降車ボタン
降車ボタン(こうしゃボタン)は、ワンマン運転を実施している路線バス・路面電車内で乗客が途中下車を運転士に知らせるボタンである。事業者局によっては「札ボタン」や「ブザー」と呼ぶ場合もある。

(グローバル対応モデル)
概要 編集
日本国内では戦後の1950年代にワンマン運転を行う路線バス・路面電車の運行開始により、降車ボタンが設置され始めた[1][2]。登場当初は押しても光らないボタンだったが、1963年(昭和38年)に当時の王子ダイカスト工業(現・オージ)が日本国内初のランプ付きメモリーブザー(降車合図装置)を開発。1970年代に入り、ゴールドキングなどバス機器メーカー各社が相次いで降車ボタンの製造を行い、様々な形状のボタンが誕生した。しかし、平成以降は徐々に国内メーカーは製造から撤退していき、2023年現在も日本国内で自社開発・製造を行っているのはオージとレシップの2社のみである[3]。
1990年代までは各メーカー毎に様々な形状のボタンが存在し、特に明確な規定などは存在しなかった。しかし、2004年にバス関連団体が定めたバス車体規格集において、バリアフリータイプの降車ボタンが定義されたことで、以降は各メーカーともにこの規格に準じたボタンが開発されるようになる[3]。
ランプが光る降車ボタンは元祖である日本をはじめ、日本から輸出されてその後定着した韓国や台湾などの一部で光る降車ボタンを採用しているものの、海外ではこれまで光らないボタンが主流となっていた[3]。しかし、近年はヨーロッパなど海外でも視覚障害者への配慮として光る降車ボタンが増えつつある。なお、日本国内でも配線工事を必要としない無線式降車ボタンは光らないボタンを採用している[4][5]。ランプの光源はかつては電球式が主流だったものの、2000年代以降はLED式が主流である。
これまで、光るランプの表示部分は「とまります」という表記が一般的だったが、外国人利用者に配慮してボタンおよびランプ表示部に「STOP」が併記されたグローバル対応モデルが2018年にオージから登場した[4]。一方、レシップは2019年に登場したKSP-520シリーズから、押しボタン部分をSTOP表記に変更し、ランプ部分はバスのピクトグラムを採用した[6]。
設置場所 編集
日本国内ではかつて、明確な規定が無かった為、事業者毎に降車ボタンの設置場所は様々であったが、2000年代に国土交通省が定めた公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドラインでは、わかりやすく押し間違えにくい位置に設置することが明記され、併せて縦手すりに配置する降車ボタンは床面より1,400 mmの高さに、座席付近の壁面に配置する降車ボタンは床面より1,200 mmの高さに設置するという明確な規定が盛り込まれた[7]。これにより、2000年代以降に製造された車両については、このガイドラインに準じて降車ボタンが設置されている。なお、車両1台あたりに設置される降車ボタンの数は、大型バスの場合で平均30個前後とされる[8]。
主なメーカー 編集
現在販売中のメーカー 編集
- オージ - 日本国内シェアの7割以上を占める[9]
- レシップ(旧・三陽電機製作所)
- ゴールドキング - 現在はレシップからのOEMで販売[10]
- レゾナント・システムズ(旧・ネプチューン) - 現在はレシップからのOEMで販売[11]
過去に販売していたメーカー 編集
上記以外にも、熊本市電のようにパナソニック製の丸型押釦(呼び出しボタン)やEAO製のドアスイッチを降車ボタンとして設置しているケースもある。
ギャラリー 編集
脚注 編集
- ^ “止まらないけど何度でも押して…125種類のバス降車ボタン、福岡で展示産経ニュース”. 産経新聞社. 2023年1月8日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 【童心に返る!】禁断の押し放題!「つぎとまります」バス降車ボタン展示会【国内外122点】アキバな本屋
- ^ a b c 昔はなかったバスの「とまります」ボタン、その進化は日本独自? そもそもなぜ誕生乗りものニュース
- ^ a b メモリーチャイム株式会社オージ
- ^ 無線押しボタンシステムを発売開始レシップ株式会社
- ^ 降車信号装置(押しボタン)レシップ株式会社
- ^ 公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
- ^ メモリーチャイム(降車合図システム)について株式会社オージ
- ^ 株式会社オージ – バス機器メーカーの3代目社長が挑む社内改革!Biglife21
- ^ 乗客降車合図装置システムゴールドキング
- ^ その他バス機器レゾナント・システムズ
関連項目 編集
外部リンク 編集
- メモリーチャイム - オージ
- 降車信号装置(押しボタン) - レシップ