大村友貴美
大村 友貴美(おおむら ゆきみ、1965年4月22日[1] - )は、日本の小説家、推理作家、歴史小説作家。岩手県釜石市出身。中央大学文学部史学科卒業[1]。
誕生 |
1965年4月22日(59歳) 岩手県釜石市 |
---|---|
職業 | 小説家 |
国籍 | 日本 |
最終学歴 | 中央大学文学部 |
活動期間 | 2007年 - |
ジャンル | 推理小説 歴史小説 |
主な受賞歴 | 第27回横溝正史ミステリ大賞 |
デビュー作 | 『首挽村の殺人』 |
ウィキポータル 文学 |
2003年、第23回の横溝正史ミステリ大賞(2019年の第39回から、横溝正史ミステリ&ホラー大賞へ名称変更)で最終候補に残るが、同回は受賞作なし。2007年、『首挽村の殺人』で第27回の同賞の大賞を受賞し作家デビュー(桂美人の『ロスト・チャイルド』と同時受賞)[1]。受賞作は綾辻行人に絶賛され、「21世紀の横溝正史」のキャッチコピーが付けられた。
『首挽村の殺人』、『死墓島の殺人』、『霧の塔の殺人』の3作は故郷の岩手県が舞台となっている。
デビュー作が「現代的な問題を抱えた地方社会を舞台に横溝世界を(2Ⅰ世紀に)甦らせた[2]」といわれるように、その後も現代社会の宿痾に注視し、社会問題をベースとした作品を書いている。中でも、横溝色がない『犯罪に向かない男』、『存在しなかった男』は、社会派推理小説である。
『前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理』は、東日本大震災をきっかけに生まれた作品。震災後の5月、岩手県在住の12人の作家が印税を義援金にしようと、既に発表した自作短編を提供し、『12の贈り物 東日本大震災支援岩手県在住作家自選短編集』を刊行することになった。書き下ろしにしなかったのは、一刻も早く刊行するためといわれる。しかし、大村には短編作品がなかったため、急遽「キサブロー、帰る」を執筆。デジタル野性時代に掲載されたのち、『12の贈り物』へ提供された。その後、「キサブロー、帰る」のコンセプトに沿って4編を執筆し、『前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理』が刊行された。
歴史に造詣が深く、日本史、世界史等の事件や時代を題材にした作品も多い。『前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理』の「僕が殺された日」「虐げられた男は逆襲する」「また逢う日まで」の3編、『奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座』の全5編、『梟首の遺宝』ではアンボイナ事件と隠れキリシタンを、『緋い川』は明治時代の医療ものである。
2020年6月、文芸誌「北の文学」の編集委員に就任。81号(2020年11月28日発行)から選考にあたる。編集委員就任を発表した岩手日報の記事では、「因習に支配された島や山村を舞台にしたミステリーをはじめ、『犯罪に向かない男』『存在しなかった男』『緋(あか)い川』など地方が抱える問題を織り込んだ社会派ミステリーを中心に活躍」と紹介されている[3][4]。
作品リスト
編集- 首挽村の殺人(受賞時「血ヌル里、首挽村」)
- 2007年6月29日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-873784-5
- 2009年9月25日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-394306-7
- 死墓島の殺人
- 2008年8月28日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-873878-1
- 2010年9月25日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-394362-3
- 霧の塔の殺人
- 2009年9月18日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-873981-8
- 2011年9月23日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-394473-6
- 共謀
- 2010年9月25日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-874118-7
- 2013年1月25日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-100473-9 「犯罪に向かない男 警視庁捜査一課田楽心太の事件簿」に改題
- 存在しなかった男
- 2011年9月22日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-874254-2
- 2013年9月25日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-100983-3 「存在しなかった男 警視庁捜査一課田楽心太の事件簿」に改題
- 前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理
- 2012年12月26日発売、角川書店、ISBN 978-4-04-110361-6
- 2014年4月25日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-101319-9
- 奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座
- 2014年9月18日発売、光文社、ISBN 978-4-334-92969-5
- 2017年9月8日発売、光文社文庫、ISBN 978-4-334-77526-1
- 梟首の遺宝(連載時「ガーディアン」)
- 2016年9月1日発売、KADOKAWA、ISBN 978-4-04-104484-1
- 緋い川
- 2019年7月17日発売、光文社、ISBN 978-4-334-91295-6
- 南蛮の絆 多聞と龍之進 (連載時「双樹、戦ぐ」)
- 2022年5月19日発売、双葉社、ISBN 978-4-575-24517-2
- アンソロジー
「」内が大村友貴美の作品
- 12の贈り物 東日本大震災支援岩手県在住作家自選短編集「キサブロー、帰る」
- 2011年8月発売、荒蝦夷、ISBN 978-4904863145
- あの日から 東日本大震災鎮魂岩手県出身作家短編集「スウィング」
- 2015年10月11日発売、岩手日報社、ISBN 978-4872014150
新聞紙面掲載
- 「ガーディアン」、岩手日報文化面、2014年5月1日~2015年5月6日連載
- 単行本化に際し、『梟首の遺宝』と改題
- 雑誌紙面掲載
- 「奇妙な遺産」、小説宝石(光文社)、2011年12月号
- 「聖なる殺人の書」。小説宝石(光文社)、2013年8月号
- 「永遠のトレジャーハンター」、小説宝石(光文社)、2013年12月号別冊付録
- 「ブラッディ・ウーマン」、小説宝石(光文社)、2014年4月号
- 上記4編と書き下ろし「エデンの蛇」を加え、『奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座』刊行
- 「スウィング」、小説すばる(集英社)、2015年9月号
- 『あの日から 東日本大震災鎮魂岩手県出身作家短編集』に掲載。
- 「太陽にふれる月」、小説すばる(集英社)、2016年2月号~2017年4月号連載
- 「緋い川」、小説宝石(光文社)、2017年8月~2018年9月号連載
WEB文芸誌掲載
- 「キサブロー、帰る」、デジタル野性時代(角川書店)、2011年第7号
- 「ロスト・ヴィレッジ」、デジタル野性時代(角川書店)、2012年2月号
- 「僕が殺された日」、デジタル野性時代(角川書店)、2012年4月号
- 上記3編と書き下ろし「虐げられた男は逆襲する」「また逢う日まで」2編を加え、『前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理』刊行
- 「双樹、戦ぐ」、Web文芸マガジンCOLORFUL・カラフル(双葉社)、2020年6月10日分vol.288~2021年7月10日分vol.314連載
- 単行本化に際し、『南蛮の絆 多聞と龍之進』と改題
関連項目
編集外部リンク
編集- web KADOKAWA 「首挽村の殺人」 - 特設サイト
- ゲンダイネット - 日刊ゲンダイインタビュー
- 日本推理作家協会会報12月号
- 日刊ゲンダイDIGITAL BOOKSコラム 「奇妙な遺産」大村友貴美著[5]
- 光文社 小説宝石[レビュー]2019年8月号掲載 うちの主治医のいうことには 「緋い川」著者新刊エッセイ 大村友貴美[6]
- 河北新報オンラインニュース《東北の本棚》鉱山と貧困 医者の苦悩 ◎緋い川 大村友貴美著[7]
- 講談社【tree】『ミステリ作家が挑む 国境を越える歴史劇!/『南蛮の絆 多聞と龍之進』[1]
- 新潮社 Bookbang『戦国時代の日本とマカオを背景にした壮大な歴史小説』[2]
- 大村友貴美 (@omurayukimi) - X(旧Twitter)
脚注
編集- ^ a b c “会員名簿 大村友貴美|日本推理作家協会”. 日本推理作家協会. 2022年8月21日閲覧。
- ^ 首挽村の殺人. 株式会社KADOKAWA. (平成21年9月25日)
- ^ “編集委員に大村さん(釜石生まれ) 北の文学、斎藤さんは退任へ”. 岩手日報. 2020年6月23日閲覧。
- ^ “編集委員に大村さん(釜石生まれ) 北の文学、斎藤さんは退任へ”. (2020年6月23日)
- ^ “「奇妙な遺産」大村友貴美著”. 日刊ゲンダイDIGITAL. 2017年10月13日閲覧。
- ^ “[https://honsuki.jp/pickup/21275/ https://www.bookbang.jp/review/article/576082 うちの主治医のいうことには]”. 本が好き、bookbang. 2019年8月6日閲覧。
- ^ “鉱山と貧困 医者の苦悩”. 河北新報. 2019年8月18日閲覧。