POWER5(パワーファイブ)は、IBMが設計・製造したPower Architectureベースの64ビットマイクロプロセッサである。POWER5+(パワーファイブプラス)はその改良版である。2004年にリリースされ、2007年に後継のPOWER6に置き換えられた。

POWER5
MCMに搭載された4つのPOWER5ダイと4つの36MB L3キャッシュダイ
生産時期 2004年から
設計者 IBM
生産者 IBM
CPU周波数 1.5GHz  から 2.2GHz (POWER5+) 
アーキテクチャ Power Architecture (64ビット)
コア数 2
L1キャッシュ 32KB/64KB
L2キャッシュ 1.9MB
L3キャッシュ 36MB
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POWER5+ DCMを含むIBM System i5のプロセッサモジュール

概要

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POWER5は、成功したPOWER4の改良版で、主な改良は同時マルチスレッディング(2-Way SMT)と、ダイ上のメモリコントローラである。POWER5はデュアルコアのマイクロプロセッサで、それぞれのコアが1つの物理的なスレッドと、2つの論理的なスレッドをサポートし、合計では2つの物理的なスレッドと4つの論理的なスレッドをサポートした。

仕様

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  • 130nm / 389mm2 SOI 銅配線 プロセステクノロジー
    • 90nm / 240mm2 SOI 銅配線 プロセステクノロジー (POWER5+)
  • Power Architecture デュアルコア
  • 1.5GHz - 1.9GHz - 2.3GHz (POWER5+)
  • 32ビット ALU
  • 64ビット FPU
  • L1 キャッシュ(命令/データ) 32KB/64KB
  • L2 キャッシュ 1.9MB(ダイ上)
  • L3 キャッシュ 36MB(DCM、MCM、QCM上)
  • I/Oバス GX+

歴史

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このマイクロプロセッサの技術的な詳細は、2003年Hot Chipsカンファレンスで最初に発表された。より完全な仕様は2003年10月14日の Microprocessor Forum 2003 で提供された。POWER5はオープンに販売されたのではなく、IBMとそのパートナーによって専ら使用された。POWER5を使用したシステムは2004年に発表された。

POWER5はハイエンドのエンタープライズサーバー市場で競い、主なライバルはインテルItanium 2や、更にはサンUltraSPARC IV富士通SPARC64 Vであった。

POWER5+

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POWER5+ は、POWER5を改良した置き換え版で、2005年10月4日に発表された。当初の改良は新しい製造プロセスによる低消費電力で、クロックは変わらず 1.5~1.9GHzだった。2006年2月14日に、2.2GHz クロックまで可能な新バージョンが登場した。POWER5+は前身のPOWER5マイクロプロセッサと同じパッケージを使用できるようにパッケージされたが、更にクアッドチップモジュール(QCM)が可能となり、2つのPOWER5+ダイと、それぞれのPOWER5+ダイごとに2つのL3キャッシュダイが搭載できた。

詳細

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POWER5はPOWER4の改良版である。2ウェイのマルチスレッディングの追加は、それぞれのスレッドが使用できるように、リターンスタックやプログラムカウンター、命令バッファ、グループコンプリーションユニット、キューの格納などの重複を要求した。レジスタファイルや実行ユニットなど大半は共有されたが、しかしそれぞれのスレッドは専用のレジスタのセットを使用した。POWER5は同時マルチスレッディング(SMT)を、2つのスレッドが同時に実行できるように実装した。またPOWER5は現在のワークロードを最適化するためにSMTを停止することもできた。

POWER5は、389 mm2のサイズに2.76億個のトランジスタを搭載した。これはIBMの 0.13 µm SOI CMOSプロセスと、8層の銅配線が使用された。POWER5のダイは、デュアルチップモジュール(DCM)またはマルチチップモジュール(MCM)にパッケージされた。DCMは1つのPOWER5ダイと、そのL3キャッシュダイを搭載した。MCMは4つのPOWER5ダイと、4つのL3キャッシュダイを搭載し、L3キャッシュダイはそれぞれのPOWER5ダイ用で、サイズは 95 mm x 95 mmだった[1][2]

ハイエンドシステム用のいくつかのPOWER5プロセッサは、IBM ViVA (Virtual Vector Architecture)技術によって、複数のPOWER5コアをグループ化して1つのベクトルプロセッサとして稼働することができた。


用途

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IBMはデュアルチップモジュール(DCM)やマルチチップモジュール(MCM)のPOWER5マイクロプロセッサを、彼らのSystem pおよびSystem iのサーバーファミリーや、DS8000ストレージシステムや、ハイエンドのInfoPrintプリンターでの組み込み用マイクロプロセッサとして使用した。またDCMのPOWER5はハイエンドのIntelliStation POWER 285ワークステーションでも使われた。

POWER5のサードパーティーユーザーには、Groupe BullによるEscala server、日立製作所によるエンタープライズサーバEP8000シリーズやSR11000コンピュータがある。EP8000は2004年11月にPOWER5、2005年10月にPOWER5+の搭載モデルを発表した[3]。SR11000は最大128のPOWER5+マイクロプロセッサを使用し[4]、いくつかのシステムは2007年のTOP500スーパーコンピュータリストに選ばれた。

IBMはPOWER5+を、彼らのSystem p5 510Q、520Q、550Q、560Q サーバーでも使用した[5]

参照

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出典

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  • "IBM Previews Power5". (8 September 2003). Microprocessor Report.
  • Clabes, Joachim et al. (2004). "Design and Implementation of the POWER5 Microprocessor". Proceedings of 2004 IEEE International Solid-State Circuits Conference.
  • Glaskowsky, Peter N. (14 October 2003). "IBM Raises Curtain on Power5". Microprocessor Report.
  • Kalla, Ron; Sinharoy, Balaram; Tendler, Joel M. (2004). "IBM Power5 Chip: A Dual-Core Multithreaded Processor". IEEE Micro.
  • Krewell, Kevin (22 December 2003). "Power5 Tops On Bandwidth". Microprocessor Report.
  • Sinharoy, Balaram et al. (2005). "POWER5 System Microarchitecture". IBM Journal of Research and Development.
  • Vance, Ashlee (4 October 2005). "IBM pumps Unix line full of Power5+". The Register.

関連項目

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外部リンク

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