衛星
衛星(えいせい、英語: natural satellite)は、惑星や準惑星・小惑星の周りを公転する天然の天体。ただし、惑星の環などを構成する氷や岩石などの小天体は、普通は衛星とは呼ばれない。
概説編集
地球の衛星である月が有史以前から存在を知られていた唯一の衛星であるが、コペルニクス以前の天動説では惑星の一つと考えられていた。ガリレオ・ガリレイが木星に発見した4つの衛星いわゆるガリレオ衛星が有史以後発見された最初の衛星である。そしてヨハネス・ケプラーによって地動説が優勢になるなり、ラテン語で従者を意味するsatellesから「衛星」と呼ばれるようになった。
人間が作った人工天体の場合には天然の衛星(自然衛星)と区別するために「人工衛星」(英: Artificial Satellite) と呼ぶが、これを単に「衛星」と呼ぶことも少なくない。英語では、口語的に "moons" という言葉で、日本語でも「(惑星)の月」という呼び方で、月にかぎらず、各惑星等の衛星全般を指すこともある。
衛星の周りを公転する天体を孫衛星と呼ぶ。天然の孫衛星は現在のところ発見されておらず、一時的に存在できたとしても軌道が不安定であると考えられている。
太陽系内の惑星のうち水星と金星以外の6個、準惑星のうち冥王星、エリス、ハウメア、マケマケの4個は、それぞれ少なくとも1個の衛星を持つ。また、20世紀末以降の観測により衛星を持つ小惑星も100個以上が確認されている(2007年現在)。
地球に対する月は衛星としては不釣合いに大きい。月の直径は地球の4分の1強であり、質量でも81分の1に及ぶ。後者を見れば小さいように思えるが、他の惑星の衛星の場合ははるかに小さく、地球-月の体系に次ぐものは海王星に対するトリトンの800分の1であり、地球-月系の特異さがわかる。そのため、月と地球を二重惑星と見なす意見もあった。
1978年に発見された冥王星の衛星カロンは、更にこれを凌駕するものであった。当時は冥王星は惑星とされていたために、さらに特異な例とされていた。しかし、通常はこれらも衛星の範疇に含める慣例となっている(二重惑星の項を参照のこと)。
一方木星や土星などのガス惑星の衛星は、地球の月や冥王星のカロンと比べ、母惑星に対して遥かに小さな衛星しか保有しておらず、すべての衛星をあわせても0.01%程度しかない。一見地球サイズを凌ぐ遥か大きな衛星を保有する可能性も想定されるが、様々な条件でシミュレーションした結果によると、どの条件でもガス惑星の場合、衛星の質量の合計は惑星の0.01%からあまりずれない割合であった。理由として初期のうちに誕生した衛星の周りには、まだ円盤のガスが残っていて、衛星とガスとの間に作用する重力が衛星の公転軌道を縮める方向に働いてしまう。この効果は衛星が大きくなるほど強くなるので、成長しすぎた衛星は惑星へと落下して脱落してしまうからである。地球の様な岩石惑星であれば、巨大衝突で大きな衛星を獲得する可能性があるが、ガス惑星の場合は起こりえず、この結果を太陽系外惑星にも当てはめると、木星程度の惑星では、その衛星は月から火星程度の大きさにしかならない。少なくとも木星並の惑星には地球サイズの衛星は存在しないことになり、太陽系外衛星に生命が存在し得るかどうかを論じる上で重要なこととなる。[要出典]
衛星の組成編集
太陽系内の衛星のうち、地球の月やイオは主に岩石で出来ている。その他の衛星は主に岩石と氷で出来ている[要出典]が、エウロパなどのように岩石からなる核の周囲を厚い氷の層が覆っているものと、カリストなどのように分離しきらず岩石と氷が混ざった状態のものがあると考えられている。
多くの衛星はメタンなどの炭素化合物やアンモニアなどの窒素化合物を含んでいる。タイタンは主に窒素からなる濃い大気を持ち、地表には液体のメタンが存在する。
太陽系の惑星と準惑星の衛星編集
- 木星・土星の50km以下、天王星の100km以下は登録番号順
- ()付きは存在しない可能性があるもの
比喩表現編集
関連文献編集
- 『完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動「全記録」』(ブルーバックス、2012年03月 ISBN 978-4062577625)- 衛星の直径や離心率、等級のデータが掲載されている。