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涵養(かんよう)とは、自然にが沁み込むのと同じように、無理をしないで少しずつ教え養うこと[1]。「」の字義は「ひたす(浸す)」[2]。初出は『陳書 沈炯伝』真愚稿(1422年頃か)[3]。用例を挙げるならば、「徳性を涵養する[2]」「読書力を涵養する[4]」。今でも用いているのは日本語だけで、おおもとの中国語ではこの熟字をこの語意では用いない。なお、現代日本語において、「涵」の字は常用漢字表外字のため、公文書等では交ぜ書きで「かん養」と表記する。

また、本義から転じて、科学等の分野においては、地表の水(降水を主としてほかにも、湖沼水・河川水、貯水池雨水浸透ますなどの水、その他)が地下浸透して帯水層に水が供給されること[5][6][5]をいい、要するに「地下水涵養[6]地下水の涵養)」の略語である。従って、河川や湖沼といった表流水に水が加わってもそれを「涵養」とは呼ばない。対義語としては「流出」あるいは「湧出」を用いる[5]涵養の起こる場所は「涵養域(かんよういき)」といい[5]、対して、流出・湧出の起こる場所は「流出域」もしくは「湧出域」という[5]。こちらの語意でも用いるのは日本語だけで、中国語では「地下水補給」などという。現代日本語において公文書等で「涵」の字を用いないのは第1義と同じ(用例:水源かん養保安林)。英語(事実上の国際共通語)では "groundwater recharge[6]日本語音写例:グラウンドウォーター リチャージ)" などという。

以下、本項では、第2義の「涵養」、すなわち「地下水涵養」について解説する。

目次

人工的涵養編集

帯水層への自然状態での涵養量が少なく、地盤沈下や、河川基底流量減少、湧水枯渇などの対策を行うため、人為的に帯水層への涵養を行うことがある。

人為的な涵養方法は、以下の方法がある。

  • 涵養井(かんようせい、Recharge well)または注入井(ちゅうにゅうせい、Injection well)
    • 供給させたい対象の帯水層に井戸を設置し、直接、水を供給する。酸素を多く含む水を注入させるため、孔内または井戸近傍の帯水層内に沈殿物がたまりやすい。
  • 休耕田農閑期・非灌漑期の水田の湛水
    • 涵養される量は土壌の浸透能によって制限されるため、長期間、広い土壌面積に対して水面を形成しておくことが良いとされる。休耕田に水を溜めることで、自然の降雨と同じように涵養できる。

涵養量の推定編集

直接測定することができないため、地表の水量の時間変化を測定し、その量から蒸発散量を差し引くことで推定している。

脚注編集

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  1. ^ 涵養”. コトバンク. 2019年5月15日閲覧。
  2. ^ a b 涵養”. 三省堂大辞林』第3版. コトバンク. 2019年5月15日閲覧。
  3. ^ 涵養”. 小学館『精選版 日本国語大辞典』. コトバンク. 2019年5月15日閲覧。
  4. ^ 涵養”. 小学館『デジタル大辞泉. コトバンク. 2019年5月15日閲覧。
  5. ^ a b c d e 内閣官房 内閣広報室. “地下水用語集(立ち上げ段階版) (PDF)”. 公式ウェブサイト. 首相官邸. 2019年5月15日閲覧。※p.11(コマ番号では18/43)
  6. ^ a b c 地下水涵養”. EICネット(公式ウェブサイト). 一般財団法人 環境イノベーション情報機構 (2003年9月12日作成、2015年1月22日更新). 2019年5月15日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集