聖枝祭
聖枝祭(せいしさい、ギリシア語: Κυριακή των Βαΐων[1], ロシア語: Вход Господень в Иерусалим[2], ルーマニア語: Duminica Floriilor[3], 英語: Palm Sunday[4])はイエス・キリストのエルサレム入城を記念する正教会の祭日であり、十二大祭のひとつである。「主のエルサレム入城」「枝の祭り」「枝の主日」「花の主日」といった呼び名もある。
カトリック教会での枝の主日(受難の主日)、プロテスタントでの棕櫚の主日に相当する。ただし本祭日は移動祭日であることと、正教会と両教派とでは教会暦が異なることから、日付は年によって、同日であることもあれば異なる日にちである場合もある。
目次
日付編集
祭の内容・意義編集
新約聖書によれば、イエスは若い雄ロバの背に乗りエルサレムに入り、群集は歓呼してこれを迎えた。聖書の記載箇所は以下の通りである。
聖枝祭のイコンには、ロバに乗ったイエスとそれに従う弟子たち、エルサレムの城とイエスを迎える群衆が描かれる。
信者が枝を用意し、司祭がそれを早課で成聖し、聖枝祭の早課・聖体礼儀には信者がこの枝を手に参祷する。これはヨハネによる福音書の記述に則った習慣である。
枝は当時、凱旋者を歓喜して迎える印であった[5]。イエスを迎えたエルサレムの群衆は枝を持って、王を迎えるのと同じような仕方でイエスを迎えたが、群衆の多くは自分達をローマの支配から解放して新しいユダヤの王国を築くためにイエスが来たのだと誤解していた[6]。正教徒はこのような誤解に則るのではなく、死に対して勝利して凱旋する王として、自分の中に受け入れることを示すために枝や花を持って聖枝祭を祝う[5]。
地域によっては枝を手にしての十字行が行われる。
枝はオリーブ、ナツメヤシまたはシュロが好まれるが、何を用いるという規定はとくにない[5]。花をつけた枝を用いる場合もある。ロシア正教会など寒冷な地ではネコヤナギなどを用いる(ネコヤナギを用いるのはロシアのみならず、北欧でも例がある)。日本正教会でも地域によってネコヤナギが使われる(ネコヤナギは正教会のみならず、寒冷な地であるイギリスやオーストリアにある西方教会でも用いられる[7][8])。
脚注編集
- ^ Κυριακή των Βαΐων - 全能者修道院(パントクラトル修道院)のウェブサイト内のページ(ギリシア語) (英語) (ドイツ語) (ルーマニア語)
- ^ Вход Господень в Иерусалим. Вербное воскресение - ロシア語版正教会暦内のページ (ロシア語)
- ^ Predica la Duminica Floriilor (ルーマニア語)
- ^ Palm Sunday: The Feast of the Entrance of our Lord Jesus Christ into Jerusalem - The Department of Internet Ministries of the Greek Orthodox Archdiocese of America内のページ (英語)
- ^ a b c 聖枝祭(主のエルサレム入城) - 大阪ハリストス正教会内のページ (日本語)
- ^ 主の聖枝祭(私達の救い主のエルサレム入城) (日本語)
- ^ シュロの主日(枝の主日) (日本語)
- ^ 「枝の主日」は何の枝? (日本語)
関連記事編集
外部リンク編集
- 聖枝祭(主のエルサレム入城) - 大阪ハリストス正教会内のページ (日本語)