貨物(かもつ)とは、運送の客体となる物品の総称。

定義編集

貨物とは「輸送機関によって運ばれる物品」をいう[1]

鉄道輸送においては手荷物・小荷物といった小規模なものは「荷物」として、貨物と区分される[2]。貨物を運ぶのは貨車だが、荷物は客車の一種の荷物車で運ばれ、また旅客と同様の駅で扱われるなどの違いがある。ただし日本ではごく一部を除いて鉄道荷物輸送は既に廃止されている。

また、2007年の郵政民営化以降の日本郵便のサービスの一つとしての荷物(かつての小包)は、上記の鉄道荷物とはまた別の概念であり、宅配便として貨物の一種である。

なお、英語では日本語の貨物に当たるものにフレイト(freight)、カーゴ(cargo)、グッズ(goods)がある[1]

貨物の分類編集

物品の性状による分類編集

貨物は物品の性状により、一般貨物と特殊貨物に分けられる[1]。特殊貨物は荷扱いや積付けに一般貨物と異なる取り扱いが必要な貨物で、液体、粉粒体、動物、植物、貴重品、危険品などをいう[3]。一般貨物、特殊貨物、雑貨に分けることもある[4]

包装形態による分類編集

貨物は包装形態によりバルク貨物(ばら積み貨物)、容器入り貨物、コンテナ貨物、パレット積み貨物などに分けられる[4]

各地域の内陸輸送編集

日本編集

貨物輸送の手段編集

日本における国内の貨物輸送の輸送手段を比較すると、国土交通省が発行している交通センサスによれば、2000年度においては代表輸送機関(あるものをA地点からB地点まで運ぶ際に最も長く使った輸送機関のこと)に着目した場合、トラックのシェアが81%と最も多く、日本の輸送の中心はトラック輸送であると言える。

1960年代ごろまで長らく陸上輸送の中心となっていた鉄道は、拠点間の長距離大量輸送には向くが、短距離では時間や費用でメリットがないことや、小回りが利かないなどの理由により、長期的には大きくシェアを落とし、トンキロベースでは4%程度である[5]

一部では鉄道貨物が復活の兆しを見せているものの、地方では貨物を取り扱う駅自体もきわめて少なくなり、石油などの大量輸送や、コンテナなどの長距離輸送に絞りこんでいる。 残りが貨物船などによる海運と、貨物機などによる空運である。このうち、空運が徐々にシェアを拡大しつつある。

鉄道貨物の特別取扱編集

日本ではかつて鉄道貨物の特別取扱が行われていた。

  • 瓲扱い(ぐらむとんあつかい) - 貨物は発駅で受託されて、鉄道の負担で積み卸しおよび運搬を行われ、着駅で荷受け人に引き渡されるのみであった。運賃は瓲単位であることからの名称である。運賃は小口扱いよりは安いため、小口扱いには大きくて、貸切扱いには小さい貨物(2トン~5トン、ほど)の託送に適していた。ただし一部の貨物は瓲扱いは適用されなかった。
  • 小口扱い(こぐちあつかい) - 運賃は 10kg 単位で、少量の貨物に適していた。発駅で受託されて貨物列車で運送され、着駅で引き渡されるのが原則であるが、6km以内の地域に限って荷主の請求によって一定の料金で集貨および配達が行われ、駅留で受託されたものであっても荷受け人の請求で有料で配達される。ただしこの扱いは小口扱いに対して貨物等級の定めがない貨物、危険品、火薬類の一部の物には適用されない。運賃に集配料金が含まれていないから特別小口扱いよりも安いが、積み卸し作業の料金は含まれ、また少量単位であるから貸切扱いよりは高くなる。
  • 宅扱い(たくあつかい) - かつては特別小口扱いと称した。小口扱い、瓲扱い、貸切扱いに対して、贈答品などの少量の貨物に適した扱いで、荷送り人の宅から発駅までの集貨および着駅から荷受け人の宅までの配達が、別料金を取られずに、かつ迅速に行われた。ただし集貨および配達のいずれも、駅から約 6km 以内の地域内であった。またこの扱いの貨物は輸送列車が定められて特に急送されるので、急ぎの品物、腐敗しやすい物などに便利であった。
  • 特別小口扱い(とくべつこぐちあつかい) - 少量貨物の無料集配付速達の扱いである。発駅から6km以内(鉄道所定の集配区域内)であれば一定の大きさの制限以内の物に限って無料で集貨される。電話、はがき、伝言などで貨物の品名、概算数量、行先などを述べ、発駅および鉄道指定の運送店に申し込む。運送は毎日、一定の列車で行われ、駅渡希望のものまたは貨物引換証などを要するものの他は、着駅から6km以内の届け先まで無料で配達される。少量の急を要する貨物に適し、運送状を作成する必要がないから便利であった。ただし、小口扱いの等級のない貨物、危険品、汚穢品または1個の長さ4.5m、重量200kg、容積1立方メートルを超えるもの、運賃が無賃となるもの、2割を越えて運賃を低減するものなどに対してはこの扱いは行われない。運賃は等級によらず、距離と重量とのみによって1口ごとに計算されるが、特別の貨物は最小5割、最大20割の割り増しが付加される。すなわち運賃は、鉄道、航空、自動車それぞれ別に計算し、発着区間を合算するのが本則であるが、宅扱いのみは鉄道省営の航路、自動車線の粁程はもちろん、内地の連帯鉄道線にまたがる場合でも通算される。その賃率には普通賃率と特別賃率とがあって、生活必需品には特別賃率が適用され、「嵩高」な軽量品には5割増し、10割増し、20割増しがあった。運賃の支払いは着払いにすることができた。運賃には集配料金が含まれ、貨物の取扱いのなかで最も高くなる。特別小口扱いは昭和10年10月1日、一般的貨物運賃の改正にあたって制度ならびに内容が変更され、運賃が引き下げられるとともに「宅扱い」と改称された。
  • 貸切扱い

欧州編集

ヨーロッパでは鉄道が整備されるまで主要な輸送手段は河川舟運であった[6]。しかし、19世紀後半以降の鉄道整備や20世紀前半以降の道路整備により、河川舟運は衰退し、2010年には鉄道のシェア(約10%)に対して河川輸送のシェアは約3%(トンキロベース)となっている[6]。一方、モーダルシフトへの期待から各国は河川舟運を支援しており、ロッテルダム港、ハンブルグ港、アントワープ港などのコンテナ取扱量は増加している[6]

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 斉藤実『物流用語の意味がわかる辞典』日本実業出版社、2000年、43頁。
  2. ^ 『鉄道ピクトリアル』2009年5月号 9頁。
  3. ^ 【用語集】た行”. 日本冷蔵倉庫協会. 2020年7月10日閲覧。
  4. ^ a b 宮澤永光監修『基本流通用語辞典』白桃書房、1999年、51頁。
  5. ^ 貨物輸送の輸送機関別分担率の推移(2010-07-31閲覧)。
  6. ^ a b c 小澤茂樹. “ヨーロッパにおける河川輸送の現状と今後の展望”. 交通経済研究所. 2020年7月10日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集