谷桃子バレエ団

日本のバレエ団

一般財団法人谷桃子バレエ団(たにももこバレエだん) は、東京都世田谷区に本部事務所を置き[1]、系列レッスンスタジオがあるバレエ団。

概要

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1949年、戦後初のスター・バレリーナとなった、谷桃子により設立[2]

谷の没後は高部尚子(たかべひさこ)が芸術監督に就任[3]。2016年に子どもたちを育成する谷桃子バレエ団Academyを併設している[4]新国立劇場バレエ団Kバレエカンパニー外の人員の受け手になっているが、地道な稽古を重ねて古典と創作の両面で質の高いバレエ作品を上演してきている[5]

沿革

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2019年数年前から赤字が続き、危機的な状態の中で、バレエに興味を持ち協力してくれる経営陣を外部から迎える[6]

2021年からバレエ団改革を進め、チケットノルマの廃止、新人向けのセカンドカンパニーの設立、そして団員の居住、バイト、考え、何に苦しんでいるかなど詳細な個人面談を行い、バレエ団の運営・努力に反映させた[5]

2023年6月からYouTubeチャンネルの改善を始め、これまで配信されてきたPR動画とは違う高部監督や新人含めた各層の団員に密着したドキュメント動画の配信が話題となる。同月19日、高部監督がインタビューに応じる形でこの取り組みに至った事情を以下のように語った。次代のため、バレエダンサーとしての収入では生活出来ない状況の改善を望んでのことであるという[3]

  • 海外と比較すると日本のバレエ界は観客数が広がらず、組織として自立できるほど数多くの公演が出来ない現状である。
    • 1公演でオーケストラや美術セットなどの費用が3~4千万円かかる。そのため、Kバレエカンパニー以外の[注釈 1]バレエ団は、文化庁助成金を谷桃子バレエ団含めて2千万円届かない程度で申請して補助を受けている。残額はチケット代では賄えず、スポンサーや寄付金頼みとなり、絶えず資金難となっている[8]
    • 谷桃子バレエ団も給料制ではなく、中小バレエ団に一般化している公演での歩合制で、公演の無い時期は無収入となる。ダンサーとしてのクラスが上がると若干上がる程度。トウシューズ未支給。所属ダンサーからは、団費を徴収している。2020年まではチケットノルマ[注釈 2]があった。
    • 男性ダンサーは国内では人数が少ないため、発表会ゲストなどバレエでアルバイト収入を得ることが出来る[10]。しかし女性ダンサーはそうはいかず、下位団員の多くが生活のためアルバイトをしたり親族からの援助に頼っている。代表の高部自身もバレエ団とは別に自宅1階で個人バレエスタジオを経営している[11]

2023年11月、今までの殻を破り、東京タワーステージ「RED°TOKYO TOWER SKY STADIUM」で、舞台の床壁面RED画像を駆使したクラシック・ジャズコンテンポラリー・ダンスのダイジェスト・新作バレエ・ダンス公演『レッド トーキョータワー』15作品8プログラムを外部振付家3人も招いてタワー下3-5階テーマパークと提携して15公演した[12]

2024年1月「白鳥の湖」で、分かりやすさを目指して、谷バレエ団初のイヤホンガイド(有料)が導入され、バレエに慣れない人向けに、あらすじと登場人物の説明が公演中高部尚子による生放送で流された[13]

脚注

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注釈

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  1. ^ KバレエカンパニーはTBSと、2022年7月7日資本業務提携を締結し、文化庁助成金を受けないで運営している[7]
  2. ^ 公演の度に谷桃子バレエ団を例にするとチケット20枚程度が渡され、売れないと自費買取になって、バレエ団員の大きな負担になっていた。みんなで努力し絶えず営業して売っていたが、いつも頭にありバレエに集中できなかった。2023年新人中の入団理由にはチケットノルマが無いことも上げている[9]

出典

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参考文献

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  • 『谷桃子バレエ団の40年』、谷桃子バレエ団40年史編集委員会・谷桃子バレエ団、レオ企画、1995年5月発行 ISBN 4897560551

外部リンク

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