西谷地区 (宝塚市)

兵庫県宝塚市の地名
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西谷地区(にしたにちく)、または西谷西谷地域は、兵庫県宝塚市の地名。宝塚市の面積の約3分の2を占めており、都市近郊にあっては貴重な里山の原風景を維持している地域である[2]

西谷地区
兵庫県立宝塚西谷の森公園の保与谷池
西谷地区の位置(兵庫県内)
西谷地区
西谷地区
西谷地区の位置
北緯34度54分21.96秒 東経135度18分25.92秒 / 北緯34.9061000度 東経135.3072000度 / 34.9061000; 135.3072000
日本の旗 日本
都道府県  兵庫県
市町村 宝塚市
地区西谷村
面積
 • 合計 60 km2
人口
2018年(平成30年)現在)[1]
 • 合計 2,518人
 • 密度 42人/km2
等時帯 UTC+9 (JST)
ナンバープレート 神戸

また、西谷地区は市街化を抑制すべき区域である「市街化調整区域」に指定されている[3]。西谷地区には宝塚市の南部地域から約20-30分で行くことができる[4]

人口 編集

西谷地区の人口推移[5]
人口
1879(明治12)年
2,806
1917(大正06)年
3,403
1988(昭和63)年
3,473
1998(平成10)年
3,411
2008(平成20)年
3,028
2018(平成30)年
2,507
年代別人口比(2018年)[6]
地域 15歳未満 15歳 - 64歳 65歳以上 グラフ
全国 12.2% 59.7% 28.1%          
西谷地区 7.3% 49.5% 43.2%        

人口は2018年時点で2,507人となっている[6]。宝塚市の人口は224,126人であるので[7]、市域面積の6割を占める地域に市全体の人口の約1%が居住していることになる[4]。人口は、市に合併された1955年(昭和30年)の約5,800人をピークに減少を続け[8]、さらに、2007年から2017年までの10年間では人口は500人以上減少している[9]高齢化も進み、高齢化率は43.2%と宝塚市全体の26.71%に比べて高くなっている[6][9]。年少人口は199人で年少人口比率は7.76%となっている[9]

歴史 編集

かつて西谷地区は西谷村という村であったが1955年3月14日宝塚市との編入合併により、宝塚市の一部となった。1971年には西谷地区一帯が「宝塚自然休養村」に指定・村開きがされ、1973年には宝塚市立青少年野外活動センターに宝塚市立少年自然の家が完成した[10]1976年に宝塚市立歴史民俗資料館が開館、1981年には国鉄福知山線塚口-宝塚間の複線電化工事が完成し、営業が開始された[10]1993年には兵庫県が宝塚新都市開発基本計画を策定し、2001年には宝塚長谷牡丹園が開園、長尾山トンネル道路が開通した[10]2004年に宝塚市立少年自然の家が日帰りの自然体験型施設の宝塚市立宝塚自然の家としてリニューアルオープンした[11]2015年には丸山湿原群が兵庫県の天然記念物の指定を受けた[12]2018年には新名神高速道路川西IC - 神戸JCT間)が開通し、宝塚北サービスエリアがオープンした[13]

西谷地区の昔と今の比較 編集

1908年と2018年の比較[14]
項目 昔(1908年) 今(2018年)
人口 人口:3118人

戸数:575戸

人口:2507人

戸数:1108戸

家屋 一階建

茅葺1階建き民家 日本の田舎特有の建築様式

二階建

瓦葺き 建築様式の近代化(瓦、建材、工法)

家族と生活 大家族 核家族
生業 農業中心 兼業農家
食事 地元の食材を中心とした和食

自給自足で、米、野菜、魚の干物、鶏肉(かしわ)などを食べていた

和食・洋食など
水と燃料 井戸水、川の水、薪、柴、炭、練炭 (里山資源の活用) インフラの整備(電気、ガス、灯油)
交通 徒歩、汽車、荷車 車、電車、バス
周辺地域との交流 東西の交流、特に東谷・中谷・高平との交流が盛んで、 通婚圏[注 1]でもあった 宝塚市に合併したことで、 交通の便が良くなり南北の交流が増加した

変遷表 編集

江戸時代初期 江戸時代後期 1889年 - 1955年 1955年 -
1605年 1673年 明治22年 - 昭和30年 昭和30年 -
佐曽利村 上佐曽利村[注 2] 上佐曽利村 西谷村 宝塚市
香合新田村
下佐曽利村[注 2]
長谷村 長谷村
芝辻新田村
大原野村
波豆村
堺野(境野)村
玉瀬村
畑(切畑)村 南切畑村[注 3] 切畑村
北切畑村[注 3]

[16]

産業 編集

西谷地区の主な産業は農業であり、米作中心の農業が営まれている[17]。同地区には、6軒の畜産農家が約600頭の牛を飼育している[18]。また、太陽光を農業と発電でシェアするソーラーシェアリングの取組が進んでいる。これは、2015年に始まり、現在8基が設置されている[19]

交通 編集

鉄道 編集

西谷地区ではJR福知山線が通っている。地区内には武田尾駅が存在し、宝塚駅などと結ばれている。

バス 編集

事業者名 番号 路線名 経由地
阪急バス
阪急田園バス
1系統 宝塚線
(廃止)
宝塚 - すみれガ丘一丁目 - 十万辻 - 切畑 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部
2系統 宝塚 - すみれガ丘一丁目 - 十万辻・大宝塚ゴルフ場[注 4] - 切畑 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 西谷車庫前 - 波豆
3系統 宝塚 - すみれガ丘一丁目 - 十万辻・大宝塚ゴルフ場[注 4] - 切畑 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 -
西谷小学校前 - 波豆
4系統 宝塚 - すみれガ丘一丁目 - 十万辻 - 切畑 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 - 西谷小学校前 - 波豆
5系統 宝塚 - すみれガ丘一丁目 - 十万辻 - 大宝塚ゴルフ場
6系統 武田尾線 波豆川 - 上佐曽利 - 東部
7系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 西谷の森公園西の谷 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 - 上佐曽利
8系統 上佐曽利 - 東部 - 西谷夢プラザ
9系統 西谷小学校前 - 上佐曽利
10系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 - 長谷公民館前 - 上佐曽利 - 波豆川
11系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 - 長谷公民館前 - 上佐曽利
12系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - (西谷車庫前・西谷小学校前) - 東部 - 上佐曽利
13系統 上佐曽利 - 東部 - 西谷夢プラザ - 松葉屋 - 玉瀬 - JR武田尾
14系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部
15系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 - 西谷小学校前 - 波豆
16系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 西谷車庫前
17系統 上佐曽利 - 東部 - 西谷小学校前 - 西谷車庫前 - 西谷夢プラザ - 松葉屋 - 玉瀬 - 切畑 - JR武田尾
18系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷夢プラザ - 東部 - 西谷小学校前
19系統 JR武田尾 - 玉瀬 - 松葉屋 - 西谷支所前 - 東部 - 上佐曽利 - 波豆川

西谷地区では主に阪急バス阪急田園バス)が運行している。宝塚市北部の大原野西谷地区を中心に、宝塚駅武田尾駅三田駅を結ぶ路線を運行している。しかし、2021年3月31日をもって西谷出張所は閉所し、宝塚営業所に統合されるほか、西谷地区と三田および宝塚方面を結ぶ路線が廃止された[20]

道路 編集

道路は主に県道33号線(十万道路)がある。また、新名神高速道路が通り、同地区玉瀬には宝塚北SA/スマートICがある。

文化 編集

文化財等 編集

無形文化財 編集

  • 西谷地区のちまきの食文化 - 宝塚市無形民俗文化財。全国的にほとんどの地域でササ類の1種類の植物で包むちまきが一般化しているが、西谷地区では全国的にも稀なナラガシワヨシの2種類の植物で包むちまきが現在も作られている。
  • ケトロンまつり - 江戸時代から300年以上続いている健康祈祷の念仏行事[21]

重要文化財 編集

  • 波豆八幡神社 - 源満政が973年(天延元年)に創建したといわれる神社で[22]、本殿は国の重要文化財に指定されている[23]
  • 旧東家住宅 - 宝塚市立歴史民俗資料館にあり、県指定重要有形文化財に指定されている[24]。現在は、江戸時代頃の農家の暮らしを伝える資料館として活用されている[24]

施設 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 通婚圏とは配偶者選択の範囲や集中度を示す指標のこと[15]
  2. ^ a b 寛文年間までに上佐曽利・下佐曽利に分離
  3. ^ a b 1644年-48年までに南切畑・北切畑に分離
  4. ^ a b (前停留所)→十万辻→大宝塚ゴルフ場→(次停留所)

出典 編集

  1. ^ 20 宝塚市西谷地区まちづくり協議会 まちづくり資料”. p. 2. 2022年7月31日閲覧。
  2. ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, p. 2.
  3. ^ 西谷地域での農家レストランや物販店舗などの開設が可能になりました!”. 宝塚市公式ホームページ. 2022年9月30日閲覧。
  4. ^ a b 宝塚景観まちあるきガイドマップ2020”. 2022年11月1日閲覧。
  5. ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, p. 18.
  6. ^ a b c 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, p. 59.
  7. ^ 統計”. 宝塚市公式ホームページ. 2022年11月1日閲覧。
  8. ^ 西谷地域について”. 2023年11月20日閲覧。
  9. ^ a b c 20 宝塚市西谷地区まちづくり協議会 まちづくり資料”. pp. 3–4. 2022年7月31日閲覧。
  10. ^ a b c 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, p. 53.
  11. ^ 宝塚市立宝塚自然の家に関する庁内検討委員会”. 2022年11月2日閲覧。
  12. ^ 服部保 2017, p. 12.
  13. ^ E1A新名神高速道路(川西IC〜神戸JCT間)が平成30年3月18日(日曜)に開通します - 高槻JCT・IC〜神戸JCT間が全線開通します -”. 西日本高速道路株式会社 (2018年1月24日). 2018年1月24日閲覧。
  14. ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, pp. 40–41.
  15. ^ 小項目事典,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典. “通婚圏とは”. コトバンク. 2022年11月1日閲覧。
  16. ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, p. 11.
  17. ^ 投資事業評価調書(新規) - 兵庫県”. 2022年9月30日閲覧。
  18. ^ 地方公共団体 宝塚市 所在地 宝塚市東洋町1番1号 地域循環 ...”. p. 1. 2022年9月30日閲覧。
  19. ^ ソーラーシェアリングについて”. 宝塚市公式ホームページ. 2022年9月30日閲覧。
  20. ^ 【4月1日(木)より】宝塚市北部(西谷地域)、三田市域 運行内容の変更について” (PDF). 阪急バス (2021年3月1日). 2021年3月1日閲覧。
  21. ^ 兵庫県. “宝塚市大原野ケトロン保存会 代表:平井清文氏インタビュー”. 兵庫県. 2022年11月2日閲覧。
  22. ^ 宝塚市史 1980, p. 21.
  23. ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック 2019, p. 6.
  24. ^ a b 宝塚市立歴史民俗資料館 旧東家住宅”. 宝塚市公式ホームページ. 2022年11月2日閲覧。

参考文献 編集

  • 兵庫県阪神北県民局発行「北摂里山 西谷案内人ガイドブック」2019年  pp. 1-3pp. 4-17pp. 18-37pp. 38-53pp. 54-60国立国会図書館書誌ID:030762220
  • 宝塚市史編集専門委員 編『宝塚市史 第1巻』宝塚市、1975年、121-472頁。 
  • 宝塚市史編集専門委員 編『宝塚市史 第2巻』宝塚市、1976年、84-422頁。 
  • 宝塚市史編集専門委員 編『宝塚市史 第3巻』宝塚市、1977年、74-340頁。 
  • 宝塚市史編集専門委員 編『宝塚市史 第7巻』宝塚市、1980年、21頁。 
  • 服部保「宝塚市の天然記念物、特に丸山湿原群について」市史研究紀要たからづか第28号、宝塚市教育委員会 2017年 pp. 1-23。ISSN 0289-6656NCID AN10162822国立国会図書館書誌ID:000000040419