第71次長期滞在
第71次長期滞在(だい71じちょうきたいざい、Expedition 71)は71回目の国際宇宙ステーションでの長期滞在。この長期滞在は2024年4月6日のソユーズ MS-24の出発で開始され[1]、ロシアの宇宙飛行士オレグ・コノネンコが第70次長期滞在からISSの指揮権を引き継いだ[1][2]。この長期滞在は2024年後半のソユーズ MS-25の出発で終了する予定となっている[3][4]。
第71次長期滞在メンバー | |
任務種別 | ISS長期滞在 |
---|---|
運用者 | NASA / Roscosmos |
任務期間 | 188日 3時間 58分(進行中) |
長期滞在 | |
宇宙ステーション | 国際宇宙ステーション |
開始 | 2024年4月6日 |
到着 | スペースX Crew-8 ソユーズ MS-25 ボーイング有人飛行試験 ソユーズ MS-26 |
出発 | ソユーズ MS-25 |
乗員 | |
乗員数 | 7–11 |
乗員 |
|
EVA | 2 |
EVA期間 | 5時間7分 |
第71次長期滞在の徽章 左からグレベンキン、コールドウェル・ダイソン、バラット、チュブ、ドミニク、コノネンコ、エップス、背景にウィリアムズとウィルモア |
背景、クルー、イベント
編集当初、第71次長期滞在クルーはオレグと、同じくロシアのソユーズ MS-24搭乗員のニコライ・チュブ(この両名は2023年9月15日以来一年以上のISSでのミッションとなる)および2024年3月21日にソユーズ MS-25で打ち上げられるトレイシー・コールドウェル・ダイソン、さらにソユーズ MS-24の出発後に第70次長期滞在から移行するスペースX Crew-8搭乗員のアメリカ人宇宙飛行士マシュー・ドミニク、マイケル・バラット、ジャネット・エップス、ロシア人宇宙飛行士アレクサンダー・グレベンキンで構成される[4][2][5]。
公式には長期滞在の一員ではなかったものの、NASAの宇宙飛行士バリー・"バッチ"・ウィルモアとスニータ・ウィリアムズは、2024年6月6日のボーイング有人飛行試験中にステーションに到着し、数日間の滞在になるはずだった。しかし、技術的な問題により、彼らの宇宙船は無人のまま出発し、ウィルモアとウィリアムズは事実上のクルーとなり、ステーションでの任務を手伝うことになった[3][6][7]。
イベント時系列
編集先行ミッション:第70次長期滞在
2024年4月6日 – ソユーズ MS-24/70S ドッキング解除(ISS EP-21を含む)、公式に第70次長期滞在から移行
2024年4月25日 – EVA-1 (VKD-62) コノネンコ/チュブ:4時間36分
2024年4月28日 – CRS SpX-30 ドッキング解除
2024年5月2日 – スペースX Crew-8 再ドッキング
2024年6月1日 – プログレスMS-25/86P ドッキング解除
2024年6月6日 – プログレスMS-27/88P ドッキング
2024年6月6日 – スターライナー CFT ドッキング[7]
2024年6月24日 – EVA-2 (US-90) ダイソン/バラット:31分
2024年7月12日 – CRS Cygnus NG-20 係留解除および解放
2024年8月6日 – CRS シグナス NG-21 捕捉および係留
2024年8月13日 – プログレス MS-26/87P ドッキング解除
2024年8月17日 – プログレス MS-28/89P ドッキング
2024年9月4日 - ボーイングCFTを無人で帰還させるため、ウィルモアとウィリアムズのシートライナーをCFTからスペースX Crew-8に載せ替え[8]
2024年9月6日 – スターライナー CFT ドッキング解除[7]
予定されているイベント
2024年9月 – EVA-3 (US-91)
2024年9月 – EVA-4 (VKD-63)
2024年9月 – EVA-5 (VKD-64)
2024年9月 – EVA-6 (US-92)
2024年9月11日 – ソユーズ MS-26 ドッキング
2024年9月23日 - 第71次/72次長期滞在の指揮官交代式
2024年9月24日 – ソユーズ MS-25 ドッキング解除、公式に第72次長期滞在に移行
後続ミッション:第72次長期滞在
クルー
編集長期滞在クルー
編集フライト[3] | 飛行士 | 第1期 | 第2期 | 第3期 |
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2024年4月6日 - 6月6日 | 2024年6月6日 - 9月11日 (現状) |
2024年9月11日 - 9月24日 (計画) | ||
ソユーズ MS-25 | オレグ・コノネンコ、Roscosmos 5回目 |
指揮官[1] | ||
ニコライ・チュブ、Roscosmos 1回目 |
フライトエンジニア | |||
トレイシー・コールドウェル=ダイソン、 NASA 3回目 |
フライトエンジニア | |||
スペースX Crew-8 | マシュー・ドミニク、NASA 1回目 |
フライトエンジニア | ||
マイケル・バラット、NASA 3回目 |
フライトエンジニア | |||
ジャネット・エップス、NASA 1回目 |
フライトエンジニア | |||
アレクサンダー・グレベンキン、Roscosmos 1回目 |
フライトエンジニア | |||
ボーイング有人飛行試験 | バリー・E・ウィルモア、NASA 3回目 |
搭乗前 | フライトエンジニア | |
スニータ・ウィリアムズ、NASA 3回目 |
搭乗前 | フライトエンジニア | ||
ソユーズ MS-26 | アレクセイ・オヴチニン、Roscosmos 4回目[注釈 1] |
搭乗前 | フライトエンジニア | |
イワン・ワグネル、Roscosmos 2回目 |
搭乗前 | フライトエンジニア | ||
ドナルド・ペティ、NASA 6回目 |
搭乗前 | フライトエンジニア |
有人試験飛行
編集ミッション | 宇宙飛行士 | ドッキング(UTC) | ドッキング解除(UTC) | 期間 |
---|---|---|---|---|
ボーイング有人飛行試験 | バリー・E・ウィルモア、NASA スニータ・ウィリアムズ、NASA |
2024年6月6日[7](ハードドッキング) | 2024年6月14日[7](計画) | 6日(計画) |
長期滞在クルーのほかに、ボーイング CST-100 スターライナーが、NASAの2人の宇宙飛行士バリー・E・ウィルモアとスニータ・ウィリアムズを乗せた有人飛行試験のためにステーションをを訪れた[7]。3機目のボーイングの宇宙船は、ジャック=イヴ・クストーの海洋調査船カリプソ号にちなんで「カリプソ」と名付けられ[12]、2024年6月に打ち上げられてステーションにドッキングした。この飛行はボーイングのCST-100 スターライナー宇宙船の初の有人試験飛行となった。乗組員はステーションに約6日間滞在する。このフライトは、1968年10月のアポロ7号以来のケープカナベラル宇宙軍施設からの有人打ち上げとなった[7]。 |
宇宙船目録
編集宇宙船 | 目的 | ポート | ドッキング/捕捉日 | ドッキング解除日 (第71次長期滞在中であれば) |
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第70次長期滞在から引き継いだ宇宙船 | ||||
プログレス MS-25/86P | 貨物 | MRM2 天頂側 | 2023年12月3日 | 2024年5月28日 |
CRS NG-20 パトリシア・"パティ"・ヒリアード・ロバートソン | 物船 | ユニティ 天底側 | 2024年1月31日 | 2024年7月12日 |
プログレス MS-26/87P | 貨物船 | ズヴェズダ 後方側 | 2024年2月17日 | 2024年8月13日 |
スペースX Crew-8 エンデバー | 第70/71次長期滞在クルー | ハーモニー 前方側 | 2024年3月5日 | 2024年5月2日(再ドッキング) |
CRS SpX-30 | アメリカの貨物船 | ハーモニー 天頂側 | 2024年3月23日 | 2024年4月28日 |
ソユーズ MS-25/71S カズベク | 第70/71次長期滞在アメリカ側クルーと短期訪問者 | プリチャル 天底側 | 2024年3月25日 | 2024年9月24日(計画) |
第71次長期滞在中にドッキングした宇宙船 | ||||
スペースX Crew-8 エンデバー | (再ドッキング) | ハーモニー 天頂側 | 2024年5月2日(再ドッキング) | 2024年9月(計画) |
プログレス MS-27/88P | ロシアの貨物船 | MRM2 天頂側 | 2024年6月1日 | 2024年11月(計画) |
Boeing CFT スターライナー カリプソ | 長期滞在以外の、アメリカの商業乗員輸送開発ミッショ | ハーモニー 前方側 | 2024年6月6日 | 2024年9月6日(計画) |
CRS NG-21 | アメリカの貨物船 | ユニティ 天底側 | 2024年8月6日 | 2025年1月(計画) |
プログレス MS-28/89P | ロシアの貨物船 | ズヴェズダ 後方側 | 2024年8月17日 | 2025年(計画) |
第71次長期滞在中のドッキングが予定されている宇宙船 | ||||
ソユーズ MS-26/72S | 第71/72次長期滞在クルー | ラスヴェット 天底側 | 2024年9月11日(計画) | 2025年3月(計画) |
プリチャルの前方、後方、右舷および左舷ポートはモジュールが宇宙ステーションにドッキングして以来使用されていないため表から割愛した。
脚注
編集注釈
編集- ^ 搭乗していたソユーズ MS-10がカーマン・ラインを超えずに中断されたが、NASAではこれも1回に数えている。ロシア宇宙局はカーマン・ラインの定義を採用している[11]
出典
編集- ^ a b c Evans, Ben (10 September 2023). “Better Late Than Never: New ISS Crew Prepares to Fly, All-Female EVAs Possible in October”. AmericaSpace.com. オリジナルの29 September 2023時点におけるアーカイブ。 12 September 2023閲覧。
- ^ a b c “Expedition 71 Crew Discusses Six-Month ISS Increment, Crew-9 Announcement Expected Next Week - AmericaSpace” (英語). www.americaspace.com (2024年1月25日). 2024年3月12日閲覧。
- ^ a b c d “Complete ISS flight events”. NasaSpaceFlight.com Forum (15 April 2023). 10 November 2020閲覧。
- ^ a b c “NASA Expedition 71 Astronauts to Conduct Research aboard Space Station - NASA” (英語) (2024年2月9日). 2024年3月12日閲覧。
- ^ “NASA's expedition 71 astronauts prepare for crucial research on international space station” (英語). India Today NE (2024年2月11日). 2024年3月12日閲覧。
- ^ Sturm, Karin (20 November 2023). “Stars aligning for Boeing crew launch in April”. NASASpaceFlight.com. オリジナルの27 December 2023時点におけるアーカイブ。 23 December 2023閲覧。
- ^ a b c d e f g “Boeing's 1st Starliner astronaut launch delayed again, to May 6” (英語). Space.com (4 April 2024). 4 April 2024閲覧。
- ^ Garcia, Author Mark (2024年9月4日). “Crew Studies Space Effects on Humans, Prepares Spaceships for Departure” (英語). blogs.nasa.gov. 2024年9月5日閲覧。
- ^ “Launch Schedule – Spaceflight Now” (英語). 2023年2月23日閲覧。
- ^ “Microgravity Research Flights”. Glenn Research Center. NASA (10 November 2020). 18 July 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。10 November 2020閲覧。
- ^ Gebhardt, Chris (14 March 2019). “Soyuz MS-12 docks with the Space Station – NASASpaceFlight.com”. NASASpaceflight.com
- ^ Dunbar, Brian (December 22, 2019). “Starliner Returns to Earth With a New Name: Calypso”. NASA. 2024年6月6日閲覧。