どろソース
どろソースは、兵庫県神戸市の調味料メーカー・オリバーソースが製造販売しているソース。
同種のソースは「オリソース」「たまりソース」などの名称で他社からも発売されている。
「どろ」はオリバーソースの登録商標日本第3084659号であるが、この種のソースの一般的な呼称として用いられることも多い。
概要
編集ウスターソースの熟成期間中に底部に自然沈降した粘り気の多い[1]沈殿物のことで[2]、「澱(おり)ソース」と呼ばれている[3]。 商品名の「どろ」はその粘りのある性状に由来するものである。
「どろ」はソース熟成時に必ず発生してしまう副産物で、野菜や果実、香辛料などの成分が豊富に含まれる[2]。 基本的には商品価値のない廃棄物として処理されるが、強い旨味とコクのあるものとして業界内では知られており[3]、オリバーソースの前身である道満調味料研究所も1936年から「配布」を行っていた[4]。
昭和時代の神戸市内では、一部の飲食店で「少し辛めのかくし味」として扱われる知る人ぞ知る貴重品であった。特にお好み焼きを扱う店では珍重され、あの街のあの店には「辛いソース」がある、という噂が口コミで伝えられ、店によっては余程の常連にならなければお目にかかれないソースとして、言わば裏メニュー的な扱いをすることもあったほどである[要出典]。
オリバーソースは濃厚ソース中心に開発・製造・販売を行っており、その一環として1993年(平成5年)から沈殿製法と呼ばれるウスターソースの伝統的な製法によるソース製造に取り組むようになった[5]。 芳醇なソースを造るために野菜果実・香辛料をふんだんに使用して理想的な「ウスター母液」を作ると、製造時の沈殿物としての「どろ」の量も増大することになるが、オリバーはこの「どろ」を無償配布や廃棄ではなく、商品として売り出そうという逆転の発想を行ったことで、その成分や品質も安定するようになり、質と量の両面でこの「どろ」を商品化することが可能になった。
こうして同年3月から「どろソース」の製造・販売が行われるようになった[2]。
発売当初から順調に売り上げを伸ばし[2]、さらにそばめしブームの影響でテレビ番組で採り上げられた直後の2000年(平成12年)12月には前月比60%増と急増するなど[6]。そばめしブームを活かして売上を年々拡大した[7]。
その結果、こだわり商品の一つとしてスーパーなどのソース売場で販売されるようになり[8]、オリバーソースを代表する商品として業務用・家庭用で発売されるようになった[9]。
沈殿成分の主なものは香辛料であるためかなり刺激が強く,調理に使用する際は使い過ぎに気を付ける必要がある(隠し味程度で十分である)。
製品ラインアップ
編集- どろソース
- 辛さ5倍どろソース
- どろ仕込みお好みソース
- どろ仕込み焼そばソース
- お好みソース ちょびっとどろ
- 焼そばソース ちょびっとどろ
- クライマックス・ヴィンテージ3年仕込み どろソース
- 長田ソース
- 激辛コテコテたまりソース
同種の他社製品
編集脚注
編集- ^ “ソース特集 関西地区=オリバーソース、「濃厚」中心の開発型”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1997年4月7日)
- ^ a b c d “オリバーソース、「どろソース」順調に市場浸透”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1993年4月12日)
- ^ a b “オリバーソース、「どろソース」8ヵ月で55万本と販売好調”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1994年2月11日)
- ^ オリバーソース 沿革
- ^ “オリバーソース、高付加価値ソース「クライマックス」シリーズ発売”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2006年2月6日)
- ^ “オリバーソースの「どろソース」、そばめしブームの中でブレイク中”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2001年1月26日)
- ^ “ソース特集:関西で活躍するソースメーカー=オリバーソース”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2003年4月18日)
- ^ “ソース特集:いま、ソース売場は…健康・こだわり素材がトレンド”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2007年4月4日)
- ^ “ソース特集:メーカー各社の動向=オリバーソース”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2011年4月25日)