見立絵

歴史上の出来事や故事を同時代の人々が理解しやすい題材に託して描いた絵

見立絵(みたてえ)とは、歴史上の出来事や故事古典を、同時代の人々が理解しやすい題材に託して描いた絵のことである。特に、江戸時代には、浮世絵等で趣向を凝らしたものが多く見られ、さまざまな階層の人々に親しまれた。

喜多川歌麿四睡之圖

見立涅槃図 編集

江戸期に書かれた「変わり涅槃図」のうち、「見立涅槃図」に分類される作品がある。代表的なものには伊藤若冲晩年の作『果蔬涅槃図』があり、二股に分かれた大根を横たえた図を、釈迦入滅に見立てている。こうした作品は、「追悼等を笑いの対象とするような作品群の一つと考えられて」おり[注釈 1][1]、機知や揶揄に富んだ見立のひとつのあらわれである。他の例に、英一蝶作「業平涅槃図」[2]鈴木芙蓉作「芭蕉涅槃図」[3] 、「死絵」等の「役者涅槃図」、「鯨涅槃図」が挙げられる。

 
死絵。八代目市川團十郎。1854年。涅槃図の見立て

代表的な作品 編集

紀貫之を主人公とする謡曲「蟻通」を踏まえ、女性を神的な恋の化身として表現
 
「雨夜の宮詣」笠森お仙
  • 『果蔬涅槃図』 (野菜涅槃図) (伊藤若冲
八百屋に生まれた若冲が、野菜涅槃に見立てて表現

ギャラリー 編集

脚注 編集

注釈 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集

  1. ^ 文化遺産オンライン「紙本墨画果蔬涅槃図」
  2. ^ 『馬込と大田区の歴史を保存する会』ホームページ 英一蝶画 「見立業平涅槃図」
  3. ^ 観峰館 青木木米画「芭蕉涅槃図」