP-12
面積 5,156.48km2
(境界未定部分あり)
総人口 6,277,695[編集]
推計人口、2025年6月1日)
人口密度 1,217人/km2
隣接都道府県 茨城県の旗 茨城県
埼玉県の旗 埼玉県
 東京都
県の木 マキ1966年9月29日指定)
県の花 菜の花1954年4月NHK一般公募)
県の鳥 ホオジロ1965年5月10日指定)
県の魚
県民歌
県民の日
県のマスコット
タイ1989年2月23日指定)
千葉県民歌1964年12月制定)
6月15日
チーバくん2011年1月指定)
千葉県庁
知事 熊谷俊人
法人番号 4000020120006 ウィキデータを編集
所在地 260-8667
千葉県千葉市中央区市場町1番1号
北緯35度36分16秒 東経140度07分23秒 / 北緯35.60458度 東経140.12319度 / 35.60458; 140.12319座標: 北緯35度36分16秒 東経140度07分23秒 / 北緯35.60458度 東経140.12319度 / 35.60458; 140.12319
千葉県庁
外部リンク 公式ウェブサイト
千葉県の位置

千葉県行政区画図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町 / ― 村

地図
県庁舎位置
ウィキポータル 日本の都道府県/千葉県
ウィキプロジェクト

首都圏を構成し、都道府県人口人口密度は第6位[1]、県の財政力指数は全国第4位(2022年度)[2]面積は第28位、県内総生産は7位(2021年度)[3]の規模である。

概要

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千葉港中央部
 
京葉工業地帯
 
幕張メッセ幕張新都心

日本関東地方南東側、東京都の東側に位置し、県域は東海道筋に古くから栄えた律令制以来の房総三国である上総国南総)・安房国房州)の全土と、下総国北総)の一部から成り立っている。県の大部分を房総半島が占める。

中心業務地区幕張新都心アジア地域有数の国際見本市会場である幕張メッセ、国際線旅客数・就航都市数・貿易額で日本一成田国際空港東京港横浜港などとともに東京港湾の一角を担う千葉港、水揚げ量日本一で日本三大漁港の銚子漁港、集客施設来場者数日本一の東京ディズニーリゾート(TDR)、日本で唯一国際標準模式層断面及び地点に認定され、チバニアン(千葉時代)として地質年代の名称になる証拠となった地層千葉セクション東京大学千葉大学(柏キャンパス)、国立ガン研究センター(東)を中心とした公・民・学連携の柏の葉スマートシティ、日本一の数を有する海水浴場、自然豊かな南房総国定公園水郷筑波国定公園などを筆頭とした観光リゾート地、優れた社会基盤、豊かな地域資源、バランスの取れた産業構造を核としている[4]東京湾臨海部の内房地域には製造品出荷額全国第2位の市原市[注釈 1]を中核に京葉工業地域の工場群が広がっており、工業も盛んである。成田国際空港がある影響で訪日旅客数は東京都大阪府に次いで全国第3位[5]

県の人口は6,284,480[6]、面積は5,156.74平方キロメートル(km2[7] である。1920年(大正9年)10月1日、国勢調査での県の人口は約100万人であった。その後東京一極集中の影響で鉄道アクセスがよい地域を中心に増加を続け、1983年10月1日には500万人を超え、2002年9月17日に600万人を突破した。以降、人口は増加傾向である[注釈 2][8]東葛飾地域千葉市といった東京から地理的に近い県北西部に県内の人口が偏重している。また、これらの地域は鉄道交通の利便性が高いため東京都区部(23区)に通勤通学する居住者が多く、県庁所在地である千葉市も含めて東京ベッドタウン衛星都市となっている(「千葉都民」も参照)。そのため、県内の昼夜間人口比率は100を大きく下回り、県全体で90前後である[9]

県内の市町村数は54市町村 (37市16町1村)、県内の政令指定都市千葉市中核市船橋市柏市業務核都市は千葉市・柏市成田市木更津市印西市である。船橋市柏市千葉市の駅前を中心に商業が発展している。

概史

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1873年(明治6年)6月15日に、北西部の印旛県と南部の木更津県が合併し、旧両県の境で千葉氏の本拠地でもあった現在の千葉市中央区亥鼻城址周辺)に県庁が設置され、現在の千葉県が成立した。6月15日が県民の日と定められた所以である。1875年(明治8年)5月7日 には新治県が廃止分割され、利根川以南の下総国に属する香取郡・海上郡・匝瑳郡が千葉県に編入された。

県内には100万規模の人口を有する政令指定都市千葉市を筆頭に、中核市最大の人口約64万人を有する船橋市、50万都市の市川市松戸市、40万都市の中核市である柏市、30万近い都市の市原市、20万都市が流山市八千代市と中核市同等の人口を持つ自治体が多数存在することも特徴として挙げられる。千葉市は国家戦略特区国際会議観光都市都市再生特別地区・グローバルMICE都市[10] に指定されており、国際機関を始めとした国の業務中枢機能と住宅中心の土地利用計画を大幅に見直した幕張新都心を中心に、関東地方において独自の重要性を持つ世界に開かれた国際都市の役割を担う。

平地の割合が大きく、可住地面積が広いことからも古くから住宅地開発が進んでおり、県北西部の人口は稠密である。特に高度経済成長と都市部の過密化により、通勤五方面作戦にて複々線化を行った総武本線常磐線京成電鉄沿線に位置する都市は繁華街も多く、大規模商圏による拠点性・集積性のある駅周辺の人口増加が著しい傾向にある[11]。近年では都市再開発が進み、全国1741市区町村中、財政力指数が第7位の浦安市や第16位の成田市(2023年度)[12]など、財政制度施設が充実した都市も増えている。特に新通勤五方面作戦で提示された性格を継承して開業した京葉線沿線(新浦安南船橋幕張ベイタウンなど)や、つくばエクスプレス沿線(流山おおたかの森[13]柏の葉キャンパスなど[14])のほか、北総鉄道北総線京成松戸線(旧・新京成電鉄新京成線)沿線[15]新鎌ケ谷など)、東葉高速線沿線(八千代緑が丘八千代中央など)、東京湾アクアラインにより利便性が向上した袖ケ浦市・木更津市(かずさアクアシティ[16])などでは、新興住宅地の開発が加速し、東京都心成田国際空港東京国際空港[17] へのアクセスの良さからも、大規模なマンション住宅街が林立し、商業施設の充実、整備された公共施設、自然豊富な住環境が整っている[18]

地域ごとに多様な特色を持っており、バランスの取れた産業構造(農業漁業工業商業)である。太平洋ベルトを構成する京葉工業地帯浦安市から富津市)の東京湾沿岸は都市化工業化が進んでおり、日本三大港湾に係る基幹産業の大規模施設として、発電所製鉄所製油所造船所のほか、コンテナターミナル物流センターLNG基地石油コンビナートなどが立地している。製造品出荷額は愛知県、大阪府、静岡県、兵庫県、神奈川県に次いで全国第6位(2022年)である[19]。また、柏の葉地域(柏市)には東京大学千葉大学(柏キャンパス)、国立ガン研究センター(東)を中心とした公・民・学連携の新産業創造都市(柏の葉スマートシティなど[14])が形成されているほか、北総地域では地盤の堅さなどからデータセンター(DC)が進出しており、特に印西市では外資系企業を含むDCが集中していることから、「データセンター銀座」とも呼ばれている[20][21]。一方、酪農発祥の地である嶺岡牧や日本三大漁港の銚子漁港など、太平洋関東平野の地勢を生かした近郊農業・漁業が発達しており、平野部では畑作稲作が盛んなほか、丘陵部では酪農が盛んである。農業産出額は全国第4位(2022年)[22]、海面漁業・養殖業産出額は第19位(2022年)[23]である。

貿易港としても貿易額日本一の成田国際空港や、日本三大貿易港である千葉港を有するほか、南房総市の太平洋沿岸には通信事業者海底ケーブル陸揚局が集中しており、北アメリカアジア諸国を通信で結ぶ重要拠点となっている[24][25][26][27]

2021年度の県内総生産は20兆8,069億円であり、世界の過半数の国の国内総生産より大きな規模を有している[3]

名称

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「千葉」という地名は、平安時代初期に編纂された勅撰史書『日本後紀』より、律令制以前の千葉国造国造名)や律令制以来の千葉郡名)にみることができる。

地名の由来については諸説あるが、現存の文書中最も古くにみえるのは、日本に現存する最古の和歌集である『万葉集』に防人であった下総国千葉郡の大田部足人755年天平勝宝7歳)に詠んだ遠方へ赴いた兵士が故郷に残した切ない初恋の防人歌[28] として、歌の冒頭に「知波乃奴乃(千葉の野の)」と記されている[29]。また、奈良時代の『日本書紀』と『古事記』の両書には、応神天皇大和国から近江国に向かう途中、山城の宇治野の丘で遠く葛野一帯を望んでの国見歌で現れる「千葉の」は「数多くの葉が繁茂する」の意で、葛の葉が良く繁栄したことから葛の枕詞として用いられたのだと、契沖国学者)以来考えられており、「千葉」という地名に託した願い「土地と子孫の繁栄を願っての地名」を知る上での重要な資料とされている[30]

『万葉集』「第20巻4387番」より和歌の詳細については、以下を参照。

『万葉集』「第20巻4387番」より
原文
知波乃奴乃 古乃弖加之波能 保々麻例等 阿夜尓加奈之美 於枳弖他加枳奴
和歌
千葉の野の 児手柏の 含まれど あやに愛しみ 置きて高来ぬ
(訳)
千葉の児手柏の葉がまだ開ききっていないように、若くあどけない彼女(娘)が何とも痛々しく、手も触れずに遠く遥々やってきた。

『日本書紀』「歌謡三四原歌」より和歌の詳細については、以下を参照。

『日本書紀』「歌謡三四原歌」より
(原文)
知麼能 伽豆怒塢彌例麼 茂々智儾蘆 夜珥波母彌喩 區珥能朋母彌喩
(和歌)
千葉の 葛野を見れば 百千足る 家庭も見ゆ 国の秀も見ゆ
(訳)
千葉の葛野を眺めると、数多くの富み栄える民の家々も見える。国の中でもっとも繁栄したところにもみえる。

地理

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愛宕山(408.2メートル、県最高峰)
伊予ヶ岳(336.3メートル)
県立印旛手賀自然公園(手賀沼
県立九十九里自然公園(九十九里浜
盤州干潟(江川海岸)

千葉県の県庁所在地である千葉市を中心にコンパスで円を書くと、南西諸島以外の日本列島は半径1,000キロメートル圏内にほとんど収まる位置にある。地理的特性として関東平野に含まれるが、南部は東と南を太平洋、西は東京湾と三方を海に囲まれた房総半島となっている。平野丘陵が県土の大半を占め、海抜500メートル以上の山地がない日本で唯一の都道府県である。外洋に面していることから古来より開放的で外来文化が渡来しやすいという良い側面もあった。また、隣接する都県とは利根川、江戸川、東京湾、太平洋によって画され、古くは外敵の進入を防ぐ役割や覇者の起死回生の地としての役割を担ってきた。近年では東京湾フェリー東京湾アクアラインの開通によって半島性が緩和されている[31]

地勢上、広大な可住地と、長大な海岸線を有している。起伏の少ない県であり、関東平野の一部である北部は、海岸(東京湾太平洋)や河川(利根川江戸川など)沿いの低地と下総台地からなる。南部側は房総丘陵などの丘陵地帯だが、最高峰は標高408メートルの愛宕山であり、全都道府県のうち最高峰(点)が最も低い。そのため比較的温暖な気候に恵まれている。また、沖縄県以外の都道府県では唯一、冷温帯林が存在しない。標高329メートルの鋸山鹿野山など、観光地化されているところもあり、南房総国定公園水郷筑波国定公園など、景勝地も豊富である。下総台地は関東屈指の畑作地帯で根菜や、西瓜など有名である。また、葛飾地方は江戸時代から梨の生産が盛んだが、栽培が難しい上に、戦後の都市化の影響で、年々梨園は減少の一途を辿っている。また市川市ではかつて桃の栽培もされており、総武線や京成本線沿線の黒松並木は桃農園の境だった。房総は鐵道や町の近代化が遅れていたため、昭和後期頃までは昔ながらの風景が残っていた。しかし、観光地化によって町は発展したものの、昔ながらの営みは失われかけ、房総独特の文化や自然は減ってしまっている。だが、それらを取り戻そうと奮闘する人たちもいる。まだ自然と人とのバランスが保たれた営みはは残っているもののいつまでつづくかはもはや時間の問題である[1][出典無効]

房総半島の東京湾側は内房(うちぼう)、房総半島の太平洋側は外房(そとぼう)と呼ばれ、主に房総半島の洲埼洲埼灯台がその境とされる。

内房の東京湾沿いは埋立地が多く浦安市などでは面積が増加した。そのため、県の面積が一時、愛知県を上回っていた時期もある[注釈 3]。東京湾口には館山湾があり、浦賀水道の対岸には三浦半島神奈川県)がある。房総半島の洲埼灯台と三浦半島の剱埼灯台を結ぶ線は浦賀水道(東京湾)と太平洋との境界となる。

外房の太平洋沿いには九十九里浜が面し、九十九里平野が広がる。半島南部には房総丘陵、半島中央部には上総丘陵と上総台地 、半島北部には下総台地があり、これらの台地や丘陵には縄文期侵食によってできた谷底平野谷津田)も見られる。一方で半島の北部から中部にかけて下総台地を囲む形で北西に江戸川低地、西に東京湾岸低地、北に利根川下流低地、東に九十九里沖積低地が分布する。

関東地方に属する都県では唯一、関東以外の地域と隣接していない。

平均海抜は46メートルとなっており、これは沖縄県の43メートルに次いで低い数値である[32]。そのため、縄文海進が最大規模となった紀元前4000年ごろには、現在の古東京湾(南部)と香取海(北部)によって本州と分断されており、後に赤堀川逆川が開削される微高地で繋がっている状態であった。

印旛沼は長門川と印旛放水路の二つの川と接続しており、長門川は印旛沼から利根川へ流れる河川であるが、印旛放水路は利根川の増水時に長門川による印旛沼の排水が困難になった際に東京湾に排水を行う役目を持つのが特徴である。

県の最端部は突出しているのが特徴である。県最北端は野田市の関宿地区(関宿藩城下町)となっており、そのほかは海に突出するとなっている。

  • 県最東端:犬吠埼銚子市
    • 東経140度52分10秒。関東地方最東端。厳密には犬吠埼北側の君ケ浜北端の岬が東経で11秒ほど東にあり、統計上はこちらが最東端となる。犬吠埼灯台近くには、ユーラシア大陸最西端であるポルトガルロカ岬との友好碑が建てられている。
  • 県最西端:富津岬富津市
    • 東経139度44分21秒。東京湾中に明治から大正期に東京湾防衛のために造られた砲台跡の第一海堡第二海堡の海堡がある。この二つの人工島が千葉県に属すため、厳密には第二海堡が県最西端となる。
  • 県最南端:野島崎南房総市
    • 北緯34度53分17秒。元禄地震で付近が隆起し、それまで島であった野島が陸続きとなり、野島崎となる。野島崎灯台から更に南の岩礁が最南端となる。

地質

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第三紀層および白亜紀堆積層。県内には学術的貴重な地層を数多くみることができる。代表例として最東端の犬吠埼では1億3000万年前から1億年前の恐竜時代の地層(砂岩泥岩互層)を見ることができ、白亜紀浅海堆積物として国の天然記念物に指定されており、日本の地質百選にも選定されている。

千葉セクション市原市)では、約77万年前の地層を見ることができ、地球史上で最後の地磁気逆転松山‐ブリュンヌ逆転)が起きた時期である更新世の前期と中期の境界を示すものとして極めて貴重であり、国際標準模式層断面及び地点 (Global Boundary Stratotype Section and Point, 略称:GSSP) の候補となった。2020年1月17日、正式に国際地質科学連合により国際標準模式層断面及び地点として認められ、77.4万年前から12.9万年前までの期間が「チバニアン」(Chibanian、千葉時代)と命名されることになった[33]。地質年代に日本の地名が使われるのは初めてである。「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」の名称で、国の天然記念物にも指定されている。

鋸山の周辺で採石される石は房州石(ぼうしゅういし)と呼ばれ[34]、このうち鋸山頂上付近でとれるものを金谷石、元名石と呼び[35]、高宕山でとれるものを高宕石と呼ぶ。これらは、上総層群の竹岡層からなる凝灰岩でできている。上総層群は三浦半島に分布する三浦層群と同時期に形成されたことがわかっている[34]南房総市荒川にて2009年採石場新鉱物千葉石)も発見されている。

地形

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平野・丘陵

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河川

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千葉県は大部分が平野部と低山で構成されているので、急な流れの川や大きな川は少なく、そのような川は多くが利根川のように他県から流れてくるものである。

利根川夷隅川養老川栗山川小櫃川一宮川小糸川南白亀川村田川作田川木戸川塩田川桑納川手賀川大堀川

湖・沼

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印旛沼手賀沼大利根用水両総用水成田用水東総用水利根運河利根川河口堰黒部川水門北千葉導水路房総導水路行徳可動堰江戸川水閘門(江戸川水門)

亀山湖高滝湖豊英湖八鶴湖雄蛇ケ池三島湖与田浦岩婦湖浜の池

海・海岸

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太平洋東京湾館山湾鹿島灘浦賀水道

名洗港海岸、上永井海岸、北九十九里海岸、横芝海岸、一宮海岸、太東漁港海岸、日在・和泉浦海岸、興津港海岸、東条海岸、白渚海岸、千倉海岸、館山港海岸、富山海岸、勝山漁港海岸、富津岬、木更津海岸、千葉港海岸幕張の浜検見川の浜・いなげの浜、千葉港海岸(船橋地区)船橋港親水公園[36]

干潟

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三番瀬谷津干潟盤洲干潟富津干潟

安房三名山(富山御殿山伊予ヶ岳)、愛宕山鋸山鹿野山清澄山、安房高山、三郡山嶺岡浅間高宕山

湧水

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千葉県内には多くの湧水地があり[37]久留里一帯では住民が管理する複数の井戸があり、名水として知られている[38]

熊野の清水(昭和の名水百選)、生きた水・久留里平成の名水百選

自然公園

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国定公園
南房総国定公園水郷筑波国定公園
県立自然公園
県立養老渓谷奥清澄自然公園県立九十九里自然公園、県立印旛手賀自然公園、県立高宕山自然公園県立嶺岡山系自然公園県立富山自然公園、県立大利根自然公園、県立笠森鶴舞自然公園

気候

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太平洋側の気候に属する。平野部が多く起伏の少ない県であり、山岳部の平均標高も低い。更に太平洋沖合いには黒潮暖流)が流れておりも少ない為、全体的には年間通して比較的温暖な気候に恵まれ、全域が太平洋側気候海洋性気候)に属する。内陸性気候特有のフェーン現象放射冷却の影響を受けにくく、真冬日豪雪冷害真夏日猛暑を観測することも少ないため、気象災害も起きにくい。

太平洋沿岸部などでは、海流や風の影響で涼しいため、真夏日日数も少ない避暑地である。一方、温暖な海洋性気候である南房総や北東部沿岸地域に対して、下総台地や山岳部(房総丘陵)などの内陸部は内陸性気候に近くなる。また近年では都市化の進行が著しく、都市部(主に県北西部)ではヒートアイランド現象が発生している。

天気予報などで示される地点は、気象台や旧測候所(現在の特別地域気象観測所)のある銚子市(北東部)、千葉市(北西部)、勝浦市(南東部)、館山市(南西部)といずれも海洋性の気候が強い地点であるため、県内内陸部の気温とは大きくかけ離れている点も少なくない。

  • 県北部下総台地佐原成田市印西市佐倉市など)
    県北西部から北東部にかけての内陸地域で、内陸性気候の特色が強い。千葉市の若葉区などの内陸部も含まれる。特に、佐倉市成田市香取市周辺にかけては筑波颪が吹き付けるために県内で最も寒さの厳しい地域である。1月の平均最低気温は成田が-2.2℃[39]、佐倉で-1.8℃[40]まで下がり、時には-5℃から-8℃前後まで下がることもある。
  • 県北西部東葛地域柏市我孫子市松戸市鎌ケ谷市船橋市など)
    柏市松戸市我孫子市流山市野田市鎌ケ谷市などが属し、湾岸部に並ぶ人口密集地である。市川市船橋市などの葛南地域の内陸部もここに該当する。内陸に位置しているため沿岸からの暖気の吹き込みに影響されにくいという点から、時に接岸型の南岸低気圧通過時には県内で唯一、雨に変わらずに雪のまま推移することで積雪を記録することもある。近年はヒートアイランド現象の影響で都市部を中心として、冬の冷え込みが和らぐ一方、夏は熱帯夜になりやすくなっており、東京都心の気候と類似するがそれでもいくらか気温は低めである。
    千葉県北西部の天気予報は一括して旧千葉測候所の天候が基準となるために、東葛地域の実際の天候・気温とは異なることも多い。そのため、2002年には気象庁予報警報区分では二次細分区域として「東葛飾」[注釈 4] という区分が誕生した。域内のアメダスは船橋と我孫子にある。
  • 湾岸部京葉地域浦安市など)
    浦安市から市川市、船橋市、千葉市、市原市までの東京湾に隣接した沿岸地域を示す。農地が少なく、県内では県北西部と並び人口密度が高い地域である。そのため、夏は熱帯夜になることもあり、冬は氷点下になることが少ないなど県内で最もヒートアイランドの影響を色濃く受けており、東京都心沿岸部の気候と類似する。千葉市の1月の平均最低気温は2.4度で[41]、これは南房総の鴨川1.7℃[42]や木更津1.6℃[43]、館山1.2℃[44]よりも高く、銚子2.9℃[45]、勝浦2.9℃[46]に次いで3番目の高さとなっているが、これは海に隣接した旧千葉測候所の露場の影響も大きい。千葉県北西部が南岸低気圧による雪の時、千葉市市原市ではの場合が多い。
  • 県北東部九十九里地域、銚子市、茂原市など)
    九十九里浜に沿って太平洋に面した地域で、海洋性気候となり千葉県の中でも年中温暖な気候である。特に銚子市の夏は関東平野部の中では最も涼しく、冬の最低気温も県内で最も高い。そのため夏は避暑地に、冬には避寒地として多くの観光客が訪れる。ヒートアイランドの影響が少ないため、少し内陸に入ると冬季は冬日になることも多い[注釈 5]。冬季の南岸低気圧通過時はこの地域には暖気を巻き込むことが多いため、積雪となることは非常に少ない。また、全般に夏は冷涼ながらも、茂原市などの南部内陸部は夏の日中県内でも暑くなりやすい。
  • 県南部南房総地域木更津市館山市市原市勝浦市など)
    南部は温暖な気候と一括されがちであるが、実際には、温暖な沿岸部と寒冷な内陸山岳部(房総丘陵)に二分され、さらに外房(太平洋側)と内房(東京湾側)で気候は異なる。
    内陸山岳部は標高の高い丘陵地帯であるため、年間の寒暖の差は大きく内陸性気候となる。冬は、アメダス地点の市原市牛久)や君津市(坂畑)などの標高の高い内陸部では1月と2月の平均最低気温は氷点下であり、冷え込むことが多く、標高が高い山々では、時に大雪となることがある。市原市(牛久)では内陸性の気候であり、県内の中でも猛暑日を記録することが多い。しかし、朝晩は涼しく熱帯夜は少ない。君津市(坂畑)は亀山湖に近い立地からか夏も涼しく、標高120メートル程の場所としては冷涼な地点のひとつである。
    一方、温暖な沿岸部、特に南房総地域は黒潮海流の影響で気候は年間通して温暖で、夏には多くの海水浴場が開設され、冬には避寒地として多くの観光客が訪れる。外房沿岸地域は特に温暖で、霜が降りることはあまりなく、南房総市の南端部は関東で最も春の訪れが早い地域である。一方、内房は外房ほどの温暖さはなく、館山特別地域気象観測所では、1月の平均最低気温が1.2℃[44]と千葉市より低く、冬日を観測することもある。気象区分では南部に属するものの、木更津市などは千葉市の気候とほとんど変わらない。
    夏は、外房の御宿町勝浦市などでは海流や風の影響で涼しく、勝浦の8月の平均最高気温は29℃ほどである[46]。また、過去に猛暑日を記録したことはなく[注釈 6][47]真夏日日数も少ない避暑地でもある。
千葉県内各地の平年値(統計期間:1991年 - 2020年[注釈 7]、出典:気象庁・気象統計情報
  下総台地 東葛地域 京葉地域
北東部 南部
佐倉 香取 成田 我孫子 船橋 千葉 銚子 横芝光 茂原 市原市
牛久
君津市
坂畑
木更津 勝浦 鴨川 館山
平均
気温
()
最暖月 26.3
(8月)
25.4
(8月)
26.0
(8月)
26.6
(8月)
26.8
(8月)
27.1
(8月)
25.5
(8月)
26.1
(8月)
26.8
(8月)
26.5
(8月)
25.3
(8月)
26.8(8月) 25.9
(8月)
26.4
(8月)
26.7
(8月)
最寒月 3.7
(1月)
3.5
(1月)
3.9
(1月)
3.3
(1月)
4.8
(1月)
6.1
(1月)
6.6
(1月)
4.7
(1月)
5.2
(1月)
4.1
(1月)
3.5
(1月)
5.6(1月) 6.8
(1月)
6.2
(1月)
6.4
(1月)
降水量
(mm)
最多月 223.3
(10月)
282.7
(10月)
257.6
(10月)
236.4
(10月)
239.9
(10月)
225.7
(10月)
272.5
(10月)
238.9
(10月)
265.3
(10月)
256.8
(10月)
299.7
(10月)
261.7(10月) 295.2
(10月)
239.9
(10月)
257.5
(10月)
最少月 56.0
(12月)
69.0
(2月)
63.8
(1月)
50.5
(1月)
61.4
(2月)
56.8
(12月)
90.5
(2月)
63.6
(12月)
74.4
(12月)
70.9
(12月)
89.1
(2月)
66.2(1月) 89.8
(12月)
85.4
(2月)
81.9
(2月)

動植物

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陸の動植物

房総半島南部にはニホンザルニホンジカが生息している。一方、他県に見られるクマなどは生息していない[48]。また日本でブナ分布していない都道府県は、日本では千葉県と沖縄県の2県のみである[49]

以下は房総の陸上に生息する主要な動植物である[50][51]

海・川の動植物

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メガマウスの標本

三方を海で囲まれた地形であり、地形・海流の関係により多様な生態系が築かれている。

東京湾は閉鎖性水域と呼ばれる、海水の流出入量が少ない海域である。複数の河川が注ぎ、富栄養化が進んでいる影響で、赤潮青潮などの現象が度々発生している。湾奥の三番瀬や、富津干潟盤州干潟などの広大な干潟が現在も残る。これらの干潟にはアサリバカガイなどの貝が生息し、春から夏にかけて潮干狩りが行われている。アシハラガニガザミといった甲殻類から、アジサシカワウなどの鳥類も生息[53] する。小櫃川河口には環境省レッドリストにて絶滅危惧IB類に指定されている東京湾固有種のキイロホソゴミムシが生息し[54]アシ原(ヨシ原)を形成しているアシ(ヨシ)をはじめ、ハマダイコンなどの植物やアマモなどの海藻が生息する[53]

富津市と鋸南町の境界付近にある明鐘岬周辺より南の海域からは、わずかながらサンゴが生息している[55]。これは、黒潮の影響を受けた海水温と透明度の高い海水が流入するためである。そしてこの近辺からは東京湾海底谷が広がり、メガマウスミツクリザメなどの貴重な深海生物が多く生息している。館山市周辺海域には造礁サンゴが分布している。日本は黒潮の暖かい海流により世界的に見て造礁サンゴが広い範囲に分布しているが、その中で館山の造礁サンゴは北限とされている。

そのほか東京湾および館山湾周辺にはスズキメバルイイダコアカエイなど豊富な魚類が生息している。

館山周辺の沿岸から夷隅地区はイセエビが豊富に生息しており、いすみ市および県全体では漁獲高全国1位である。鴨川市には特別天然記念物にも指定されている鯛の浦がある。これは群泳せず浅い海を泳がないマダイが群泳する姿を、海面近くでみることができるためである[56]

房総半島は標高が低いこともあり、水温の低い谷川はない。そのため、カワゲラカゲロウは全体として少なく、ヤマメや大卵型のカジカは生息していない[50]

外来生物

勝浦市にはかつて行川アイランドと呼ばれる観光地があり、この施設から逃げ出したとされるキョンが勝浦市周辺で繁殖しており、県内には数千頭生息しているとされている[57]。また盤洲干潟や富津干潟などにはサキグロタマツメタと呼ばれる貝が流入している[58]。これは本来、中国近海の干潟や瀬戸内海などにしか生息していない貝であったが、中国などからのアサリの輸入に際して混入してきたとされる。この貝はアサリなどの二枚貝を捕食するため、在来種であるツメタガイとともに干潟の多くのアサリの天敵となっている[59]

地域

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地域区分

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千葉県 地域区分図

県下には、37市6郡16町1村がある。自治体における町はすべて「まち」、村は「むら」と読む。県庁による地域区分には、4地域の分類と、県庁および地域振興事務所の所管区域による6区分とがある。県の総人口は6,277,695人。人口は、2025年6月1日現在の推計人口である。

合計特殊出生率は1.14と、全国の1.20を下回っている(2023年)ものの[60]東京都市圏(1都3県)の中では比較的高い水準である[61]。人口は千葉市や東京23区に近い船橋市、市川市、松戸市、流山市、浦安市、八千代市、柏市を中心に急増しているのに対し、県東部など東京通勤圏最外縁部に位置する市町村では減少傾向にある。そのため総人口の増減では横ばいになっている。千葉県では、今後予想される人口減少や高齢化に対して危機感を持ち、早期段階で子育て支援や労働力確保に力を入れている[62]

4地域区分

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中央地域 2,057,194人
西地域 3,214,170人
東地域 291,745人
南地域 714,586人

県庁・地域振興事務所の所管区域

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  • 千葉・市原(県庁直轄) 1,220,438人
  • 葛南地域振興事務所(船橋市)所管区域 1,561,048人
  • 東葛飾地域振興事務所(松戸市)所管区域 1,416,364人
  • 印旛地域振興事務所(佐倉市)所管区域 882,844人
  • 香取地域振興事務所(香取市)所管区域 117,839人
  • 海匝地域振興事務所(旭市)所管区域 184,548人
  • 山武地域振興事務所(東金市)所属区域 221,009人
  • 長生地域振興事務所(茂原市)所管区域 157,782人
  • 夷隅地域振興事務所(大多喜町)所属区域 81,418人
  • 安房地域振興事務所(館山市)所属区域 138,529人
  • 君津地域振興事務所(木更津市)所管区域 321,346人
千葉・市原 1,248,408人
千葉市市原市
葛南 1,706,883人
市川市船橋市習志野市八千代市浦安市
東葛飾 1,544,693人
松戸市野田市柏市流山市我孫子市鎌ケ谷市
北総 717,711人
佐倉市四街道市白井市印西市成田市八街市富里市印旛郡
香取 97,043人
香取市香取郡
海匝 145,137人
銚子市旭市匝瑳市
東上総 137,064人
茂原市長生郡
山武 189,099人
東金市山武市大網白里市山武郡
夷隅 62,070人
勝浦市いすみ市夷隅郡
南房総 318,981人
木更津市君津市富津市袖ケ浦市
安房 110,606人
館山市鴨川市南房総市安房郡

県・市町村の変遷

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明治以降
昭和以降
平成以降
現在
  • 現在は37市16町1村。うち千葉市に6区。

地域特性

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北西部

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人口密集地域であり、県内の人口の大部分を占める。県央地域、印旛地域、葛南地域、東葛地域に分かれ、北西部として一括りにされることが多い。狭義では、千葉市周辺を除いて、旧東葛飾郡現在の船橋や我孫子など)の範囲を指すこともある。スポーツ界では、特に葛南・東葛は「サッカー王国」として有名である。アマ界を見ても、高校サッカーにおける激戦区のひとつであり、船橋市立船橋高等学校習志野市立習志野高等学校流通経済大学付属柏高等学校などが全国制覇を成し遂げているほか、強豪校が私立・公立ともに多い。

県央地域
千葉市とその周辺地域を指し、市原市などの内房北部や印旛地域の一部も入ることもある。千葉市には県庁が置かれ、県内の政治・経済・文化の中心となっている。東京からは一定の距離があるため、ベッドタウン的側面を持ちつつも、川崎製鉄の企業城下町であったことと、東京湾沿いに京葉工業地帯が立地し産業の中心基盤であるために、昼間流入人口が多い点で、東葛・葛南地域やさいたま市横浜市とは異なっている。また千葉市は幕張新都心を中心に多国籍企業外資系企業国際機関及び国家機関官公庁)の研究・研修機関が立地しているほか、各大企業の千葉支店・東関東支店が開設される支店経済都市でもあることから、転勤族も少なくなく、年度末、年度初めには人口の社会増減が大きくなる。また、文化的にも県北東部、南部などとの接点が多い。一方、美浜区に代表されるような東京寄りの地域では、千葉市中心部との接点は小さく、千葉都民も多いなど形態は異なっており葛南地域とほとんど変わらない。
印旛地域
内陸工業団地の造成や宅地化が進み千葉ニュータウン成田ニュータウンなどの大規模ニュータウンが造成されている一方、周辺には自然も多く残る。内陸部側は、北総または印旛と呼ばれている(ただし「北総」には東京湾岸や東総地域など旧下総国地域全体を指す場合もある)。千葉ニュータウンなどの西部では東京への通勤客も多いため千葉都民が多いが、成田市には年間約3100万人が利用する成田国際空港が位置し、航空関連産業が立地する業務拠点都市となっており、佐倉市など周辺部からの通勤客の流入も多い他、東部では千葉市への通勤客も少なくない。利根川沿いは農村地域であり、茨城県との交流も多い。スイカやメロン、梨、人参、落花生栽培など県内では農業が盛んな地域でもある。
葛南地域
習志野市から市川浦安にかけての総武線の沿線地域が中心であり、京成松戸線沿線や湾岸部には大規模な団地が造成されている。東葛地域と同類に分類されることも多いが、常磐線沿線の東葛と違い千葉駅まで運行する同じ総武線沿線であることから県央地域との接点も一定程度はある。全国各地からの住民の流入により人口が増加。臨海部にはディズニーリゾート船橋ららぽーとなどの商業施設やレジャー施設が立ち並ぶ。いわゆる「千葉都民」の多い地域で、中でも浦安市は、住民の平均年齢が最も低い市である。
東葛地域
一般に常磐線沿線地域以北を中心とした地域を指すことが多く俗に千葉都民と呼ばれる人が多い。東葛は千葉市を中心とした県央地域との繋がりが浅く、全国紙の地方版も、千葉市周辺版東葛版に分けられており、むしろ茨城県との交流の方が多く他隣接する埼玉県とも密接な関係にある。千葉県にありながらも千葉県民としての地域意識が薄い点で、県内他地域とは大きく異なっている。柏駅周辺は県内屈指の商業地区となり、千葉市中心街を凌ぐ賑わいでもある。野田市周辺は一部無アクセント地帯となっており、栃木茨城と言語・文化的に近い。

北東部

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主に香取地域、海匝地域と東上総地域の一部を指し、九十九里浜沿いの地域も含む。概ね国道51号国道126号の沿線を指している。利根川沿い地域では鹿行鹿嶋市などの茨城県南東部)との交流関係が深く、千葉市との交流も大きい。香取市から鹿嶋市に至る利根川沿いから形成される「水郷」や美しい海岸線を持つ九十九里浜などの観光地を抱える。かつては利根川の運河交通の要衝として栄え、香取神宮などの有名な神社仏閣が鎮座し歴史的な街並みの残る佐原のある香取市や日本有数の漁港・醤油産地としも知られる銚子市などは古くから発展してきた。農業が盛んで、銚子市周辺は比較的温暖な気候のため、畑などでは、メロン、キャベツ、植木などが栽培されている他、成田空港以東の下総台地を構成する地域は、東総と呼ばれており、「香取干潟八万石」といわれる所で、水田地帯が広がり、ブランド米の『多古米』の産地でもある。スポーツ界においてこの地域出身のプロ野球選手が多く、千葉県立銚子商業高等学校銚子市立銚子高等学校横芝敬愛高等学校の卒業生が目立つ。

南部

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宅地化が進み、工場も立地する内房沿岸地域の北部(県央地域に近いため、南部には分類されないことも多い。)と県内一の観光エリアでもある南房総・外房地域とではかなり異なっている。

君津・木更津地域
君津市までの臨海部は京葉工業地域となっており、多くの工場などが立ち並び、宅地化も進んでいる。県央地域との交流が大きい。木更津市神奈川県川崎市を結ぶ東京湾アクアラインは神奈川県側や羽田空港からの観光客の県内への一般的な通過点となっており、また海ほたるパーキングエリアの入れ込み客数が多いのが特徴である[63]。近年は木更津市などはアクアラインを経由し東京まで近いために東京への通勤圏ともなっているが、房州弁の影響も残るなど文化的には独自性を保っている。一方、内陸部は房総丘陵の山々が広がっており、手付かずの自然が数多く残されている。
南房総地域
南房総(房総半島南部)は特に温暖な気候であり、県花である菜の花ポピーの栽培が行われている。漁業も盛んで、勝浦漁港は国内有数のの水揚げ港であり、いすみ市大原漁港は日本一のイセエビの水揚げ漁港である[64]。多くの面積が房総丘陵を代表とした低山の森林地帯であり、構成する地域の半島南部は南総と呼ばれている。この地域は江戸時代後期ごろから房州石と呼ばれる石材が山から切り出されるなどして発展してきており、周辺には房州石で作られた家屋や塀が今も残っている。また、金谷美術館において房州石で本館が建てられるなど[65]、長年地域に密着して使用された石材であることがわかる。

歴史

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人口

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県内での人口増減率には大きな地域差があり、東葛地域印旛地域・県中西部は増加ないしは微減に留まっている一方、県南部や外房地域、北東部地域は減少が激しい。東京特別区に近い地域ほど人口増加率が高く離れるほど低い傾向は同じ東京都市圏に属する埼玉県神奈川県にも当てはまるが、千葉県は両県に比べてさらにこの傾向が顕著である。

 
千葉県市町村人口増減率分布図(2015年度と2020年度国勢調査から算出)
 
千葉県と全国の年齢別人口分布(2005年) 千葉県の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 千葉県
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
千葉県(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年) 3,366,624人
1975年(昭和50年) 4,149,147人
1980年(昭和55年) 4,735,424人
1985年(昭和60年) 5,148,163人
1990年(平成2年) 5,555,429人
1995年(平成7年) 5,797,782人
2000年(平成12年) 5,926,285人
2005年(平成17年) 6,056,462人
2010年(平成22年) 6,216,289人
2015年(平成27年) 6,222,666人
2020年(令和2年) 6,284,480人
総務省統計局 国勢調査より

都市

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千葉県内 市別人口ランキング
県内順位 都市 地域区分 人口 県内順位 都市 地域区分 人口
1 千葉市 中央(千葉・市原) 986,950人 6 市原市 中央(千葉・市原) 261,458人
2 船橋市 西(葛南) 650,771人 7 流山市 西(東葛飾) 214,237人
3 松戸市 西(東葛飾 501,119人 8 八千代市 中央(葛南) 205,474人
4 市川市 西(葛南) 501,491人 9 習志野市 中央(葛南) 176,166人
5 柏市 西(東葛飾) 437,537人 10 浦安市 西(葛南) 172,981人
推計人口 2025年6月1日

千葉県内市町別人口・面積・人口密度

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千葉県の市町村の人口、面積、人口密度(2025年6月1日)
市町村 人口 面積 人口密度
1 千葉市 986,950 人 271.76km2 3,632人/km2
2 銚子市 52,529 人 84.12km2 624人/km2
3 市川市 501,491 人 57.44km2 8,731人/km2
4 船橋市 650,771 人 85.62km2 7,601人/km2
5 館山市 42,392 人 110.05km2 385人/km2
6 木更津市 136,948 人 138.90km2 986人/km2
7 松戸市 501,119 人 61.38km2 8,164人/km2
8 野田市 151,654 人 103.55km2 1,465人/km2
9 茂原市 83,915 人 99.92km2 840人/km2
10 成田市 134,452 人 213.84km2 629人/km2
11 佐倉市 163,772 人 103.69km2 1,579人/km2
12 東金市 56,754 人 89.12km2 637人/km2
13 旭市 60,320 人 130.47km2 462人/km2
14 習志野市 176,166 人 20.97km2 8,401人/km2
15 柏市 437,537 人 114.74km2 3,813人/km2
16 勝浦市 15,005 人 93.96km2 160人/km2
17 市原市 261,458 人 368.16km2 710人/km2
18 流山市 214,237 人 35.32km2 6,066人/km2
19 八千代市 205,474 人 51.39km2 3,998人/km2
20 我孫子市 130,250 人 43.15km2 3,019人/km2
21 鴨川市 29,720 人 191.14km2 155人/km2
22 鎌ケ谷市 109,896 人 21.08km2 5,213人/km2
23 君津市 78,094 人 318.78km2 245人/km2
24 富津市 38,891 人 205.40km2 189人/km2
25 浦安市 172,981 人 17.25km2 10,028人/km2
26 四街道市 94,788 人 34.52km2 2,746人/km2
27 袖ケ浦市 65,048 人 94.82km2 686人/km2
28 八街市 65,352 人 74.94km2 872人/km2
29 印西市 109,114 人 123.79km2 881人/km2
30 白井市 61,183 人 35.48km2 1,724人/km2
31 富里市 49,565 人 53.88km2 920人/km2
32 南房総市 32,375 人 229.55km2 141人/km2
33 匝瑳市 32,288 人 101.48km2 318人/km2
34 香取市 66,876 人 262.35km2 255人/km2
35 山武市 45,627 人 146.77km2 311人/km2
36 いすみ市 32,708 人 157.50km2 208人/km2
37 大網白里市 46,480 人 58.08km2 800人/km2
38 酒々井町 20,204 人 19.01km2 1,063人/km2
39 栄町 19,281 人 32.51km2 593人/km2
40 神崎町 5,498 人 19.90km2 276人/km2
41 多古町 12,612 人 72.80km2 173人/km2
42 東庄町 12,057 人 46.25km2 261人/km2
43 九十九里町 13,070 人 24.44km2 535人/km2
44 芝山町 6,493 人 43.24km2 150人/km2
45 横芝光町 20,675 人 67.01km2 309人/km2
46 一宮町 11,858 人 22.97km2 516人/km2
47 睦沢町 6,296 人 35.59km2 177人/km2
48 長生村 12,942 人 28.25km2 458人/km2
49 白子町 9,524 人 27.50km2 346人/km2
50 長柄町 6,107 人 47.11km2 130人/km2
51 長南町 6,422 人 65.51km2 98人/km2
52 大多喜町 7,964 人 129.87km2 61人/km2
53 御宿町 6,393 人 24.85km2 257人/km2
54 鋸南町 6,119 人 45.17km2 135人/km2

千葉県人口動態

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一貫して人口増加が続いている。東日本大震災直後は一時的な人口減少が見られたが、すぐに回復して2015年国勢調査までには震災前の人口を上回った。近年は社会増加分と自然減少分が拮抗しており人口は横ばいとなっている。

表1. 国勢調査結果に基づく千葉県の人口推移
実施年 人口(人) 増減人口(人) 人口増減率(%) 国内増減率(%) 増加率全国順位
1960年 2,306,010 - - - -
1965年 2,701,770   395,760   17.16   5.20 4位
1970年 3,366,624   664,854   24.61   5.54 2位
1975年 4,149,147   782,523   23.24   7.92 2位
1980年 4,735,424   586,277   14.13   4.57 1位
1985年 5,148,163   412,739   8.72   3.40 1位
1990年 5,555,429   407,266   7.91   2.12 2位
1995年 5,797,782   242,353   4.36   1.58 3位
2000年 5,926,285   128,503   2.22   1.08 7位
2005年 6,056,462   130,177   2.20   0.66 6位
2010年 6,216,289   159,827   2.64   0.23 3位
2015年 6,222,666   6,377   0.10   0.75 8位
2020年 6,284,480   61,814   0.99   0.75 5位

埼玉・神奈川・東京との人口推移比較

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1995年から2020年の25年間で千葉県は50万人程の人口増加を記録しているが、神奈川県は約100万人、東京都は200万人以上人口が増加している。首都圏全体で人口流入は続いているが近年は人口重心が南側に偏る傾向が見られており千葉県の人口増加は緩やかである。

表2. 千葉県・埼玉県・神奈川・東京都の人口推移
実施年 千葉県人口(人) 埼玉県人口(人) 神奈川人口(人) 東京都人口(人) 千葉県増加率 埼玉県増加率 神奈川増加率 東京都増加率
1970年 3,366,624 3,866,472 5,472,247 11,408,071 - - - -
1995年 5,797,782 6,759,311 8,245,900 11,773,605   72.2   74.8   50.7   3.2
2020年 6,284,480 7,344,765 9,237,337 14,047,594   8.4   8.7   12.0   19.3

政治

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県政

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県のシンボル

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千葉県旗とその中に描かれる県章
  • 県章
    • 県章は、カタカナの(チ)と(ハ)を図案化したもの。(1909年(明治42年)12月28日制定)
  • 県旗
    • 県旗は、中央に県章を配し、地は希望と発展を表す空色、マークは菜の花の薄黄色で縁取ったもの。(1963年(昭和38年)7月29日制定)
  • 県の歌
  • 県の花
    • 県の花は「なのはな」。1954年(昭和29年)4月にNHKが一般に公募した。正式には決められてはいない。
  • 県の体操
    • 県の体操はなのはな体操と定められており、高齢者向けや児童向けがある。
  • 県のロゴ[66]
    • ひらがなの「ちば」を元にデザインしたロゴ。「縦書き」「横書き」があり、それぞれに「白地に色文字」「色地に白抜き文字」がある。また、ひらがなにローマ字(CHIBA)併記のものもある。2006年(平成18年)11月2日公表。

県政史

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知事

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県議会

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財政

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平成29年度
  • Iグループ(財政力指数0.5以上)

参考

  • 平成19年度財政力指数 0.76
  • 平成18年度財政力指数 0.70
  • 平成17年度財政力指数 0.65
  • 平成16年度財政力指数 0.63

公共施設

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県立文化会館
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  • 千葉県文化会館(千葉市中央区)
  • 千葉県東総文化会館(旭市)
  • 千葉県南総文化ホール(館山市)
  • 青葉の森公園芸術文化ホール(千葉市中央区)
県立図書館
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県立博物館
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2004年(平成16年)4月1日から県立博物館・美術館の利用料金が有料になった。

県立美術館
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スポーツ施設
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県立公園
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県民の森
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行政サービス

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インフラストラクチャ
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千葉県の公共下水道普及率は長年全国平均を下回っており、2009年(平成21年)3月末の調査では、全国よりも5%ほど低い67.2%である[69]。千葉市や柏市など北西部の都市では普及率が軒並み80%を超えるが、館山市や旭市などでは10%を下回るなど低い状況にあり、南房総市やいすみ市など公共下水道事業が実施されていない地域も多い[69]。また上水道給水人口比率は94.1%の全国26位、主要道路の舗装率は99.9%と全国1位だが、市町村道舗装率は81.1%と全国25位である[70]。以上のように千葉県のインフラストラクチャは国内でも高い水準とはいえず、県庁の県土整備部などが改善に向けた活動を行っている。

千葉県インターネット放送局
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「千葉県インターネット放送局」は千葉県が運営するインターネットテレビ放送である。知事定例記者会見、ウィークリー千葉県、県立病院紹介など7系統のチャネルを用意して県政の広報に務めている[71]

自衛隊

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経済・産業

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県内に本社を置く主な企業

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千葉市

市川市

柏市

浦安市

茂原市

船橋市

成田市