VAL 208は、VALシリーズの1つで、マトラおよびシーメンス・モビリティによって開発された、自動運転式の自動案内軌条式旅客輸送システムである。車両はオーストリアウィーンを拠点とするimmering-Graz-Pauker AG/シーメンスSGPで製造されている。

VAL208
基本情報
製造所 シーメンス・モビリティ
主要諸元
編成 2両編成
軌間 1,620 mm
電気方式 直流750 V第三軌条方式)
設計最高速度 80 km/h
起動加速度 4.68 km/h/s
減速度(常用) 4.68 km/h/s
車両重量 15.65t
編成重量 31.3t
全長 13,070 mm
全幅 2080 mm
全高 32,700[1]または37,000[2] mm
車体 アルミニウム合金
台車 SF-VAL208
主電動機 無整流子電動機
主電動機出力 65kW
駆動方式 平行カルダン駆動
歯車比 4.88
編成出力 520kW
制御装置 チョッパ制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ
油圧式ディスクブレーキ
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2000年より複数の鉄道事業者で採用されている。

名称にある208という数字は、車両の幅が208cmであることに由来する。

VAL206の後継車で、VAL206と共通運用することが可能。通常は自動運転が行われるが、必要に応じて運転士が手動で運転できるようになっている。

概要

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自動運転のため、遅延が少ないほか、列車密度を高くできる[要出典]。一方、当列車は基本的に2両編成であるため、利用者が少ない地域や中規模都市に適している。

車内

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車両は狭いものの、窓が大型であるため開放感ある車内とした。ヨーロッパの気候に合わせて基本は非冷房だが、韓国議政府軽電鉄の車両のみ冷房装置が搭載されている。

部材の多くにプラスチックが多用されているが、ドアやスタンションポールはステンレス製。

車内の色調は鉄道事業者により様々。

 
リールメトロにて

走行機器

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制御方式はVVVFインバータ制御を採用せず、従来と同様のチョッパ制御方式とした。ただし、IGBT素子を用いているため、甲高い音となっている。

主電動機はアルストム製の無整流子電動機(ブラシレスDCモーター)を採用した。主電動機は自己通風式で、台車装荷である。各車輪の内部に搭載され、主電動機からの動力はカルダンジョイント遊星歯車機構を介して伝達される。

 
台車の様子
 
主電動機

VAL208NG

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2006年にマイナーチェンジ車であるVAL208NGが登場した。具体的な変更点は以下の通り。

  • VAL208ロゴの廃止
  • 客用扉の敷居にあったマトラ社ロゴの廃止
  • 主電動機仕様の見直しによる騒音の削減
  • 客用扉の構造の変更
  • 軽量化

VAL208は頻繁にマイナーチェンジが行われている。

導入都市

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順不同

都市 鉄道事業者 車種 備考
フランス パリ

(シャルル・ド・ゴール空港)

CDGVAL VAL208NG

VAL208NG2

フランス リール リールメトロ VAL208
フランス レンヌ レンヌ地下鉄 VAL208

VAL208NG

VAL208NG2

フランス トゥールーズ トゥールーズ地下鉄 VAL208

VAL208NG

VAL208NG2

イタリア トリノ トリノ地下鉄 VAL208

VAL208NG

韓国 議政府 議政府軽電鉄 VAL208NG 唯一の冷房車

参考文献

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注釈

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  1. ^ 非冷房車
  2. ^ 冷房車

関連項目

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