高松琴平電気鉄道1020形電車

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高松琴平電気鉄道1020形電車(たかまつことひらでんきてつどう1020かたでんしゃ)は、高松琴平電気鉄道に在籍した電車である。

1020形 1031×1032 2002年8月 仏生山付近
1020形 1032×1031 2004年10月 仏生山 - 一宮間
1020形 1028×1027×1020形×2 瓦町付近
1020形 1030車内 2004年10月 高松築港

もと名古屋鉄道3700系(2代目)で、1957年昭和32年)から1958年(昭和33年)にかけて日本車輌(本店)で製造され、1969年(昭和44年)から1972年(昭和47年)に入線した。奇数番号車が制御電動客車、偶数番号車が制御客車で、最大時1021 - 1036の2両編成8本16両が琴平線に在籍していたが、2004年までに廃車になった。

概要

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17m級の全金属車体で、窓配置はC3'-d2D6D2、雨樋は張上げ屋根となっている。うち、1022・1024は電動車を電装解除したもの、また1032は琴電唯一の高運転台車(名鉄時代の事故復旧の際に改造)であった。

車内は一部転換クロスシートの車両も存在したが、最終的にはロングシートに統一された。

駆動方式は釣り掛け式(2編成が後に平行カルダン式に変更)、制御方式はHL、制動方式は電磁SMEである。

車両諸元
  • 最大寸法(長×幅×高) 17830×2840×4183(偶数車は3790)mm
  • 自重 31t(偶数車は20t)。いずれも1982年(昭和57年)の値。
  • 定員 130(座席60)人

車両来歴

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琴電入線前

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名古屋鉄道3700系は、1957年から1959年(昭和34年)にかけて、木造車などの機器を流用して日本車輌(本店)で新造した車両である。しかし、主電動機出力が低いことから使い勝手が悪かった。そのため、新造から12年の1969年から高松琴平電鉄に譲渡が開始された。しかし、1973年(昭和48年)にオイルショックが発生、これに伴い名古屋鉄道の輸送量が激増したため、8編成を以て譲渡は中止された。

琴電入線後

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入線に当り、台車を1435mmに改軌、ブレーキをAMM (ACM) から電磁SME(非常管併設電磁弁付三管式直通空気制動)に変更した他は、ほぼそのままで使用された。特に1021 - 1022は、名鉄時代の塗装(ストロークリームに赤帯)で1年半使用されている。

また1030番台の車両 (1031 - 1036) は、転換クロスシート付きで車番も分けられたが、1975年(昭和50年)にロングシート化された。

中型車がほとんどであった当時、大型、全金属製のこの車両は近代的な存在であった。

なお、1998年平成10年)までの琴電標準色だったクリーム色とピンクの車体色は、1969年に入線した1023 - 1024から採用されたものである。

1978年(昭和53年)から1981年(昭和56年)にかけて、中間連結器を密着自動連結器(密自連)に統一(後に運転席側も密自連に交換)したり、電動車の台車・主電動機を京浜急行電鉄230形の廃車発生品や購入した30形(3代)から交換したもの(後に制御車も)にするなど、出力強化ならびに部品の統一を図った。

さらに、1029 - 1030が1985年(昭和60年)、1031 - 1032が1986年(昭和61年)に、HL制御のまま台車・主電動機を新造のものに交換しカルダン駆動化された。台車は、電動車が住友FS-530、制御車が同FS-030、主電動機は三菱MB-3239A(出力110kw) ×4である。

しかし、非冷房車であったため、1989年(昭和64年・平成元年)以降1080形増備に伴いカルダン化された1029 - 1032を除き廃車された。

その後、2004年11月3日1200形の1207 - 1210が増備されたため、1029 - 1032が廃車され、形式消滅した。

車番の変遷

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琴電での車番 名鉄時代の車番
1021 1022 モ3703 ク2703
1023 1024 3701 2701
1025 1026 3718 2718
1027 1028 3705 2705
1029 1030 3712 2712
1031 1032 3713 2713
1033 1034 3714 2714
1035 1036 3710 2710

※新製時、ク2703はモ3704(初代)、ク2701はモ3702

参考資料

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  • 真鍋裕司「私鉄車輌めぐり[121] 高松琴平電鉄(上)」、鉄道ピクトリアル403号、電気車研究会、1982年5月
  • 真鍋裕司「琴電へ譲渡された名鉄3700系」、鉄道ピクトリアル771号、電気車研究会、2006年1月増刊
  • 畑下学「私鉄フォーラム第32回 高松琴平電気鉄道」、鉄道ダイヤ情報52号、弘済出版社、1988年8月