源氏巻(げんじまき)は、島根県鹿足郡津和野町銘菓きつね色に焼いたカステラのような薄い生地に包んだ長方形の菓子であり、茶菓子として用いられる。餡は伝統的に小豆を煮詰めた豆沙餡である。

源氏巻(抹茶味)

誕生 編集

幕末に津和野藩の御用菓子司・見墹情貫堂が、練った小麦粉を薄く焼いた生地に紫色の餡を詰め込んで十一代藩主・亀井茲監に進上した。この際、藩主の正室・貢子(光安姫)が紫色の餡に感動し、『源氏物語』の「若紫」に出てくる和歌「手に摘みていつしかも見ん紫の根に通ひける野辺の若草」を想い起した。それにあやかって「源氏巻」と名付けられたとされる[1]

江戸時代元禄の頃に勅使饗応役を命じられ、指導役の吉良義央に辱めを受けていた津和野藩主亀井茲親を危機から救うために家臣が吉良に献上した進物に由来するという説もある[2]

現在、津和野町には、源氏巻を扱うメーカーが10軒あまり存在し、それぞれにその味を競っている。また、近年は抹茶風味の餡なども登場している。 さらに、衣を付けて揚げた「揚げ源氏巻」も発売されている[3]


脚注 編集

  1. ^ 源氏巻”. しまね観光ナビ・グルメ&お土産. 2022年7月11日閲覧。
  2. ^ 事典 日本の地域ブランド・名産品『源氏巻』 - コトバンク
  3. ^ 山陰中央新報ニュース『津和野散策のお供に「揚げ源氏巻」』(2021年6月16日)

関連項目 編集

外部リンク 編集