リチャード・シャーマン (アメリカンフットボール)

アメリカンフットボール選手、コーナーバック

リチャード・ケビン・シャーマンRichard Kevin Sherman 1989年3月30日- )はカリフォルニア州コンプトン出身のアメリカンフットボール選手。ポジションはコーナーバック

リチャード・シャーマン
Richard Sherman
refer to caption
サンフランシスコ・49ers時代(2018年撮影)
基本情報
ポジション コーナーバック
生年月日 (1989-03-30) 1989年3月30日(35歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州コンプトン
身長: 6' 3" =約190.5cm
体重: 195 lb =約88.5kg
経歴
大学 スタンフォード大学
NFLドラフト 2011年 / 5巡目全体154位
初出場年 2011年
初出場チーム シアトル・シーホークス
所属歴
2011-2017 シアトル・シーホークス
2018-2020 サンフランシスコ・49ers
2021 タンパベイ・バッカニアーズ
受賞歴・記録
スーパーボウル制覇(1回)
第48回
オールプロ選出(3回)
2012年-2014年
プロボウル選出(5回)
2013年-2016年、2019年
NFL 通算成績
タックル 495回
パスブロック 116回
インターセプト 37回
QBサック 3回
ファンブルフォース 5回
タッチダウン 3回
Player stats at NFL.com
Player stats at PFR

経歴 編集

高校時代 編集

高校時代は、アメリカンフットボールと陸上競技を行った。3年次には28回のレシーブ(平均30ヤード)で14TDをあげた。陸上競技でもUSAトゥデイよりオールアメリカンに選ばれる活躍を見せ、三段跳で50フィート8インチを跳んで、カリフォルニア州のチャンピオンになった。また100mで10秒77、110mハードルで13秒99、走幅跳で23フィート8インチの自己ベストをマークした。

大学時代 編集

スタンフォード大学に進学した彼は、1年次には、ワイドレシーバーとして起用され、34回のレシーブで581ヤード獲得、3TDをあげて、フレッシュマンのオールアメリカンに選ばれた。その後2年間で47回のレシーブで759ヤード、4TDをあげた。2008年には4試合に出場したところで、ひざを負傷しシーズン絶望となった。怪我から復帰後、コーナーバックに転向し、2シーズンで112タックル、6インターセプトをあげた。2010年6月学位を取得したが、修士課程に進学し[1]、5年目となるこの年もプレー、チームは12勝1敗でシーズンを終えた[2]

プロ入り後 編集

プレドラフト測定結果
身長 体重






40Yrd



10Yrd




20Yrd




20Yrd



3























6 ft 2+58 in
(190 cm)
195 lb
(88 kg)
32 in
(81 cm)
9+34 in
(25 cm)
4.56 s 1.61 s 2.65 s 4.33 s 6.82 s 38 in
(97 cm)
10 ft 5 in
(3.18 m)
16 回 24
All values from NFL Combine.[3]

シアトル・シーホークス 編集

2011年のNFLドラフトでは5巡でシアトル・シーホークスに指名されて入団した。この年マーカス・トルファントウォルター・サーモンドの負傷もあり、10試合に先発出場し、53タックル、21パスディフェンス、4インターセプトをあげて、プロフットボール・ウィークリーより、オールルーキーチームに選ばれた[4]

2012年第5週の勝利したニューイングランド・ペイトリオッツ戦では、相手QBのトム・ブレイディに試合中盛んに話しかけた。第8週のデトロイト・ライオンズ戦を前に、相手のエースレシーバー、カルビン・ジョンソンメガトロンの愛称を持つ)に対抗してTwitterで自らを「オプティマス・プライム」と称した[5]。この試合で彼はジョンソンをチームメートとともに、3回46ヤードとシーズン最少の記録に抑えた。この年8インターセプト、NFLトップの23パスディフェンスを記録し、最優秀守備選手賞に推す声もあったが、プロボウルには選ばれなかった[6]。第6週のニューイングランド・ペイトリオッツ戦ではトム・ブレイディからインターセプトを奪ったが、試合中盛んにブレイディに対して口撃をしかけた[7]。第10週のニューヨーク・ジェッツ戦では自陣6ヤードまで攻め込まれたところから、マーク・サンチェスのパスをインターセプト、失点を防いだ[8]。またこの試合ではプロ初サックを記録、ファンブルを誘いターンオーバーにつなげる活躍を見せ、NFC週間MVP守備部門に選ばれた[9]

11月下旬、運動能力強化薬物(RED)規定違反の疑いで[10]ブランドン・ブラウナーとともに、シーズン終盤の4試合の出場停止処分を受けた[11]。これに対してブラウナーは、12月4日に異議申し立てを取り下げてレギュラーシーズン最後の4試合を欠場したが[12]、彼は異議申し立てを継続し、最終的に処分は取り消しとなった[13]。第14週のアリゾナ・カージナルス戦では2インターセプトをあげ、その内の1回はリターンTDにつなげている[14]。第16週のサンフランシスコ・フォーティナイナーズ戦では、FGブロックされたボールをリカバーし90ヤードのリターンTD[15]、またインターセプトをあげた[16]。最終週のセントルイス・ラムズ戦でも1インターセプトをあげた[17]

プレーオフで対戦するワシントン・レッドスキンズからは、シャーマンが出場停止処分を逃れたことについて「彼は詐欺師だ。」といったコメントも見られた[18]

2013年、第15週のニューヨーク・ジャイアンツ戦では2インターセプトをあげた[19]。この年、プロボウルに選出された[20]。この年チームはパス喪失ヤード、相手パスディフェンスでリーグトップの成績を残した[21]。サンフランシスコ・フォーティナイナーズとのNFCチャンピオンシップゲームでは、コリン・キャパニックからエンドゾーン内のマイケル・クラブツリーに投げられたパスをはじき、これをマルコム・スミスがインターセプトし、チームはスーパーボウル出場を決めた[22]

 
第48回スーパーボウルにて、ヘッドコーチのピート・キャロルと抱擁するシャーマン

デンバー・ブロンコスと対戦したスーパーボウルにてシャーマンは先発出場した。チームも43-8で勝利し、球団創設初のスーパーボウルチャンピオンに輝いた。

2014年5月7日にシーホークスと4年5600万ドルで契約を延長させ、リーグ史上最高額のCBとなった[23]

このシーズンは全16試合に先発し、57タックル(ソロタックル45回)、4インターセプトという成績でプロボウルとオールプロ1stチームの両方に選出された。

チームも地区優勝を果たし、プレーオフも勝ち進み2年連続でスーパーボウルに進出した。ニューイングランド・ペイトリオッツと対戦した第49回スーパーボウルでは先発出場し、3タックルを挙げる活躍を見せたが、チームは24-28で敗れた。試合後に左肘のトミー・ジョン手術を受けることが発表された[24]

2015年シーズンも全16試合に先発出場し、タックル50回(ソロ33回)、パスディフレクション14回、インターセプト2回を記録し、プロボウルに選出された。

2016年シーズンも全16試合に先発出場し、タックル58回(ソロ38回)、パスディフレクション13回、インターセプト4回を記録したが、シーズン終了後に膝内側側副靭帯の怪我を隠して出場を続けていたことが分かった[25]

2017年シーズン、第10週のアリゾナ・カージナルス戦にてアキレス腱を断裂し、ここでシーズンエンドとなった[26]。オフにシーホークスからリリースされた[27]

サンフランシスコ・49ers 編集

 
2019年のシャーマン(左の25番)

2018年シーズン終了後、シーホークスからリリースされた翌日の2018年3月10日、シャーマンはサンフランシスコ・49ersと3年3900万ドルの契約に合意した[28]

49ersでの1年目のシーズンは14試合出場で37タックル、1サックを記録した[29]

2019年シーズンは15試合出場で61タックル、3インターセプトを記録し、開幕戦ではタッチダウンも挙げた。このシーズンは2016年以来となるプロボウルに選出された。チームは地区優勝を果たし、第54回スーパーボウルにも出場したが、20-31で敗れ自身2回目のスーパーボウル制覇とはならなかった。

3年契約の最終年となった2020年はふくらはぎの怪我の影響で5試合の出場に留まり、1インターセプトを記録した。オフにFAとなった[30]

タンパベイ・バッカニアーズ 編集

2021年9月29日にタンパベイ・バッカニアーズと1年契約を結んだ[31]。このシーズンはハムストリングの怪我に悩まされ、5試合の出場に留まった。

バッカニアーズ退団後 編集

 
サーズデーナイトフットボールに出演するシャーマン(2023年)

2022年6月14日にAmazon Prime Videoで配信されるサーズデーナイトフットボールのアナリストに就任することが発表されたが、現役引退については否定した[32]

2023年7月、フィラデルフィア・イーグルス所属のレーン・ジョンソンへのインタビューの中で2021年が自分のキャリアの最後のシーズンだったと認め、事実上の引退を表明した[33]

詳細情報 編集

年度別成績 編集

記録
スーパーボウル優勝年
リーグ最高記録
太字 自己最高記録

レギュラーシーズン 編集

年度 チーム 試合 タックル パスカバー ファンブル
出場 先発 コンビ ソロ アシスト QBサック パスブロック インターセプト リターンヤード 平均リターンヤード 最長リターンヤード TD ファンブルフォース ファンブルリカバー
2011 SEA 16 10 55 47 8 0.0 17 4 45 11.2 33 0 1 0
2012 SEA 16 16 64 53 11 1.0 24 8 57 7.1 29 1 3 1
2013 SEA 16 16 48 38 10 0.0 16 8 125 15.6 58T 1 0 2
2014 SEA 16 16 57 45 12 0.0 8 4 81 20.2 53 0 1 0
2015 SEA 16 16 50 33 17 0.0 14 2 30 15.0 26 0 0 0
2016 SEA 16 16 58 38 20 0.0 13 4 37 9.2 31 0 0 1
2017 SEA 9 9 35 25 10 0.0 7 2 20 10.0 19 0 0 1
2018 SF 14 14 37 30 7 1.0 4 0 0 0.0 0 0 0 1
2019 SF 15 15 61 48 13 0.0 11 3 65 21.7 31T 1 0 0
2020 SF 5 5 18 16 2 0.0 1 1 18 18.0 18 0 0 0
2021 TB 5 3 11 11 0 0.0 1 1 0 0.0 0 0 0 1
Total 143 136 495 385 110 2.0 116 37 478 12.9 58T 3 5 7

[34]

人物 編集

ラインバッカー並のサイズを持ち[35]、フィジカルの強さを持ったコーナーバックである[36]

レシーバーとのコンタクトが認められている、スクリメージラインから5ヤード以内の地点での激しいコンタクトを行っており、同地区ライバルのサンフランシスコ・フォーティナイナーズQBアレックス・スミスからは、イリーガルコンタクトの反則が取られるべきだと言われたこともある[37]

ビッグマウスとして知られており、その言動はしばしば見出しとなっている[38]

2014年、自身と同じくロサンゼルスのワッツ地区英語版で育ったフィラデルフィア・イーグルスのエースWRデショーン・ジャクソンが解雇された際、ロサンゼルスのギャングとの関係も噂されていたジャクソンについて、昔からの友人関係を重んじたジャクソンが解雇され、人種差別発言で罰金を受けたライリー・クーパーが残留したことはアンフェアであるとコメントした[39]

脚注 編集

  1. ^ Football: Richard Sherman graduates from Stanford”. ロサンゼルス・タイムズ (2010年6月21日). 2013年1月12日閲覧。
  2. ^ Gil Alcaraz IV (2011年1月). “An insider’s view with Stanford cornerback Richard Sherman”. Yahoo! SPORTS. 2013年1月12日閲覧。
  3. ^ Richard Sherman, DS #24 CB, Stanford”. NFL.com. 2021年3月27日閲覧。
  4. ^ 2011 All-Rookie team”. プロフットボール・ウィークリー (2012年1月18日). 2013年1月12日閲覧。
  5. ^ メガトロン、シーホークスCBの発言を「モチベーションにする」”. NFL JAPAN (2012年10月26日). 2013年1月12日閲覧。
  6. ^ Kareem Copeland (2012年12月26日). “Richard Sherman: Pro Bowl spots 'don't mean nothing'”. nfl.com. 2013年1月12日閲覧。
  7. ^ シーホークスCBシャーマン、試合後のブレイディに挑発コメント”. NFL JAPAN (2012年10月16日). 2013年1月12日閲覧。
  8. ^ シーホークス 4TDで 6勝目 ジェッツ 3連敗で 6敗目”. TSP SPORTS (2012年11月11日). 2013年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月12日閲覧。
  9. ^ バトラー、シャーマンの両CBが週間MVP -守備部門-”. NFL JAPAN (2012年11月15日). 2013年1月12日閲覧。
  10. ^ SEA選手出場停止の恐れ、アデロールはカモフラージュ?”. アメフトNewsJapan (2012年11月26日). 2013年1月12日閲覧。
  11. ^ シーホークスHC、異議申し立て中CBシャーマンらの次戦出場に望み”. NFL JAPAN (2012年11月27日). 2013年1月12日閲覧。
  12. ^ シーホークス、CBブラウナーが今週から4試合出場停止”. NFL JAPAN (2012年2月6日). 2013年1月12日閲覧。
  13. ^ シーホークスに朗報、CBシャーマンの出場停止処分は取り消し”. NFL JAPAN (2012年12月28日). 2013年1月12日閲覧。
  14. ^ 球団最多得点で快勝のシーホークス、「相手を完全に吹き飛ばした」”. NFL JAPAN (2012年12月10日). 2013年1月12日閲覧。
  15. ^ プレイオフ進出のシーホークス、「声援が凄まじかった」と指揮官”. NFL JAPAN (2012年12月24日). 2013年1月12日閲覧。
  16. ^ シーホークス圧勝でプレイオフ進出、地区優勝決定は最終週へ”. NFL JAPAN (2012年12月24日). 2013年1月12日閲覧。
  17. ^ シーホークス5連勝、地区Vならずも上げ潮でプレイオフへ”. NFL JAPAN (2012年12月31日). 2013年1月12日閲覧。
  18. ^ Dan Hanzus (2013年1月4日). “Redskins player on Richard Sherman: 'He's a cheater'”. nfl.com. 2013年1月12日閲覧。
  19. ^ シーホークスが完封勝利、5INT奪取で2敗キープ”. NFL JAPAN (2013年12月16日). 2013年12月18日閲覧。
  20. ^ プロボウル選出メンバー発表 -ディフェンス-”. NFL JAPAN (2013年12月28日). 2013年12月30日閲覧。
  21. ^ Dan Pompei (2014年1月17日). “Seattle Seahawks' Legion of Boom Is Pure, Old-School Football at Its Finest”. bleacherreport.com. 2014年1月25日閲覧。
  22. ^ Ashley Fox (2014年1月20日). “Stay away from Richard Sherman”. ESPN. 2014年1月25日閲覧。
  23. ^ Blount, Terry (2014年5月7日). “Richard Sherman Signs Record Deal”. ESPN.com. 2023年12月10日閲覧。
  24. ^ Blount, Terry (2015年2月2日). “Seattle Seahawks Cornerback Richard Sherman needs Tommy John surgery”. ESPN. 2023年12月10日閲覧。
  25. ^ “CBシャーマンは膝を負傷していたとシーホークス”. NFL JAPAN. (2017年1月17日). https://nfljapan.com/headlines/15212 2024年1月8日閲覧。 
  26. ^ “アキレス腱断裂で今季終了のシーホークスCBシャーマン”. NFL JAPAN. (2017年11月10日). https://nfljapan.com/headlines/24911 2024年1月8日閲覧。 
  27. ^ “シーホークスがCBシャーマンを放出”. NFL JAPAN. (2018年3月10日). https://nfljapan.com/headlines/30722 2024年1月8日閲覧。 
  28. ^ Shook, Nick (2018年3月10日). “Richard Sherman joining 49ers on 3-year, $39M deal”. NFL.com. 2021年3月27日閲覧。
  29. ^ Richard Sherman 2018 Game Log”. www.pro-football-reference.com. 2021年11月4日閲覧。
  30. ^ “49ersの姿勢ははっきりしていたと離脱を見込むCBシャーマン”. NFL JAPAN. (2021年2月18日). https://nfljapan.com/headlines/62091 2021年10月7日閲覧。 
  31. ^ “CBシャーマンがバッカニアーズとの1年契約にサイン”. NFL JAPAN. (2021年9月29日). https://nfljapan.com/headlines/68540 2021年10月7日閲覧。 
  32. ^ “CBシャーマンがプライム・ビデオのTNF放送チームに、競技復帰の可能性は否定せず”. NFL JAPAN. (2022年6月15日). https://nfljapan.com/headlines/77280 2023年11月17日閲覧。 
  33. ^ “2021年がおそらく最後の年だったと振り返る元シーホークスと49ersのCBシャーマン”. NFL JAPAN. (2023年7月10日). https://nfljapan.com/headlines/89851 2023年11月17日閲覧。 
  34. ^ Richard Sherman”. NFL.com. 2021年3月27日閲覧。
  35. ^ 【WCプレビュー】ウィルソン対RG3、注目の新人QBが激突”. NFL JAPAN (2013年1月4日). 2013年1月12日閲覧。
  36. ^ 【第9週プレビュー】地区制覇へ正念場、当落線上の両軍が激突”. NFL JAPAN (2012年11月3日). 2013年1月12日閲覧。
  37. ^ ハーボーHC、肉弾戦上等のシーホークスCB陣に苦言”. NFL JAPAN (2012年12月20日). 2013年1月12日閲覧。
  38. ^ シーホークスCBシャーマン、49ers以外に警戒するチームは?”. NFL JAPAN (2013年7月3日). 2013年7月8日閲覧。
  39. ^ Cindy Boren (2014年4月2日). “Richard Sherman on DeSean Jackson: It’s unfair to judge him by “company he keeps””. ワシントン・ポスト. 2014年4月5日閲覧。

外部リンク 編集