アズマシャクナゲ(東石楠花[5]学名: Rhododendron degronianum)は、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属常緑低木。深山に生える。別名シャクナゲ[1][5]和名は、日本の関東地方の山地に多く自生し、東国の意味のアズマの名がある[5]

アズマシャクナゲ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: ツツジ目 Ericales
: ツツジ科 Ericaceae
: ツツジ属 Rhododendron
亜属 : シャクナゲ亜属
Hymenanthes (Blume) K.Koch)
: アズマシャクナゲ R. degronianum
学名
Rhododendron degronianum Carrière (1869)[1]
シノニム
和名
 アズマシャクナゲ(東石楠花)、
シャクナゲ[1]

分布と生育環境 編集

日本の本州のうち、東北地方岩手県宮城県山形県以南、関東地方中部地方長野県静岡県までの範囲に分布し、亜高山帯の林内、稜線上などに自生する[5]。庭木や鉢植えなどにしても植えられる[5]

特徴 編集

常緑広葉樹低木で、樹高は1 - 3メートル (m) ほどになる[5][6]樹皮は灰褐色で、古くなると不規則にはがれる[6]。若い枝は、黄褐色の毛が密に生える[6]は革質で常緑、互生し、長さ1 - 2.5センチメートル (cm) の葉柄がある。葉の形は長楕円状披針形で先端はとがり、基部はくさび形で葉柄に流れ、葉身の長さ8 - 15 cm、幅1.5 - 3.5 cm[5]。葉の表面は無毛で光沢があり、裏面は灰褐色や褐色の綿状の毛が密生する[5][6]。葉の大きさは、ホンシャクナゲよりもやや小さく、葉裏の毛は厚く密着する[6]。冬の雪や寒さの中では、葉を垂らす[6]

花期は5 - 6月で[5]、枝先に総状花序を伸ばし、淡紅色のを5 - 10個つける[5]。花は直径40 - 50ミリメートル (mm) の漏斗状鐘形で、花冠の先は5裂して広く開く[5]。花色は紅紫色で、蕾のうちは色が濃いが、開花するにつれ薄くなる。雄蕊は10本ある[5]。母種のツクシシャクナゲは花冠は7裂、雄蕊が14個であるが、アズマシャクナゲは花冠は5裂し、雄蕊は10個ある点で異なる[5]果実は裂開して、冬も枝に残る[6]

花芽は枝先につき、広楕円形で多数の芽鱗に包まれている[6]。はじめ総苞に包まれているが、総苞片は落ちやすい[6]葉芽は葉の付け根につき、小さい[6]。葉痕は心形や半円形で、維管束痕が5 - 7個つく[6]

 
雁戸山(蔵王山系北部、2021年5月)

脚注 編集

参考文献 編集

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、73頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、34頁。ISBN 978-4-05-403844-8