藤堂龍之介探偵日記』(とうどうりゅうのすけたんていにっき)は、1988年からリバーヒルソフトよりPCゲームソフトとして発売されたアドベンチャーゲームシリーズである。リバーヒルソフトの経営破綻以降、営業・開発を引き継いだアルティによって、2003年からは携帯電話アプリゲームとして、2008年以降はニンテンドーDS用ソフト、2010年以降はiOS用アプリ、2012年androidauスマートパス用としても展開されている。

本作は、大正時代を舞台に、架空の私立探偵・藤堂龍之介を主人公として展開する推理ゲームである。

本作はコマンド総当たり式のアドベンチャーゲームであると同時にマップ移動の概念があり、プレーヤーは邸宅や客船などの閉鎖された舞台の中を藤堂龍之介の視点で移動し、関係者と対話したり証拠品を捜索したりしながら、犯人や事件の真相を解き明かしていく。舞台設定やキャラクターの会話に、大正時代の風俗や世相が強く意識されていることが大きな特徴である。

人物 編集

藤堂 龍之介(とうどう りゅうのすけ)
本編の主人公。容姿端麗で16歳の時に英国に留学した経験を持つ。自らの知識と好奇心を武器に探偵をしている。
本編にはその姿が直接描かれたことは無く、後ろ姿ぐらいである。
影谷 芳明(かげたに よしあき)
影谷貿易社長「影谷 恍太郎(かげたにこうたろう)」の甥。龍之介とは旧知の仲である。礼儀正しく几帳面な性格だが、実は美人に弱いという意外な一面も。
「琥珀色の遺言」、「瑠璃色の睡蓮」に登場。瑠璃色の睡蓮では藤堂の助手としての役割を担った。

作品リスト 編集

琥珀色の遺言~西洋骨牌連続殺人事件~ 編集

琥珀色の遺言~西洋骨牌連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種
開発元 リバーヒルソフト (PC88, PC98, X68, FM77AV, MSX2[2], Win95)
メサイヤ(PCエンジン)
アルティ (MOBILE, DS, iOS, Android)
発売元 リバーヒルソフト (PC88, PC98, X68, FM77AV, MSX2, Win95)
サイバーフロント(Win95 best)
メサイヤ(PCエンジン)
アルティ (MOBILE, DS, iOS, Android)
D4エンタープライズ(EGG)
ジー・モード(Switch)[1]
人数 1人
メディア フロッピーディスク(PC88, PC98, X68, FM77AV, MSX2)
Huカード(PCエンジン)
CD-ROM(Win95)
DSカード(ニンテンドーDS)
発売日 1988年6月 (PC98)
1988年8月 (X68)
1988年 (PC88)
1988年 (X1turbo)
1988年11月 (FM77AV)
1988年12月9日 (MSX2)
1990年3月2日 (PCエンジン)
1996年 (Win95)
2001年11月24日(EGG・PC-8801版)
2002年9月11日 (EGG・PC-9801版)
2003年1月10日 (EGG・FM77AV版)
2003年11月29日 (EGG・MSX2版)
2003年12月17日 (MOBILE)
2008年12月18日 (DS)[3]
2010年12月11日 (iOS)
2014年12月9日 (EGG・X68版)
2023年5月18日(Switch)[1]
対象年齢 CEROC(15才以上対象)
コンテンツ
アイコン
麻薬
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『琥珀色の遺言~西洋骨牌連続殺人事件~』(こはくいろのゆいごん~せいようかるたれんぞくさつじんじけん~)は「1920シリーズ」として発売されたシリーズ第1弾である。

概要 編集

薬の貿易で一代の財を作り上げた薬成金、影谷恍太郎が自邸の中庭で謎の死を遂げ、その傍らには当時なじみがなかったタロットカードが置かれていた。公にはトリカブトの毒を煽り自殺として葬られた。龍之介は真相究明を望む執事の頼みで、小説家として潜り込む。

開発 編集

PC-9801版の時点では8bitカラーによるイラストが用いられていた。その後、windows版でグラフィックが強化されモバイル版およびDS版でも同様の措置が取られた[4]。アルティの一員としてDS版の製作に携わった稲垣隆史は、4Gamer.netとのインタビューの中で、DSへの移植に当たり、20年前の資料を当たったと話しており、資料がすべて紙で管理されているために量が膨大だったうえ、重要なところには付箋が張られている分、はがれてしまいどこに貼ってあったものか探すのに時間がかかったという[4]

稲垣はニンテンドーDS版における利点の一つとして、タッチペンによる操作体系を採用したことによって館の中を移動している雰囲気を出せるようになったことや、タッチペンによるメモ帳機能を挙げているが、この2点に決まるまでは大変だったとも話している[4]

移植版 編集

PCエンジン版
「謎のマスカレード」のタイトルで発売。
主人公の名前が円陣龍之介へと変更されたり、屋敷の使用人たちが主人公を助ける5人の探偵として登場する等、PCエンジン版独自のアレンジが施されている。全5章構成。
Windows版
オリジナルからの移植にあたり、グラフィックとBGMの強化が成される。またこのWindows版のみ全機種中唯一のフルボイス仕様となっている。
モバイル版
2023年5月18日には、「G-MODEアーカイブス+」の一環としてモバイル版「琥珀色の遺言」本編、および後日談である「虚妄の報い~琥珀色の遺言 追補篇~」を収録したNintendo Switch版が配信された[1]
DS版
DS版第1弾。モバイル版の移植である。グラフィックとBGMの強化が成された他、テキストも加筆されたり改定が加えられている。
iOS版
iOS版第1弾。

反響 編集

DS版を発売したfonfunによると、オリジナル版は当時発売されていたアドベンチャーとしては,大人や女性ファンから大きな反響を寄せられたという[4]

評価
4Gamer.netのマフィア梶田は、目新しさはなかったものの、物足りないわけでもなかったと評している[3]

黄金の羅針盤~翔洋丸桑港航路殺人事件~ 編集

黄金の羅針盤~翔洋丸桑港航路殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 PC9801
X68000
FM TOWNS
Windows 95
iアプリ
S!アプリ
EZアプリ
プロジェクトEGG(EGG)
開発元 リバーヒルソフト (PC98, X68, FMT, Win95)
アルティ (MOBILE)[5]
発売元 リバーヒルソフト (PC98, X68, FMT, Win95)
サイバーフロント(Win95 best)
アルティ (MOBILE)
D4エンタープライズ(EGG)
人数 1人
メディア フロッピーディスク(PC98, X68)
CD-ROM(FMT, Win95)
ダウンロード (MOBILE)[5]
発売日 1990年 (PC98, X68, FMT)
1996年 (Win95)
2002年2月25日(EGG・PC-9801版)
2005年3月16日 (MOBILE)
2015年6月16日 (EGG・X68版)
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『黄金の羅針盤~翔洋丸桑港航路殺人事件~』(おうごんのらしんばん~しょうようまるさんふらんしすここうろさつじんじけん~)は「1920シリーズ」として発売されたシリーズ第2弾である。

あらすじ(黄金の羅針盤) 編集

1923年、サンフランシスコから横浜に向け、豪華客船・翔洋丸が出航し、半年の外遊から帰国するために私立探偵の藤堂龍之介も乗る。 穏やかな航海が続くのかと思いきや、甲板の樽から白骨死体が見つかる。

Windows版 編集

オリジナルからの移植にあたり、グラフィックとBGMの強化が成される。

モバイル版 編集

2023年8月18日には、モバイル版をもとにしたNintendo Switch版が「G-MODEアーカイブス+ 」の一環として配信された[6]

瑠璃色の睡蓮~伍彩龍伝説連続殺人事件~ 編集

瑠璃色の睡蓮~伍彩龍伝説連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
EZアプリ
iOS
開発元 アルティ (MOBILE, iOS)
発売元 アルティ (MOBILE, iOS)
人数 1人
発売日 2005年6月6日 (MOBILE)
2011年8月19日 (iOS)[7]
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シリーズ第3弾。

あらすじ(瑠璃色の睡蓮) 編集

大正15年、龍之介は友人・影谷芳明を連れ、ある富豪宛ての不可解な手紙の調査のため、日本海沿岸に浮かぶ「龍ヶ島」という小島を訪れる。手紙の内容は島に伝わる「伍彩龍(ごさいりゅう)伝説」と酷似していたことに気づいた矢先、伝説を見立てた連続殺人事件が起きる。

移植版(瑠璃色の睡蓮) 編集

iOS版

iOS版第3弾。

Nintendo Switch版
2023年10月5日には「G-MODEアーカイブス+ 」の一環として、携帯電話版からの移植版が配信された[8]

亜鉛の匣舟~相馬邸連続殺人事件~ 編集

亜鉛の匣舟~相馬邸連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
EZアプリ
ニンテンドーDS
iOS
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
メディア DSカード
発売日 2005年11月14日 (MOBILE)
2009年3月26日 (DS)[9]
2011年5月26日 (iOS)
対象年齢 CEROB(12才以上対象)
コンテンツ
アイコン
セクシャル 暴力 犯罪 麻薬 言葉・その他
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シリーズ第4弾。

あらすじ
病院を併設したある屋敷にて、普段は使用しない地下室から血まみれの軍医の遺体が見つかる。警察は自殺とみなしたものの、謎が多いため、龍之介が呼ばれる。

移植版(亜鉛の匣舟) 編集

DS版
DS版第2弾。携帯電話版の移植である。グラフィックとBGMの強化が成された他、テキストも加筆されたり改定が加えられている[9]。また、追加要素として後日談2作品が収録されている[9]
iOS版
iOS版第2弾。
Nintendo Switch版
2023年12月26日に、「G-MODEアーカイブス+ 」の一環として、携帯電話版からの移植版が配信されることが発表された[10]

泪色の雫~亀蔵酒造殺人事件~ 編集

泪色の雫~亀蔵酒造殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
EZアプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2006年4月17日
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シリーズ第5弾。

あらすじ
ある蔵元で殺人事件が起こる。逮捕された杜氏から無実を証明してほしいと頼まれた龍之介は現地へ向かう。

柘榴の天鏡~吉祥仲秋祭連続殺人事件~ 編集

柘榴の天鏡~吉祥仲秋祭連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
EZアプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2006年11月20日
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シリーズ第6弾。

あらすじ
龍之介は、『ホテルグレナード』のオーナー・天宮忠彦から息子を助けてほしいという依頼の手紙を受ける。

鈍色の天秤~鬼塚邸連続殺人事件~ 編集

鈍色の天秤~鬼塚邸連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
EZアプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2007年11月12日
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シリーズ第7弾。

菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~ 編集

菫青の鳥籠~人形屋敷連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2008年11月4日[11]
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シリーズ第8弾。

あらすじ
とある青年が美少女の人形に恋するあまり、消息を絶ってしまう。龍之介は青年を探すため、人形屋敷と呼ばれる館を訪れる。

薔薇色の旋律~巴里人狼連続殺人事件~ 編集

薔薇色の旋律~巴里人狼連続殺人事件~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ[12]
人数 1人
発売日 2009年3月18日(前編)[12]
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シリーズ9弾で、パリに留学中の龍之介が探偵を志すまでが描かれている[12]

あらすじ
前編
1917年、 藤堂龍之介はパリに留学していた。そのころ現地では人狼という殺人鬼が暗躍していた。

番外編 編集

虚妄の報い~琥珀色の遺言 追補篇~ 編集

虚妄の報い~琥珀色の遺言 追補篇~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2008年1月16日
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「琥珀色の遺言」のサイドストーリー。この作品は、アルティのスタッフが、『琥珀色の遺言』本編において館に残された人々のその後が気になり、後日談として作られた作品である[4]

あらすじ
事件解決後、琥珀館の一角を自室として与えられた藤堂はもやもやした気持ちを晴らすため、事後捜査を開始する。その中で、影谷里絵が発した「本当のところ、おばあさまは目が悪くない」という発言を思い出す。

虚談の迷宮~鈍色の天秤 事端篇~ 編集

虚談の迷宮~鈍色の天秤 事端篇~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2008年7月1日
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「鈍色の天秤」のサイドストーリー。

逃避の終章~柘榴の天鏡 事端篇~ 編集

逃避の終章~柘榴の天鏡 事端篇~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2008年10月15日
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「柘榴の天鏡」のサイドストーリーである。

あらすじ
十月初頭のホテル・グレナードでは、編集者・五十嵐修(いがらしおさむ)がいつものように担当作家を探し回っていた。その中で、五十嵐はホテルの取材を依頼され、おかしな話を耳にする。

藤堂龍之介の有閑な日常 ~亜鉛の匣舟 事端篇~ 編集

藤堂龍之介の有閑な日常 ~亜鉛の匣舟 事端篇~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2009年11月18日
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「亜鉛の匣舟」のサイドストーリー。

佐伯真孝の優雅な逃亡生活 ~亜鉛の匣舟 事端篇~ 編集

佐伯真孝の優雅な逃亡生活 ~亜鉛の匣舟 事端篇~
ジャンル アドベンチャー
対応機種 iアプリ
S!アプリ
開発元 アルティ
発売元 アルティ
人数 1人
発売日 2009年11月18日
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「亜鉛の匣舟」のサイドストーリー。相馬邸の事件の後の佐伯真孝の逃亡生活を描く。

脚注 編集

  1. ^ a b c d Switch用ソフト「G-MODEアーカイブス+ 藤堂龍之介探偵日記 Vol.1 琥珀色の遺言~西洋骨牌連続殺人事件~」本日配信”. 4Gamer.net. Aetas (2023年5月18日). 2023年12月31日閲覧。
  2. ^ 前田 2020, p. 160, 1988.
  3. ^ a b マフィア梶田 (2008年12月18日). “豪壮な洋館を舞台に展開される,藤堂龍之介の探偵物語。NDS「藤堂龍之介探偵日記 琥珀色の遺言 西洋骨牌連続殺人事件」は本日発売”. 4Gamer.net. Aetas. 2023年12月30日閲覧。
  4. ^ a b c d e 本日発売の「藤堂龍之介探偵日記 琥珀色の遺言」,開発秘話を公開”. 4Gamer.net. Aetas (2008年12月18日). 2023年12月30日閲覧。
  5. ^ a b 客船を舞台にしたEZweb向けミステリー「黄金の羅針盤」”. k-tai.watch.impress.co.jp (2006年3月29日). 2023年12月30日閲覧。
  6. ^ 大正時代の豪華客船ミステリー『藤堂龍之介探偵日記 黄金の羅針盤』がSwitchにて配信。1990年に発売された推理アドベンチャーが蘇る | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com”. ファミ通.com (2023年8月18日). 2023年12月30日閲覧。
  7. ^ iPhone向けADV「藤堂龍之介探偵日記」シリーズに「瑠璃色の睡蓮」が登場”. 4Gamer.net. Aetas (2011年8月19日). 2023年12月30日閲覧。
  8. ^ G-MODEアーカイブス+ 藤堂龍之介探偵日記 Vol.3「瑠璃色の睡蓮~伍彩龍伝説連続殺人事件~」が発売!20%オフセールも開催 | Gamer”. www.gamer.ne.jp (2023年10月5日). 2023年12月30日閲覧。
  9. ^ a b c fonfun、DS「亜鉛の匣舟 相馬邸連続殺人事件」。「藤堂龍之介探偵日記シリーズ」第2弾が登場”. game.watch.impress.co.jp (2009年1月19日). 2023年12月30日閲覧。
  10. ^ 私立探偵が密室トリックに挑む。推理ADV「藤堂龍之介探偵日記 Vol.4『亜鉛の匣舟~相馬邸連続殺人事件~』」,Switchで配信決定”. 4Gamer.net. Aetas (2023年12月26日). 2023年12月30日閲覧。
  11. ^ 推理アドベンチャー「藤堂龍之介探偵日記」シリーズ最新作を配信”. ITmedia Mobile (2008年11月5日). 2023年12月30日閲覧。
  12. ^ a b c "携帯電話用推理アドベンチャーゲーム『薔薇色の旋律~人狼連続殺人事件~』配信開始" (Press release). アルティ. 18 March 2009. 2023年12月30日閲覧

参考文献 編集

  • 前田尋之『MSXパーフェクトカタログ』ジーウォーク、2020年5月28日。ISBN 978-4-86717-028-1 


関連項目 編集

外部リンク 編集