コンドライト (: chondrite) は、石質隕石ケイ酸塩鉱物を主要組成とする隕石)のうち、コンドルールという球粒状構造を持つ隕石である。

L4–6普通コンドライト
コンドルール

ただし、コンドルールはないがコンドルールのある隕石に似た化学組成のCIコンドライトも、コンドライトに分類される。

起源 編集

コンドライトは、熱による分化をしていない母天体に由来する。

ただし、熱の影響をまったく受けていないわけではなく、熱変成を受けたコンドライトは少なからず存在する。これらは、分化した隕石のように母天体の放射性核種の壊変エネルギーによる熱変成ではなく、太陽系形成時の熱変成と考えられている。

分類 編集

含まれるコンドルールの岩石学的分類と化学的分類があり、詳しくは、それらを組み合わせて使う。たとえば L4 は、化学的分類が L、岩石学的分類が 4 ということである。

岩石学的分類 編集

コンドルールの特徴から、1から6(あるいは7)に分類される。

1はコンドルールがなく、2はあるがまばらである。3からは豊富にあるが、5からは次第に不鮮明になる。

これらは熱変成の度合いを反映していると考えられている。1–3は熱変成を受けておらず、4から増えるに従い強い熱変成を受けている。

化学的分類 編集

 
« Saint Sauveur » EコンドライトEH5

化学組成から、主にエンスタタイト・コンドライト普通コンドライト炭素質コンドライトがあり、これらに属さないカカンガリ・コンドライトルムルティアイト・コンドライトの分類が提案されている。詳細な分類を下記に示す。[1]

表2: 詳細な分類[2]
タイプ サブタイプ コンドリュールの特徴など グループ名[3]
エンスタタイト・コンドライト 豊富 E3, EH3, EL3
明瞭 E4, EH4, EL4
やや明瞭 E5, EH5, EL5
不明瞭 E6, EH6, EL6
溶融 E7, EH7, EL7
普通コンドライト H 豊富 H3-H3,9
明瞭 H4
やや明瞭 H5
不明瞭 H6
溶融 H7
L 豊富 L3-L3,9
明瞭 L4
やや明瞭 L5
不明瞭 L6
溶融 L7
LL 豊富 LL3-LL3,9
明瞭 LL4
やや明瞭 LL5
不明瞭 LL6
溶融 LL7
炭素質コンドライト[注釈 1] イブナ隕石Ivuna) フィロケイ酸塩鉱物、磁鉄鉱 CI
ミグヘイ隕石Mighei) フィロケイ酸塩鉱物、オリビン CM1-CM2
ビガラノ隕石Vigarano) カルシウムアルミニウムに富むオリビン CV2-CV3.3
レナッゾ隕石Renazzo) フィロケイ酸塩鉱物、オリビン、輝石、金属 CR
オーナンズ隕石Ornans) オリビン、輝石、金属、カルシウム、アルミニウム CO3-CO3.7
カルーンダ隕石Karoonda) オリビン、カルシム、アルミニウム CK
ベンカビン隕石Bencubbin) 輝石、金属 CB
High Iron 輝石、金属、オリビン CH
カカンガリ・コンドライト     K
ルムルティアイト・コンドライト   オリビン、輝石、斜長石硫化物 R

普通コンドライト (ordinary chondrite, OC) は、最も普通の隕石である。金属鉄(鉄元素ではなく、金属状態の鉄のみ)の量から、鉄が多い順にH、L、LL(アンホテライト)に分けられる。岩石学的分類では3–6になる。

炭素質コンドライトは、熱変成がほとんど見られず、始原的な母天体に由来すると見られている。岩石学的分類では1–6と幅広く、熱変成の少ない1–2の隕石は全て炭素質コンドライトである。炭素の含有比が高く、カーバイド有機化合物を含む。また蛇紋岩などの含水鉱物が多く、非常に脆い。組成などから、CI、CM、CV、CO、CR、CKに分けられる。CBやCHを加えることもある。

エンスタタイト・コンドライト は、酸素含有率が少ないため、主にエンスタタイト(純粋なマグネシウム輝石)と金属鉄からなる(鉄の塩はない)。岩石学的分類では3–6になる。普通コンドライトと同様に、EHとELに分けられる。

ルムルティアイト・コンドライトは、逆に酸素が多く、鉄の大部分は酸化されている。岩石学的分類では3–6になる。

注釈 編集

  1. ^ 「High Iron」を除き、特徴的な隕石名で分類している。

出典 編集

  1. ^ The Meteorite Market. “Types of Meteorites”. 2009年4月18日閲覧。
  2. ^ Weisberg et al. (2006) Systematics and Evaluation of Meteorite Classification. In, Meteorites and the Early Solar System II, 19-52 (D.S. Lauretta and H.Y. McSween, Eds.), Univ. Arizona press
  3. ^ The E stands for Enstatite, H indicates a high metallic iron content of approximately 30%, and L low. The number refers to alteration.