Dream Daddy: A Dad Dating Simulator

Dream Daddy: A Dad Dating Simulator』は、Vernon ShawとLeighton Grayがシナリオを執筆し、Game Grumps英語版が開発・販売したビジュアルノベルゲームである。 本作は2017年7月20日にWindows/macOS用ゲームとして発売されたのち、同年9月22日にLinux用ソフトとして発売された[1]。ディレクターズ・カット版が2018年10月30日にPlayStation 4向けに発売され、同時にPC版がアップデートされた[2]。2019年7月2日にNintendo Switch向けに発売された[3]

Dream Daddy: A Dad Dating Simulator
ジャンル ビジュアルノベル、恋愛シミュレーションゲーム
対応機種 Microsoft WindowsmacOSLinuxPlayStation 4Nintendo SwitchAndroidiOS
開発元 Game Grumps英語版
発売元 Game Grumps
プロデューサー Arin Hanson英語版
Tyler J. Hutchison
ディレクター Tyler J. Hutchison
デザイナー Tyler J. Hutchinson
Jory Griffis
Greg Batha
Eric Itomuna
Alejandro Quan-Madrid(ミニゲーム)
XPTND(ミニゲーム)
シナリオ Vernon Shaw
Leighton Gray
音楽 Jesse Cale
人数 1人
発売日
  • Microsoft Windows、macOS
    • WW 2017年7月20日
  • Linux
    • WW 2017年9月22日
  • PlayStation 4
    • WW 2018年10月30日
  • Nintendo Switch、Android、iOS
    • WW 2019年7月2日
エンジン Unity
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インタラクティブ・ビジュアルノベルである本作は、シングルファーザーと7人の男性の中のうちの1人との恋愛を描いており、個別ルートが存在する。

本作にはノベルゲームパート以外にミニゲームがあるほか、ルートの分岐も存在する。また、プレイヤーキャラクターの容姿はカスタマイズすることが可能である[4][5]

2020年9月のSteamのアップデートにて、日本語に対応した[6][7]

ゲームプレイ 編集

本作はプレイヤーがデートをする7人のシングルファーザーを選べるインタラクティブビジュアルノベルである。達成するべきミニゲーム、複数のエンディング、『Game Grumps英語版』のチャンネルのメンバーによる声の出演が盛り込まれている。プレイヤーはプレイヤーキャラクターの外見をカスタマイズすることができる[4][5]

ストーリー 編集

娘のアマンダとともにメイプル・ベイという町の袋小路に引っ越したシングルファーザーの主人公は、近所の住民たちが自分と同じように独り身であることを知り、彼らとロマンスをはぐくむこととなる。

登場人物 編集

主人公
妻もしくは夫と死別し、娘を育てるシングルファザー[8]
アマンダ
主人公の娘[8]

攻略対象キャラクター 編集

マット・セラ(Mat Sella)[9]
コーヒーショップの店長をしている父親[8]
クレイグ・カーン(Craig Cahn)[9]
ウエストベルトで赤ちゃんを抱っこしながらジョギングに励む父親。主人公の大学時代の同級生[8]
ブライアン・ハーディング(Brian Harding)[9]
ワイルドな髭が特徴的な父親[8]
ヒューゴ・ヴェガ(Hugo Vega)
英語教師をしている父親[8]
ダミアン・ブラッドマーチ(Damien Bloodmarch)[9]
長髪のゴシック系の父親[8]
ロバート・スモール(Robert Small)[9]
革ジャンを着た父親[8]
ジョセフ・クリスチャンセン(Joseph Christiansen)[9]
ブロンドヘアーで、プロデューサー巻きのカーディガンとピンクのポロシャツを着た父親。シングルではなく妻がいる[8]

開発 編集

本作の開発元である『Game Grumps英語版』は、元々はゲーム実況を配信するYouTuberとして活動していたグループであり、登場人物の声も担当している。また、Game Grumpsは本作の開発にあたり、露骨なビジュアルを避けたり、権利関係による配信停止を回避するためのオプションを設けている[10]

本作の共同制作者で共同執筆者のVernon Shawは[11]Maker Studios英語版タレントマネージャーとして働いているときに『Game Grumps』に会った[12]。Maker Studiosは2013年6月から2016年1月まで『Game Grumps』のチャンネルネットワークであった[13][14]。本作の着想はShawと共同制作者のLeighton Grayがディズニーランドを訪れている父親について言った冗談から得た。また、父親の恋愛シミュレーションを作るというひらめきは鳩の恋愛シミュレーションビジュアルノベル『はーとふる彼氏』から得た。本作の開発はShawがArin Hanson英語版に提案した後に始まった。Hansonはその提案をすぐに承認した。ディレクターのTyler HutchinsonとナラティブデザイナーのJory Griffisは2016年の秋に雇われた。最初の計画は2017年の父の日の発売に間に合うように開発を9ヶ月で終わらせる予定であったが、これは極めて困難であることが判明した[12]。本作は『Game Grumps』の別のチャンネルである『GrumpOut』でアップロードされた45秒のティザートレーラーとともに2017年6月18日に発表された[15]

当初は2017年7月13日に発売予定だったが、同年7月14日にバグ修正のため発売日を延期するという発表が出された。その後、発売予定日が7月19日になるという発表が出され、最終的に本作は7月20日にWindows/macOS用ゲームとして発売された[16]。ディレクターズ・カット版は追加のサイドクエストとミニゲームを特徴とし、2018年10月30日に、PlayStation 4向けに発売され、PC版の無料アップデートとして公表された[2]

当初、HutchinsonとGriffisはゲームが直線的すぎると考え、システム駆動型恋愛シミュレーションの着想のためShawとGrayに1994年のゲームである『ときめきメモリアル』を見るよう言った。システムを基にしたゲームプレイを導入した後、プレイヤーは父親の好感度のためにプレイするだけでなく、父親の好感度に十分なほど「格好いい」か「博学」になるまでプレイする。開発が進むにつれて、物語の進め方はよりキャラクター駆動型で論理に基づくものになった。最終的に開発が終わるころには、ゲームの単語数英語版はおよそ13万3000字になった[12]

開発中にVernon Shawが用いた哲学は「皮肉に包まれた誠実さ」であり、プレイヤーは同性愛者の父親に興味をそそられるためゲームを遊ぶが、父親であることと人間関係についての人生の教訓を持って立ち去ることになるということを意味する。キャラクターアークが完全に確立されると、開発の終わり頃には父親と性行為をするゲームから人間関係についてのゲームに切り替わったことをGriffisは思い出す。キャラクターが自分の性的指向について言及しないのは、ほとんどのメディアがクィアの人たちについて論じることは社会問題に関するものであり、人間関係そのものについてではないと『Game Grumps』が感じたためである。その代わり、ゲームでは社会不安有害な男らしさ英語版のような問題を取り上げている[12]

反響 編集

本作の日本語版が東京ゲームショウ2019にてプレイアブル出展された際に行われた登場人物の人気投票では、ふくよかな体型のブライアンが1位を獲得した[17]

評価 編集

評価
集計結果
媒体結果
Metacritic72/100[18]
レビュー結果
媒体結果
ゲーム・インフォーマー7.5/10[19]
PC Gamer US70/100[20]
Polygon8/10[21]
Bleeding Cool9/10[22]
GameStar76/100[23]
Wired (UK)7/10[24]

Metacriticにおける本作の評価は「賛否両論および平均的」("mixed or average")だった[18]

ゲームのシナリオは『Wired UK英語版』や『PC Gamer』のような出版社から賞賛された[24][20]。コメディから真面目な部分に移行することをうまくやり遂げたと批評家は述べた。『Polygon』のSimone de Rochefortは「『Dream Daddy』が真面目な物語をうまく対処したことは優れていて、おそらく驚くべきことである。特に見てきたものがこのゲームの広告のみであれば。その一方で、ゲームが同様にすごくおもしろいことには誰も驚かないだろう」と述べた[21]

ゲームにおけるLGBTの人たちの表現は概ね肯定的な反応を持って迎えられた。『Wired UK』のMatt Kamenは本作が同性愛者に対する固定観念英語版を使っていないことを賞賛した[25]。『ゲーム・インフォーマー』のElise Favisはゲーム内でキャラクターのアイデンティティを言及しないことについて「恋愛可能なキャラクターが性的アイデンティティを決して口にしない。このことは時折奇妙に感じるが、これは妥当である。『Dream Daddy』は現実を正確に描写するのではなくて、空想をかなえることに関するものであるため、この世界はそのような社会問題は取り除かれていると感じた」と述べた[19]。社会においてクィアの人たちが恋愛の相手を見つけることが難しいことについて本作は解説を入れるべきであったと『PC Gamer』のHannah Dwanは述べた[20]。プレイヤーがどのジェンダーアイデンティティと性的指向であるか決めるシステムは『Wired UK』に賞賛された [24]

受賞歴 編集

本作は、PC Gamerの2017年度のゲーム・オブ・ザ・イヤーのビジュアルノベル部門にノミネートされたほか[26]、IGNの2017年度のゲーム・オブ・ザ・イヤーのアドベンチャーゲーム部門にノミネートされた[27]

本作は、Giant Bombの2017年度のゲーム・オブ・ザ・イヤーの新キャラクター部門、声優部門、そしてゲーム・オブ・ザ・イヤー部門に次点入りした[28][29]

また本作は、Game Informerの2017年度のアドベンチャーゲーム・オブ・ザ・イヤーの"Biggest Surprise"部門を受賞した[30]

部門 結果 出典
2017 ゴールデンジョイスティックアワード ベストインディーズゲーム ノミネート [31]
PC Game of the Year ノミネート
Breakthrough Award (Game Grumps) ノミネート
2018 National Academy of Video Game Trade Reviewers Awards Game, Special Class ノミネート [32][33]
SXSWゲーム賞 Trending Game of the Year ノミネート [34][35]

脚注 編集

  1. ^ Gach, Ethan (2017年6月18日). “Help Hot Dads Find True Love In Dream Daddy”. Kotaku. 2017年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月19日閲覧。
  2. ^ a b Romano, Sal (2018年10月17日). “Dream Daddy: Dadrector's Cut coming to PS4 on October 30”. Gematsu. 2018年10月17日閲覧。
  3. ^ Megarry, Daniel (2017年6月19日). “This gay dating sim lets you hook up with your perfect daddy”. Gay Times. 2017年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月19日閲覧。
  4. ^ a b Megarry, Daniel (2017年6月19日). “This gay dating sim lets you hook up with your perfect daddy”. Gay Times. 2017年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月19日閲覧。
  5. ^ a b Moyse, Chris (2019年6月6日). “Dream Daddy: Dadrector's Cut coming to mobile and Nintendo Switch”. Destructoid. 2020年5月25日閲覧。
  6. ^ 素敵なシングルファーザー同士の恋愛シム『Dream Daddy』にアップデートで日本語が追加”. ファミ通 (2020年9月18日). 2020年9月23日閲覧。
  7. ^ シングルファーザー恋愛ADV『Dream Daddy』日本語版配信日決定!”. Game*Spark. イード (2020年8月28日). 2021年8月20日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i Ryuki Ishii (2017年7月21日). “『Dream Daddy: A Dad Dating Simulator』配信開始。シングルファザー同士のロマンスを描く恋愛シミュレーション”. AUTOMATON. アクティブゲーミングメディア. 2021年8月17日閲覧。
  9. ^ a b c d e f Strawhun, Aiden (2017年6月19日). “Fulfill Your Dating Dreams With Dad Dating Simulator Dream Daddy”. GameSpot. 2017年6月19日閲覧。
  10. ^ ミル☆吉村 (2017年7月21日). “オヤジ臭さは危険な香り? 独身イクメン同士で禁断の愛にハッテン可能なお父さんデートシム『Dream Daddy』”. ファミ通. エンターブレイン. 2018年6月3日閲覧。
  11. ^ Vernon Shaw (@VernonShaw) | Twitter” (英語). twitter.com. 2018年10月11日閲覧。
  12. ^ a b c d Noclip (September 3, 2018), How Game Grumps Created Dream Daddy - Noclip Documentary, https://www.youtube.com/watch?v=6Y_D4kAmmMw 2018年10月11日閲覧。 
  13. ^ Joy, Shaun (2016年1月13日). “Polaris is Not So Grump: The Game Grumps Leave Polaris” (英語). techraptor.net. 2018年10月11日閲覧。
  14. ^ The Game Station (July 5, 2013), Exciting Announcement!, https://www.youtube.com/watch?v=McdZ7iOZOdw 2018年10月11日閲覧。 
  15. ^ (英語) Dream Daddy - Teaser Trailer (A Game from Game Grumps!), https://www.youtube.com/watch?v=W14-40omhWY 2018年10月11日閲覧。 
  16. ^ Rowen, Nic (2017年7月14日). “Dream Daddy delayed, some fans are salty”. Destructoid. 2017年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月14日閲覧。
  17. ^ シングルファーザー恋愛ゲーム『Dream Daddy』ブースレポート!一番人気は意外なキャラに?【TGS2019】”. Game*Spark. イード (2019年9月16日). 2020年9月23日閲覧。
  18. ^ a b Dream Daddy: A Daddy Dating Simulator for PC on Metacritic”. Metacritic. 2017年8月11日閲覧。
  19. ^ a b Favis, Elise (2017年7月27日). “Dream Daddy”. Game Informer. 2017年7月28日閲覧。
  20. ^ a b c Dwan, Hannah (2017年7月24日). “Dream Daddy: A Daddy Dating Simulator Review”. PC Gamer. 2017年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月28日閲覧。
  21. ^ a b de Rochefort, Simone (2017年8月10日). “Dream Daddy review”. Polygon. 2017年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月5日閲覧。
  22. ^ Sheehan, Gavin (2017年7月20日). “Who’s Your Daddy? We Review ‘Dream Daddy: A Dad Dating Simulator’”. Bleeding Cool. 2017年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月2日閲覧。
  23. ^ Matschijewsky, Daniel (2017年7月28日). “Dream Daddy: A Dad Dating Simulator - PC”. GameStar. 2017年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月3日閲覧。
  24. ^ a b c Kamen, Matt (2017年8月2日). “Dream Daddy review: subverting gay clichés with great writing”. Wired UK. 2017年12月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月20日閲覧。
  25. ^ Kamen, Matt (2017年8月2日). “Dream Daddy review: subverting gay clichés with great writing”. Wired UK. ISSN 1357-0978. https://www.wired.co.uk/article/dream-daddy-pc-review 2019年7月11日閲覧。 
  26. ^ PC Gamer staff (2017年12月8日). “Games of the Year 2017: The nominees”. PC Gamer. 2018年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月3日閲覧。
  27. ^ Best of 2017 Awards: Best Adventure Game”. IGN (2017年12月20日). 2017年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月3日閲覧。
  28. ^ Giant Bomb staff (2017年12月28日). “Game of the Year 2017 Day Four: Debut, New Characters, Story, and Styyyyyyyyyyyyyyyyyle”. Giant Bomb. 2017年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月5日閲覧。
  29. ^ Giant Bomb staff (2017年12月29日). “Game of the Year 2017 Day Five: Best, Worst, Cast, and Capture”. Giant Bomb. 2017年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月5日閲覧。
  30. ^ Favis, Elise (2018年1月9日). “The 2017 Adventure Game Of The Year Awards”. Game Informer. 2018年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月9日閲覧。
  31. ^ Gaito, Eri (2017年11月13日). “Golden Joystick Awards 2017 Nominees”. Best In Slot. 2018年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月3日閲覧。
  32. ^ Nominee List for 2017”. National Academy of Video Game Trade Reviewers (2018年2月9日). 2018年2月19日閲覧。
  33. ^ Horizon wins 7; Mario GOTY”. National Academy of Video Game Trade Reviewers (2018年3月13日). 2018年3月14日閲覧。
  34. ^ McNeill, Andrew (2018年1月31日). “Here Are Your 2018 SXSW Gaming Awards Finalists!”. SXSW. 2018年1月31日閲覧。
  35. ^ IGN Studios (2018年3月17日). “2018 SXSW Gaming Awards Winners Revealed”. IGN. 2018年3月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集