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蛟竜

中国の伝説上の動物
蛟龍から転送)
蛟図(中国の蛟)

蛟龍(こうりゅう、こうりょう、蛟竜)、すなわち(コウ; jiāo)は、中国のの一種、あるいは、姿が変態する竜種の幼生(成長の過程の幼齢期・未成期)だとされる。

日本では、「漢籍や、漢学に由来する蛟〔コウ〕・蛟竜〔コウリュウ〕については、「みずち」の訓が当てられる。しかし、中国の別種の竜である虬竜〔キュウリュウ〕(旧字:虯竜)や螭竜〔チリュウ〕もまた「みずち」と訓じられるので、混同も生じる。このほか、そもそも日本でミズチと呼ばれていた、別個の存在もあるので、これについてはそちらの項を参照。

ことばの用法としては、「蛟竜」は、蛟と竜という別々の二種類を並称したものともされる。また、俗に「時運に合わずに実力を発揮できないでいる英雄」を「蛟竜」と呼ぶ。言い換えれば、伏竜臥竜蟠竜などの表現と同じく、雌伏して待ち、時機を狙う人の比喩とされる。

目次

概要編集

荀子』勧学篇は、単にのある竜のことであるとする。

述異記』には「水にすむ虺(き)は五百年で蛟となり、蛟は千年でとなり、龍は五百年で角龍、千年で応竜となる」とある。水棲の虺(き)というのは、蝮〔マムシ〕の一種のこととされる。

李時珍が編した『本草綱目』(鱗部、竜類)によれば、その眉が交生するので「蛟」の名がつけられたとされている[1]。長さ一丈[2](3メートルほど)だが[3]、大きな個体だと太さ数囲(かかえ)にもなる。蛇体に四肢を有し[2]、足は平べったく盾状である[1]。胸は赤く[1]、背には青い斑点があり[1]、頚には白い嬰[2](白い輪模様[1]か襞[3]、またはコブ?)がつき、体側は錦のように輝き[1]、尾の先に瘤、あるいは肉環[1]があるという。

ただし、蛟は有角であるという『本草綱目』に反して、『説文解字』の段玉裁注本では蛟は「無角」であると補足する。

『説文解字』(小徐(徐鍇)本系統)第14篇 では、「蛟竜属なり、[池]魚三千六百満つ、すなわち蛟これの長たり、魚を率いて飛び去る」 (南方熊楠から引用[4]) とある。原文は「池魚滿三千六百..」で、この箇所は、<池の魚数が3600匹に増えると、蛟竜がボス面をしてやってきて、子分の魚たちを連れ去ってしまう、だが「笱」すなわち魚取りの簗を水中に仕掛けておけば、蛟竜はあきらめてゆく>という意味だそうである[5]

山海経』にも近似した記述があり、「淡水中にあって昇天の時を待っているとされ、池の魚が二千六百匹を数えると蛟が来て主となる」とある。これを防ぐには、蛟の嫌うスッポンを放しておくとよいとされるが、そのスッポンを蛟と別称することもあるのだという。

更に時珍(『本草綱目』)は、蛟の属種に「」がいるが[2]、これは蛇状で大きく、竜のような角があり[2]、鬣(たてがみ)は紅く[2]、腰から下はすべて逆鱗となっており[2]、「燕子」を食すとあるのだが、これは燕子〔つばくろ〕(ツバメ)と詠むべきなのか、燕子花〔カキツバタ〕とすべきなのか。これが吐いた気は、楼のごとくして雨を生み「蜃楼」(すなわち蜃気楼)なのだという。

また、卵も大きく、一二石を入れるべき甕のごとく[3]とされる。

蛟竜に由来する命名編集

  • 中国の深海潜水艇に「蛟竜」と命名されたものがある。
  • 旧日本海軍の特殊潜航艇に「蛟竜」と命名されたものがある。

大衆文化の蛟竜編集

  • 麻雀格闘倶楽部 - 条件を満たすと真龍の一つである蛟龍になれる。
  • ゲゲゲの鬼太郎 - 「妖怪獣」では蛟龍、「蓮華王国」では蜃(みずち)の名で敵として登場する。

脚注編集

注釈編集

出典編集

  1. ^ a b c d e f g toroia 2010幻想動物の事典サイト「蛟」の項
  2. ^ a b c d e f g 本草綱目/鱗之一 (zh.wikisource)
  3. ^ a b c 『漢和大字典』(三省堂編輯所 1906), p.1281
  4. ^ 南方熊楠 1917; 南方の引用だと「池」の一字が脱落しているので補遺。
  5. ^ 英語版Jialong (蛟竜)en:Special:Permalink/238011966 (20:55, 12 September 2008 Keahapana 版) を参照

参考文献編集

  • 三省堂編輯所『漢和大字典』三省堂、1906年。 p.1276, 1281, 1294 等。
  • 南方熊楠 「十二支考(4):蛇に関する民俗と伝説」、『太陽』、1917年。 . 青空文庫 No.2536

関連項目編集

外部リンク編集

  • toroia (2010年). “”. 幻想動物の事典. 2012年4月閲覧。