池田健太郎
生涯
編集愛知県生まれ。本名・豊。 東京大学仏文科卒業、同大学院比較文学比較文化専攻修士課程修了。 立教大学講師、東大助教授を務めたが、1969年大学紛争により退職、書籍編集局次長扱いで中央公論社に入るが翌年退職。 1975年『プーシキン伝』により読売文学賞受賞、1979年『「かもめ」評釈』により芸術選奨新人賞を受賞したが、同年11月急逝した。享年50。
人物
編集在学中より、作家でもある神西清に師事。プーシキンを研究、また神西と共訳でスローニム『ロシア文学史』、ツルゲーネフ『散文詩』などを訳した。神西清は、晩年個人訳で『チェーホフ全集』を進めていたが中途で病没、その訳業を原卓也と共に引継ぎ、完成させた。 他にドストエフスキーの後期作品を翻訳し、学者としても長いとは言えない生涯だったが、多くの業績を残した。
池田健太郎賞が創設され、清水孝純が第1回(1982年)を受賞している。
著書
編集- 『チェーホフの生活』中央公論社 1971
- 『プーシキン伝』中央公論社 1974、中公文庫(上下) 1980
- 『「かもめ」評釈』中央公論社 1978、中公文庫 1981
- 『わが読書雑記』中央公論社 1980
- 『チェーホフの仕事部屋』新潮選書 1980
編著・共著
編集翻訳
編集- 『石の花』(パーヴェル・バジョーフ、神西清共訳、河出書房) 1953
- 『ロシア文学史』(マーク・スローニム、神西清共訳、新潮社) 1957、のち新版 1976
- 『ソビエト文学史』(マーク・スローニム、神西清共訳、新潮社) 1958、のち新版 1976
- 『散文詩』(イワン・ツルゲーネフ、神西清共訳、岩波文庫) 1958
- 『ドストエーフスキイの三つの恋』(マーク・スローニム、角川書店) 1959
- 『犯罪を追って ある警察人の生涯』(ハリイ・ゼーダーマン、東京創元社) 1959
- 『消えた犠牲』(ベルトン・コッブ、東京創元社、クライム・クラブ) 1959
- 『オネーギン』(プーシキン、岩波文庫) 1962、のち改版2006
- 『罪と罰』(ドストエフスキイ、中央公論社、世界の文学16) 1963、のち新装版 1994、のち中公文庫(上・下) 1973
- 『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキイ、中央公論社、世界の文学17・18) 1966、のち中公文庫(全5巻) 1978
- 『悪霊』(ドストエフスキイ、中央公論社、新集世界の文学15・16) 1969
- 『チェーホフ』(神西清・原卓也共編訳、新潮社、新潮世界文学23) 1969
- 『夫チェーホフ』(オリガ・クニッペル、麦秋社)1979
- 『チェーホフ短篇と手紙』(山田稔編、みすず書房、大人の本棚) 2002