Wikipedia

RPCS3

PlayStation 3のエミュレータ

RPCS3 (アールピーシーエススリー)は、フリーかつオープンソースで開発された、PlayStation 3のゲームエミュレータである。対応OSは、Windows、macOS、Linux、FreeBSD。

RPCS3
Windows 11で動作するRPCS3
作者 DH, Hykem, AlexAlta
開発元 (RPCS3 TEAM) Nekotekina, kd-11, elad335, jarveson, Megamouse, hcorion, scribam, ruipin, isJuhn, Galciv, Numan[1]
初版 2011年5月23日 (12年前) (2011-05-23)
最新版
なし
最新評価版
v0.0.28-15131 Alpha / 2023年6月5日 (10か月前) (2023-06-05)[2]
リポジトリ github.com/rpcs3/rpcs3/
プログラミング
言語		 C++ , GLSL, C
対応OS Windows 7以降, macOS 11.6以降, Linux, BSD
プラットフォーム x86-64
サイズ
対応言語 English
種別 ゲームエミュレータ
ライセンス GNU GPL v2
公式サイト rpcs3.net
テンプレートを表示

いち早く開発が始まった、事実上唯一のPS3エミュレータとして知られる。

概要 編集

PS3のゲームタイトルをプレイしたり、デバッグを行うことができ、2022年12月現在の時点で既に、少なくともある程度、ほとんどの商用ゲームを実行できた[3]。初期は複雑な設定が必要であったものの、現在では初期設定のままでもかなり動作させられる。サウンド、コントローラーの対応も完備しており、エミュレーション精度の高さが評価されている[4]。

互換性のあるデバイスやOSで実行できる、PS3エミュレータを実験、研究、教育することを開発の目標としており、活発な開発が行われているため、2023年11月現在、安定版リリースが存在しない[5]。

特徴 編集

x64アーキテクチャのCPU向けにC++言語で開発されており、OpenGLやVulkanでのレンダリングに対応している。

コントローラに関連する設定は充実している。2021年時点では、サウンドが定期的に途切れる問題があるものの、サウンドスレッドの優先順位をあげる設定を行うことで解消できる[4]。

互換性 編集

互換性は高く、2023年11月現在、

また、PS3のゲームアーカイブスを通じて、PS1ソフトも対応している。

動作環境 編集

2023年9月現在、64ビット版のWindows 10以降、最新のLinux、macOS 12.0以降、または最新のBSDディストリビューションが必要である。ハードウェアとしては、少なくとも4GBのRAM（推奨8GB）、x64アーキテクチャのCPU、OpenGL 4.3以上、またはVulkan（Vulkanが推奨）をサポートするGPUが必要となる。

PS3は、2006年発売の第7世代の家庭用ゲーム機であるため、GPUについてはそれほど高機能なものは必要なく、CPUの内蔵GPUでも動作可能な場合がある一方、エミュレーションは高い計算負荷がかかる処理であることから、CPUについては比較的高性能なものが必要となる[6]。

また、ゲームデータとは別に、SIEの公式サイトからダウンロードできるPS3の公式ファームウェアも必要とする[7]。

歴史 編集

開発開始当初 編集

PS3で採用されている独自のCPU、Cell Broadband Engineの複雑さからエミュレータ開発は難しいと考えられていたにもかかわらず[8]、2011年5月23日、開発者のDHとHykemによって、開発中のエミュレータとして開発が開始された[9]。同年9月に、初めて単純な自作ソフトを正常に実行することに成功し[10]、2012年6月にv0.0.0.2として初めて公開リリースが行われた[11]。当初は、Google Codeでソースコードを公開していたが、2013年8月27日からはGitHubに移行した。

同じ年の夏頃にはAlexAlteaが加わり、エミュレータのいくつかの要素に取り組み、2015年初頭まで開発に参加した。

2014年ごろから、実行できるソフトが増え始め、小さな自作アプリの動作に成功してからは、いくつかのゲームでタイトル画面をサウンド付きで読み込めるようになったり[12]、重いグラフィカルな不具合や、スプライトが読み込めない問題はあるものの、魔界戦記ディスガイア3と神様と運命革命のパラドクスの一部を遊べるようになったり[13]、さらには、連続した改善が功を奏し、アフターバーナー クライマックスのような軽量タイトルを、ほとんど不具合なくプレイできるようになった[14]。

その後、DHが2016年半ばにプロジェクトを去り、PlayStation 4のエミュレータ「RPCSX（旧RPCS4）」にの開発に注力し始め、Hykemも同時期に開発から外れた[15]。

2017年2月9日、RPCS3にPPE（PowerPC Processor Element）スレッドスケジューラが初めて実装され、Cellのマルチコア対応を強化した[16]。その1週間後の16日には、PS3の公式ファームウェアをコアファイルシステムに直接インストールできるようになった[17]。

同年5月、Vulkan対応により、4倍に近いパフォーマンスの向上が見られ、いくつかのゲームが「Playable（プレイ可能）」と認定されたと報告された[18]。

長い間、オリジナルのファームウェアファイルは改造されたPS3からしか抽出できないと一般的に考えられていたため、参入障壁の高さがネックだったものの、すべてのライブラリが実際には各システムアップデートに同梱されていて、ここからファイルを抽出できる可能性があることが発見された。2017年からはPatreonも開始した。

アトラスからのDMCA削除通知 編集

2017年4月、欧米でのリリース日よりも前に、RPCS3でペルソナ5を遊べるようになり、メディアの注目を集めた[19][20][21][22]。これを受けた同年9月、ペルソナの開発元であるアトラスは、RPCS3のPatreonページに対して、DMCA削除通知を出した[23]。ペルソナ5のエミュレートに関する進捗状況に、頻繁に言及していたことが原因と見られる。ただ、当該ページからペルソナ5に関する部分を削除したため、要求は取り下げられた[24][25]。この騒動により、市販のゲームも動かせるエミュレータとして、より注目を集めるようになった。

進展 編集

その後の継続的なアップデートにより、2018年6月になって、PS1のゲームアーカイブスソフトへの対応が追加された[26]。再リリース版のみが機能し、また、PS1のディスクは読み込みには未対応である。

2022年1月、クロスメディアバー (XMB)を最低でもバージョン2.80のファームウェアで実行できるようになったと発表した。同年5月5日には、RSXAudioが実装され、XMBで音を再生できるようになった。また同時期に、当時行われたSPUのパフォーマンス改善を示すビデオがYouTubeで公開された。

同年7月、以前は技術的な制限のために実行不可能と考えられていた、どこでもセーブ機能が実装された[27]。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ “Contributors to RPCS3/rpcs3”. GitHub. 2023年11月2日閲覧。
  2. ^ “Downloads”. rpcs3.net. 2023年4月13日閲覧。
  3. ^ Papadopoulos (2022年12月26日). “Playstation 3 emulator, RPCS3, can now run all released PS3 games”. DSOGaming. 2021年11月2日閲覧。
  4. ^ a b “プレイステーション３ - emu Wiki*”. wikiwiki.jp. 2023年11月2日閲覧。
  5. ^ RPCS3. “RPCS3 - About” (英語). RPCS3. 2023年11月2日閲覧。
  6. ^ “PlayStation3エミュレーター(RPCS3)の使用方法 - 熊八の隠し部屋”. www.kumahachi.xyz. 2023年11月2日閲覧。
  7. ^ “Quickstart” (英語). RPCS3. 2023年5月18日閲覧。
  8. ^ Usher (2014年3月8日). “PS3 Emulator Can Now Run Commercial Games”. CinemaBlend. 2014年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月3日閲覧。
  9. ^ “rpcs3 r1 Google Code” (2011年5月23日). 2014年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  10. ^ “rpcs3 r28 on Google Code” (2011年5月23日). 2012年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  11. ^ “rpcs3 tag 0.0.0.2” (2012年6月1日). 2013年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  12. ^ (日本語) Rpcs3 Update Quality Sound - Intro Video - The Guided Fate Paradox, https://www.youtube.com/watch?v=oOcUcD9y51w 2023年11月2日閲覧。 
  13. ^ (日本語) RPCS3 WIP - Disgaea 3: Absence of Justice - Ingame!, https://www.youtube.com/watch?v=IQEv6B6fIgA 2023年11月2日閲覧。 
  14. ^ (日本語) RPCS3 PS3 Emulator - After Burner Climax Ingame #2! DX12, https://www.youtube.com/watch?v=MsuKQfsu-zk 2023年11月2日閲覧。 
  15. ^ “[IMPORTANT Hykem says goodbye]”. www.emunewz.net. 2023年11月2日閲覧。
  16. ^ “Pull request #2349 - [WIP PPU scheduler]”. 2017年3月3日閲覧。
  17. ^ “PS3UPDAT.PUP installer (#2386) · RPCS3/rpcs3@458dbbd”. 2017年3月3日閲覧。
  18. ^ Donnell (2017年5月22日). “RPCS3 Gets Performance Boost with Vulkan API”. Eteknix. 2019年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  19. ^ Prescott (2017年4月3日). “Persona 5 is playable on PC with this PS3 emulator”. PC Gamer. 2017年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  20. ^ Plunkett (2017年4月4日). “Here's Persona 5 'Running' On A PC”. Kotaku. 2018年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  21. ^ Becht (2017年4月5日). “'Persona 5' Running on PC Emulation”. Heavy.com. 2018年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  22. ^ Grubb (2017年4月3日). “Persona 5 is up and running on one of the PC's PlayStation 3 emulators”. VentureBeat. 2018年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  23. ^ “ATLUS and Emulation” (英語). Atlus West (2017年9月26日). 2023年11月2日閲覧。
  24. ^ Moon (2017年9月27日). “Atlus tried to take down a PS3 emulator advertising 'Persona 5'”. Engadget. 2017年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  25. ^ Orland (2017年9月27日). “Atlus wants to cut off a PS3 emulator because it runs Persona 5”. ArsTechnica. 2017年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。
  26. ^ RPCS3 (2018年7月15日). “RPCS3 - Blog” (英語). 2023年11月2日閲覧。
  27. ^ Bailey (2022年8月4日). “PS3 emulator RPCS3 finally adds save states” (英語). GamesRadar. 2022年10月19日閲覧。

外部リンク 編集

 

この項目は、ソフトウェアに関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています（PJ:コンピュータ/P:コンピュータ）。

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=RPCS3&oldid=97725780」から取得