詰将棋解答選手権
詰将棋解答選手権(つめしょうぎかいとうせんしゅけん)は、詰将棋解答選手権実行委員会[注釈 1]が主催する、詰将棋の解答の正確さと速さを競う大会である。チェス・プロブレムの世界解答選手権大会を参考にして始められた。
2004年から毎年行われている。チャンピオン戦、一般戦、初級戦に分かれている。出題作品の公募も行われている。
チャンピオン戦編集
ルール編集
1ラウンドと2ラウンドに分かれ、両ラウンドとも39手詰以内の問題が5問ずつ出題される(2014年の第11回大会までは1ラウンドは19手詰以下が6題、2ラウンドは21手詰以上が4題出題された)。いずれも制限時間は90分であるが、解答を完了した際は途中退室できる。
得点は1問につき10点。ただし、部分点が設けられており、4手目まで正解であれば1点、8手目まで正解であれば2点と、4手ごと正解につき1点ずつ加算される。一方で、誤記した場合、0.5点(2018年までは1点)減点される。得点が同点の場合は解答時間の短い者=より早くに途中退室した者が上位となる。
会場では参加者1名につき1つの長机が用意される[1]。
同じく会場では将棋盤と将棋駒が用意されており[2]、盤上で駒を動かしながら解答することが認められている[2]。ただし、プロ棋士・奨励会員は盤駒を使わずに解答する[2]。盤駒を使って解答したいアマチュアは自分の盤駒(特に、駒音を発しない布盤)を持ち込むことができる[1]。
参加者にはプロ棋士・奨励会員・アマチュア強豪が名を連ねる[1]。プロ棋士であっても解答に苦しむ難問が出題される[3]。
上位入賞者編集
開催日 | 開催回 | 優勝 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|---|---|
2004年2月22日 | 第1回 | 宮田敦史四段 | 東野徹男アマ | 上野裕和四段 | |
2005年3月6日 | 第2回 | 宮田敦史五段 | 柳田明アマ | 神谷崇アマ | |
2006年3月21日 | 第3回 | 宮田敦史五段 | 篠田正人アマ | 上野裕和四段 | |
2007年5月5日 | 第4回 | 北浜健介七段 | 谷川浩司九段 | 広瀬章人五段 | |
2008年5月5日 | 第5回 | 宮田敦史五段 | 黒川智記4級 | 北浜健介七段 | |
2009年3月29日 | 第6回[4] | 宮田敦史五段(100 / 111) | 広瀬章人五段(90 /114) | 斎藤慎太郎三段(90 /132) | |
2010年3月22日 | 第7回[5] | 船江恒平三段(100 / 161)[注釈 2] | 井上徹也アマ(90 /129) | 広瀬章人五段(90 /147) | |
2011年3月27日 | 第8回 [注釈 3] |
東京[8] | 井上徹也アマ(100 / 137) | 中村太地五段 | 広瀬章人王位 |
大阪[9] | 斎藤慎太郎三段(100 / 125) | 船江恒平四段 | 長谷治彦アマ | ||
2012年3月25日 | 第9回[10] | 斎藤慎太郎三段(100 / ---)[注釈 4] | 黒川智記初段(100 / ---) | 竹中健一アマ(90 / ---) | |
2013年3月31日 | 第10回[11] | 宮田敦史六段(100 / 116) | 山田康平アマ(81 / 148) | 折田翔吾三段・井上徹也アマ(81 / 166) | |
2014年3月30日 | 第11回[12] | 若島正アマ(89 / 110)[注釈 5] | 竹中健一アマ(84 / 121)[注釈 6] | 宮田敦史六段(84 / 126) | |
2015年3月29日 | 第12回[13] | 藤井聡太二段(100 / 159)[注釈 7] | 山田康平アマ(91 / 174) | 宮田敦史六段(90 / 120) | |
2016年3月27日 | 第13回[14] | 藤井聡太三段(90 / 110)[注釈 2] | 黒川智記三段(90 / 140) | 若島正アマ(90 / 169) | |
2017年3月26日 | 第14回[15] | 藤井聡太四段(91 / 114) | 池永天志三段(90 / 152)[注釈 4] | 宮田敦史六段(90 / 159) | |
2018年3月25日 | 第15回[16] | 藤井聡太六段(100 / 145) | 宮田敦史六段(94 / 180) | 及川拓馬六段(82 / 180) | |
2019年3月31日 | 第16回[17] | 藤井聡太七段(98.5 / 145) | 斎藤慎太郎王座(96 / 175) | 宮田敦史七段(90 / 151) | |
2020年3月29日 | 第17回[18] | 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、開催中止 | |||
(日程公表前) | 第18回[19] | 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、開催中止 |
段級位・肩書は大会当時のもの。段級位はプロ・奨励会に限り、アマチュアは段級位に関係なくアマで統一。カッコ内の数字は(得点/消費時間)
初級戦・一般戦編集
第2回より一般戦が、第3回より初級戦が設けられた。これはよりいろんなレベルの人に解いてもらおうという若島の配慮があったが、初級戦でも全問正解するにはアマ有段者の棋力が必要と言われている。
手数・出題数・制限時間は回によって異なるが、2009年の第6回では初級戦が3~5手詰6問を45分、一般戦は7~17手詰6問を90分の制限時間で解いた。
開催地編集
第1回 - 第3回は東京のみの開催だったが、第4回からは大阪でも開催している。第6回では初級戦と一般戦のみ全国展開が行われた(チャンピオン戦は従来通り東京と大阪の2か所のみ)。
- 第1回(2004年2月22日) 東京都北区「北とぴあ」
- 第2回(2005年3月6日) 東京都北区「滝ノ川会館」
- 第3回(2006年3月21日) 東京都渋谷区「将棋会館」
- 第4回(2007年5月5日) 東京都渋谷区「将棋会館」・大阪市福島区「関西将棋会館」
- 第5回(2008年5月5日) 東京都渋谷区「将棋会館」・大阪市福島区「関西将棋会館」
- 第6回
- 第7回
- チャンピオン戦(2010年3月22日)
- 東京都北区「北とぴあ」・大阪府東大阪市「大阪商業大学」
- 初級戦・一般戦(2010年4月3日)
- 北海道札幌市
- 宮城県仙台市
- 東京都大田区
- 千葉県習志野市
- 長野県松本市
- 愛知県名古屋市
- 岐阜県岐阜市(初級戦のみ開催)
- 岐阜県高山市
- 三重県伊勢市
- 京都府京都市
- 大阪府茨木市
- 兵庫県加古川市(初級戦のみ開催)
- 和歌山県和歌山市
- 岡山県倉敷市
- 広島県広島市
- 愛媛県松山市
- 福岡県福岡市
- チャンピオン戦(2010年3月22日)
- 第15回チャンピオン戦(2018年3月25日)
- 東京都渋谷区「国立オリンピック記念青少年総合センター」
- 大阪市福島区「大阪市立福島区民センター」
- 名古屋地区[注釈 8]
- 第16回チャンピオン戦(2019年3月31日)[20]
参加人数編集
開催地が増え、「チャンピオン戦」「一般戦」「初級戦」に分けられて一般の将棋ファンが挑戦しやすくなったこともあり、参加者は年々増加している[注釈 10][21][22]。
- 第1回 チャンピオン戦[注釈 11]28人
- 第2回 チャンピオン戦13人 一般戦16人
- 第3回 チャンピオン戦22人 一般戦17人 初級戦8人
- 第4回 チャンピオン戦27人 一般戦9人 初級戦11人
- 第5回 チャンピオン戦31人 一般戦25人 初級戦28人
- 第6回 チャンピオン戦42人 一般戦153人 初級戦178人
- 第7回 チャンピオン戦60人 一般戦226人 初級戦303人
脚注編集
注釈編集
- ^ 委員長:若島正(2004年-2013年)、柳田明(2013年- )。
- ^ a b この優勝から約半年後の10月1日付けで四段昇段。
- ^ 第8回大会は、2011年3月27日、東日本大震災(2011年3月11日)の余震が残る状況で開催された[6]。競技中に地震が発生するなどの可能性が高く、その場合は東西で同条件とはみなせないため、成績は東西別で集計された[7]。
- ^ a b 大会時にはすでに4月1日付で四段昇段が決定していた。
- ^ 若島は前年まで委員長を務め、選手としては初参加。
- ^ アマチュアが1位と2位を占めるのはこの大会が初。
- ^ 初の小学生による優勝。
- ^ 詳細は非公開。事実上、藤井聡太の取材対応用に設置された会場である。藤井のほか、主催者側から打診のあった船江恒平と、その他認められた数名のみが当会場で選手権に挑んだ。
- ^ 詳細は非公開。事実上、藤井聡太の取材対応用に設置された会場である。藤井のほか、主催者側から打診のあった斎藤慎太郎と、その他認められた数名のみが当会場で選手権に挑んだ。
- ^ 複数クラスに参加する者もいる。
- ^ 第1回は1クラスのみの開催だったため「チャンピオン戦」という名称はなかった。
出典編集
- ^ a b c 「第16回詰将棋解答選手権参加レポート/ライター:水留啓(ねこまど)」、『駒doc.』(2019夏号)、株式会社ねこまど(北尾まどか) pp. 10-11
- ^ a b c 渡部壮大「第15回詰将棋選手権戦・チャンピオン戦 藤井聡太六段、満点優勝で4連覇」、『将棋世界』(2018年6月号)、日本将棋連盟 pp. 151-157
- ^ “藤井六段はモンスター級! 詰将棋選手権全問正解V4”. 日刊スポーツ (2018年3月26日). 2018年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月27日閲覧。
- ^ 結果発表!! 詰将棋解答選手権速報ブログ 2009年3月29日 2018年9月15日閲覧
- ^ 総合成績発表 詰将棋解答選手権速報ブログ 2010年3月22日 2018年9月15日閲覧
- ^ “本日、第8回詰将棋解答選手権チャンピオン戦開催!!”. 詰将棋解答選手権実行委員会 詰将棋解答選手権 速報ブログ (2011年3月27日). 2018年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月18日閲覧。
- ^ “【重要】大地震による開催内容変更のお知らせ”. 詰将棋解答選手権実行委員会 詰将棋解答選手権 速報ブログ (2011年3月21日). 2018年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月18日閲覧。
- ^ 【東京】表彰式 詰将棋解答選手権速報ブログ 2011年3月27日 2018年9月15日閲覧
- ^ 【大阪】挨拶・記念撮影 詰将棋解答選手権速報ブログ 2011年3月27日 2018年9月15日閲覧
- ^ 【東京】表彰式、インタビュー 詰将棋解答選手権速報ブログ 2012年3月25日 2018年9月15日閲覧
- ^ 入賞者決定 詰将棋解答選手権速報ブログ 2013年3月31日 2018年9月15日閲覧
- ^ 総合順位 詰将棋解答選手権速報ブログ 2014年3月30日 2018年9月15日閲覧
- ^ 総合成績一覧 詰将棋解答選手権速報ブログ 2015年3月29日 2018年9月15日閲覧
- ^ 総合成績 詰将棋解答選手権速報ブログ 2016年3月27日 2018年9月15日閲覧
- ^ 総合成績 詰将棋解答選手権速報ブログ 2017年3月26日 2018年9月15日閲覧
- ^ 総合成績一覧 詰将棋解答選手権速報ブログ 2018年3月25日 2018年9月15日閲覧
- ^ “総合成績一覧 - 詰将棋解答選手権 速報ブログ” (日本語). 総合成績一覧 - 詰将棋解答選手権 速報ブログ. 2019年3月31日閲覧。
- ^ “【開催中止】第17回詰将棋解答選手権チャンピオン戦について” (日本語). 詰将棋解答選手権 速報ブログ (2020年3月1日). 2020年3月14日閲覧。
- ^ “【開催中止】第18回詰将棋解答選手権チャンピオン戦について” (日本語). 詰将棋解答選手権 速報ブログ (2021年1月9日). 2021年1月9日閲覧。
- ^ “第16回詰将棋解答選手権 チャンピオン戦 開催について - 詰将棋解答選手権 速報ブログ” (日本語). 第16回詰将棋解答選手権 チャンピオン戦 開催について - 詰将棋解答選手権 速報ブログ. 2019年3月1日閲覧。
- ^ 第6回詰将棋解答選手権 参加人数のご報告
- ^ 第7回詰将棋解答選手権 参加人数のご報告
外部リンク編集
- 詰将棋解答選手権速報ブログ
- 詰将棋解答選手権 (@shogi_problem) - Twitter