アズキ

小豆から転送)
アズキ
W azuki1091.jpg
アズキの花
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ササゲ属 Vigna
: アズキ V. angularis
学名
Vigna angularis
(Willd.) Ohwi & H.Ohashi
英名
azuki bean
adzuki bean
aduki bean
アズキの実
あずき(全粒、乾)[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,418 kJ (339 kcal)
58.7 g
食物繊維 17.8 g
2.2 g
飽和脂肪酸 0.27 g
一価不飽和脂肪酸 0.07 g
多価不飽和脂肪酸 0.55 g
20.3 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
1 μg
チアミン (B1)
(39%)
0.45 mg
リボフラビン (B2)
(13%)
0.16 mg
ナイアシン (B3)
(15%)
2.2 mg
(20%)
1.00 mg
ビタミンB6
(30%)
0.39 mg
葉酸 (B9)
(33%)
130 μg
ビタミンE
(1%)
0.1 mg
ビタミンK
(8%)
8 μg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(32%)
1500 mg
カルシウム
(8%)
75 mg
マグネシウム
(34%)
120 mg
リン
(50%)
350 mg
鉄分
(42%)
5.4 mg
亜鉛
(24%)
2.3 mg
セレン
(1%)
1 μg
他の成分
水分 15.5 g
水溶性食物繊維 1.2 g
不溶性食物繊維 16.6 g
ビオチン(B7 9.6 µg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

アズキ(小豆、荅、Vigna angularis)は、ササゲ属に属する一年草

原産地は東アジア。過去にリョクトウ (Vigna radiata) の変種やインゲンマメ属 (Phaseolus) の一種と分類されたことがあり、インド原産と誤解されているが、祖先野生種のヤブツルアズキ(V. angularis var. nipponensis) は日本からヒマラヤ照葉樹林帯に分布し、栽培種のアズキは極東のヤブツルアズキと同じ遺伝的特徴をもつため、東アジア原産とすべきである[3]。日本では古くから親しまれ、縄文遺跡から発掘されているほか、古事記にもその記述がある。

目次

歴史編集

アズキは中国が原産と考えられているが、前述のようにアズキの祖先と考えられる野生種が日本でも見つかっていることから、東部アジアの各地で独自に栽培が始まった可能性がある[4]。日本ではアズキは滋賀県粟津湖底遺跡(紀元前4000年頃)[5]登呂遺跡(弥生時代、紀元1世紀頃)などから出土しており、古代から各地でから栽培されていたと考えられる。

ダイズという名前は大陸の漢字の「大豆」由来と考えられる一方で、アズキには「小豆」と漢字が当てられるが、その読みはショウズであり、アズキは大和言葉(和名)であると考えられる。「アズキ」の名称の由来については、以下の各説がある[6][7]

  • アは赤を意味し、ツキ・ズキが溶けることを意味し、他の豆より調理時間が短いことを意味していた。
  • 地方用語でアズ・アヅとは崩れやすいという意味であり、そこから煮崩れしやすいアズキと名付けられた。
  • 赤粒木(あかつぶき)からアズキとなった
  • 平安時代の「本草和名(ホンゾウワミョウ)」には阿加阿都岐(アカアツキ)と記述されており、後にアズキとなった。

何れにしても文字(漢字)が充てられる前に、すでに和名があった可能性もある。

なお、日本最古の歴史書である古事記にもアズキの記載があり、万葉集にもアズキの件が書かれている[8]

栽培、品種編集

日本における栽培面積の6割以上、生産量の4分の3を北海道が占める[9]。北海道のほか丹波・備中が、日本の三大産地である。低温に弱く、害を受けやすいため、霜の降りなくなった時期に播種される。

国産の品種には以下のようなものがある。 えりも小豆の開発によって、収穫量は大幅に増大した。

  • 大納言 (大粒種) - 小豆よりも大きく、5.8ミリメートルのにかかるものを大納言と呼ぶ。美方大納言小豆のほか、丹波、馬路、備中、あかね、ほくと、とよみ、ほまれ、など。
  • 中納言 (普通小豆) - えりも、しゅまり、きたのおとめ、さほろ、など。

煮たときに皮が破れにくく、いわゆる「腹切れ」が生じにくいため、切腹の習慣がない公卿官位から名付けられたといわれている。また、豆の形が烏帽子に似ているからという説もある[10][11]

  • 白小豆 - 主な産地は、備中丹波北海道。栽培が難しい為、希少で高価。赤小豆とはまた違った独特のさっぱりした風味が特徴。とくに備中白小豆は最高級とされる。
  • 黒小豆 - 東北地方沖縄などでは黒ささげを「黒小豆」と呼ぶ地域がある[12]

利用編集

アズキは他の類同様に高蛋白低脂質であり、無機質やビタミンも多く含む。アズキの約20%はタンパク質で、栄養価が高いほか、赤い品種の皮にはアントシアニンが含まれ、亜鉛などのミネラル分も豊富である。

食用編集

食用以外の用途編集

  • お手玉のなかの材料
  • 楽器の材料
  • 擬音の発生材料 - 竹籠と組み合わせて波の音を表したり、紙の上に落として大粒の雨の降る音を表したりする。
  • の詰め物

逸話など編集

  • アズキは商品先物取引の対象になっているが、生産が天候に左右されやすく年によって価格が乱高下するほか、投機の対象としても国内外の資金が大量に流入することによる暴騰暴落が古くより幾度も繰り返されてきた歴史があるなど、他品目との比較でもハイリスクハイリターンという一面があり、かつては「素人は小豆と生糸には手を出すな」という言葉もあった。また梶山季之の著書にも小豆市場を題材とした小説『赤いダイヤ』がある。ただ、現状では商品先物取引においてアズキの取引高は他の上場商品と比べて少なくなっており、生産技術の向上もあって、それも『過去のもの』となっている。ちなみに、商品先物取引においては、小豆は「アズキ」より「ショウズ」という言い方が一般的である。
  • 第一次世界大戦戦中戦後、エンドウインゲンの産地である中欧方面が戦火で荒廃し代用として、ヨーロッパへ日本から大量に輸出された。砂糖を大量に使った餡としてではなく、専ら、煮込料理やスープの材料とする食文化の違いのため、渋く苦いものという印象をヨーロッパ人に植え付けた。
  • 地方によっては小豆洗いという妖怪が民話に登場する。この他、『遠野物語』の記述では、体中にあずきをまとった得体の知れぬもの(未確認生物)が物見山中に現れ、南部藩の侍が鉄砲を撃つも玉が当たらず、逃げられ、この件から「小豆平」という地名になったという由来がある。
  • 井村屋製菓では、毎月1日をあずきの日と定めている。

博物館施設編集

脚註編集

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  1. ^ 文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)
  3. ^ 『新編 食用作物』星川清親、養賢堂、昭和60年5月10日、訂正第5版、p. 460
  4. ^ 豆類協会 「豆の通ってきた道」
  5. ^ 滋賀県湖北農業農村振興事務所 「滋賀県長浜市における小豆の生産振興について」
  6. ^ 橋本食糧工業 「あずきのいろいろストーリー」
  7. ^ 東海農政局 「あずき」
  8. ^ 『これは重宝漢字に強くなる本』十三版 編集:佐藤一郎、浅野通有 出版:株式会社光文書院 1979/06/15発行/十三版発行/発行者:長谷川凱久 印刷:日本デザイン工房、開成印刷、  製本:小泉製本、高田紙器 全622頁34頁
  9. ^ 豆類協会 「国内生産」
  10. ^ 農林水産省 「小豆(あずき)の大納言の名前の由来を教えてください」
  11. ^ 豆類協会 「大納言」
  12. ^ ささげ」豆類協会、2015年9月15日閲覧。
  13. ^ 齋藤優介ほか、「豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性」、『日本食品科学工学会誌』、Vol.54(2007) No.12
  14. ^ 堀由美子ほか、「アズキ熱水抽出物 (アズキ煮汁) の成分とその抗酸化能」、『日本栄養・食糧学会誌』、Vol.62 (2009) No.1 P3-11
  15. ^ 小嶋道之ほか「小豆ポリフェノールの生体内抗酸化活性と肝臓保護作用」、『日本食品科学工学会誌』、2006,53,p.386-392
  16. ^ Mark T. Sampson, Largest USDA study of food antioxidants reveals best sources, American Chemical Society, Public Release: 16-Jun-2004, Eurek Alert, 2016年9月4日閲覧
  17. ^ EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (2010). “Scientific Opinion on the substantiation of health claims related to various food(s)/food constituent(s) and protection of cells from premature aging, antioxidant activity, antioxidant content and antioxidant properties, and protection of DNA, proteins and lipids from oxidative damage pursuant to Article 13(1) of Regulation (EC) No 1924/20061”. EFSA Journal 8 (2): 1489. doi:10.2903/j.efsa.2010.1489 (inactive 2015-01-14). http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/1489.htm. 
  18. ^ Withdrawn: Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) of Selected Foods, Release 2 (2010)”. United States Department of Agriculture, Agricultural Research Service (2012年5月16日). 2012年6月13日閲覧。
  19. ^ 小嶋道之ほか「小豆ポリフェノールの単回および継続投与が血清グルコース濃度に及ぼす影響」、『日本食品科学工学会誌』 2007,54,p.50-53
  20. ^ 小嶋道之ほか、「小豆ポリフェノール飲料による高脂肪食投与雌マウスの体重増加抑制」、『日本食品科学工学会誌』2007,54,p.229-232
  21. ^ 小嶋道之ほか「小豆エタノール抽出物添加飼料によるラットの血清コレステロール濃度抑制」、『日本食品科学工学会誌』2006、53、p.380-385
  22. ^ 佐藤伸、向井友花、嵯峨井勝、「ポリフェノールを含む小豆抽出物が高血圧自然発症ラットの血圧上昇および内皮型一酸化窒素合成酵素の発現に及ぼす影響」、『日本衛生学雑誌』2008、63、p.489
  23. ^ 小西 史子ほか、「小豆焙煎粉の抗酸化能と小学校家庭科教材への活用」、『日本家政学会誌』Vol. 63 (2012) No. 6 p. 301-307
  24. ^ a b 伊藤 智広ほか、「ヒト胃癌細胞におけるアズキ熱水抽出物によるアポトーシス誘導」、『日本食品科学工学会誌』、Vol. 49 (2002) No. 5

関連項目編集

外部リンク編集