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オウレンとはキンポウゲ科オウレン属植物の一種。学名Coptis japonica常緑多年草で、根茎漢方薬としても使われる。

オウレン
Coptis japonica var. anemonifolia 6.JPG
 キクバオウレン(両性花)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: オウレン属 Coptis
: オウレン C. japonica
学名
Coptis japonica (Thunb.) Makino(広義)
和名
オウレン(黄連)

目次

特徴編集

北海道南西部、本州四国の山地の木陰に自生する小形の多年草[1]。針葉樹林に多く、杉植林などにもよく出現するという。市販ものは栽培品である[1]。黄褐色の根茎が伸びて連なるところから中国のシナオウレンを「黄連」といい、日本のものも同様に名付けられている[1][2]

草丈は20センチメートル内外で、地中に伸びる根茎の表面は黄褐色で内部は鮮やかな黄色をしている[1]。根茎から黄色い細根を多数出し、早春の2 - 3月頃に花茎を伸ばす[1]

は根出状に出て、葉質はやや硬くてつやがある。葉の形には変異が多く、変種が認められる。標準のものは1回3出複葉で、小葉は卵形で荒い鋸歯があり、3出状に裂けることもある。

葉を抜いて立つ高さ15 - 40センチメートルほどの花茎が上の方で3つほどに枝分かれして、そのそれぞれの先に3月から4月ごろ、直径およそ1センチメートルほどの白くて小さな花を咲かせる[3]花茎の葉は目立たない。5枚の細長い片は白くて花弁状であり、花弁はさじ形でより小さくて数が多い。

雌雄異株。雄花には雄蕊が多数あり、両性花には雄蕊と数個の心皮があり、心皮は花後に柄が伸びて、果実は車輪状の軸の先に袋がついたような形になる。先端部分は口が開いている。これは雌蘂の段階から開いているもので、果実時に裂開するものではない。

種内変異編集

葉の形に変異が多く、変種名もそれにちなんで与えられている。

  • オウレン(広義) Coptis japonica (Thunb.) Makino
    • キクバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. anemonifolia (Siebold et Zucc.) H.Ohba:オウレンとも。1回3出複葉。
      • シノニム - Coptis japonica (Thunb.) Makino var. japonica auct. non Makino
      • 中国植物名 - 日本黄連(にほんおうれん)[2]
    • セリバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake :2回3出複葉。本州と四国に分布。
      • シノニム - Coptis japonica (Thunb.) Makino var. dissecta (Yatabe) Nakai ex Satake
      • 中国植物名 - 深裂黄連(しんれつおうれん)[2]
    • コセリバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var. japonica :3回3出複葉。本州太平洋側に分布。
      • シノニム - Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake

利用編集

薬用植物のため栽培もされる。播種より収穫するまでに5 - 10年ほどかかり、栽培技術も要する[1]。薬局や薬店などで根茎(黄連)か、粉末(日本薬局方・黄連末)として販売もされている[1]。根はなかなか伸びず、10年でせいぜい5 - 6センチメートルである[2]

生薬編集

 
黄連 (生薬、丹波市立薬草薬樹公園)2010年5月撮影)

本種、および同属のC. chinensisC. deltoideaC. deltoideaの根茎を乾燥させたものは黄連(オウレン)という生薬であり、秋に根を掘りあげて細根を焼いて取り除いた根茎を日干し乾燥させたものである[1][2]アルカロイドを約7%前後含んでおり、その主な成分は、抗菌作用や抗炎症作用等があるベルベリンのほか、パルマチンコプテシンオーレニンマグノフィリンなどである[1]。ベルベリンは苦味成分で、口の中の苦味で味覚神経を刺激し、唾液や胃液の分泌を活性化し、胃粘膜にも直接作用する効果がある[1]

ベルベリンが胃や腸に働きかけて消化促進、食欲増進などに役立ち、腹痛や腹下りを止めたりする苦味健胃、整腸薬に利用される[1]。また民間では、胃痛下痢結膜炎はやり目口内炎高血圧予防、鼻血に効果があり、体の熱を冷ます性質がある薬草として知られ[2]、心のイライラを鎮めたりする働きもあると言われている[4]

漢方医学においては ほかの生薬と組み合わせて、黄連湯黄連解毒湯三黄丸三黄瀉心湯温清飲などの漢方方剤に使われる。

食欲不振、消化不良、下痢などの効果のために、黄連末は1回量0.2 - 0.5グラムを毎食後に服用するか、黄連(根茎)であれば1日量3 - 5グラムを約600 ccの水で半量になるまで煎じ、食後に3回に分けて服用される[1]。結膜炎やただれ目には、黄連末2グラムを湯でよくかき混ぜて冷ました液を、ガーゼに含ませてから洗眼に使用することも出来る[1]。根茎の場合は、1日量5グラムを約400グラムの水から煎じて半分になったら濾過液にして洗浄に利用できる[1]。熱を冷ます効果から、胃腸を温める辛い食材を摂ると胃痛が悪化する症状の人や、口内炎で熱くて辛いものがしみる人、のぼせが強く赤ら顔や鼻血の人によいとされている一方で、冷え症の人には服用しないほうがよいと言われている[2]

その他編集

「オウレン」は仲春啓蟄〔3月6日頃〕から清明の前日〔4月4日頃〕まで)の季語とされている[5]

脚注編集

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 田中孝治 1995.
  2. ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995.
  3. ^ "オウレンとは|ほぼ普通の植物図鑑 ヤサシイエンゲイ". (京都けえ園芸企画舎). 2016年2月24日閲覧。
  4. ^ "オウレン(オウレン)タケダの生薬・漢方薬辞典". (武田薬品協業株式会社). 2016年2月24日閲覧。
  5. ^ "黄連|季語と歳時記". (NPO法人季語と歳時記の会). 2016年2月24日閲覧。

参考文献編集

  • 貝津好孝 『日本の薬草』 小学館〈フィールド・ガイドシリーズ 16〉、1995年7月20日、17頁。ISBN 4-09-208016-6
  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本II 離弁花類』平凡社、1982、87頁。
  • 田中孝治 『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』 講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、71頁。ISBN 4-06-195372-9
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  • 黄連|季語と歳時記(NPO法人季語と歳時記の会)
  • オウレンとは|ほぼ普通の植物図鑑 ヤサシイエンゲイ(京都けえ園芸企画舎 )

関連項目編集

外部リンク編集