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オートパイロット

オートパイロット英語: autopilot)あるいは自動操縦(じどうそうじゅう)とは、乗り物を、人の手によってではなく、機械装置により自動的に操縦する装置・システムを指す名称である。

目次

概要編集

乗り物を自動で操縦する装置・システムがオートパイロットである。乗り物の進行方向や速度などを、人の手に代わって、機械が制御する。オートパイロットと呼ばれるシステムは旅客機を始めとした航空機に特によく導入されている他、船舶自動車にも導入されている。

技術的ハードル編集

オートパイロット機器は状況が安定している限りにおいて、信頼に値する精度で機能しつづける事が可能な機器である(逆に信頼に値しなければ利用されない)。

周囲の状況によって難易度が異なり、航空機は全て航空管制に従って決められた航路飛行し過密度も低いため、離陸して空港から離れてしまえば衝突の危険は非常に低くなることから、長距離路線を飛ぶ旅客機には早い段階から進んできた。また船舶も事前に申請した目的地へ規定の航路を進み、頻繁な進路変更も無いため外洋を航行する貨物船などに導入が進んでいる。

一方で公道では状況がめまぐるしく変化するため、自動車の運転を機械装置に代行させるには周囲の状況を素早く認識する技術が必要となり、完全な自動運転は開発が行われている段階である。

現代のオートパイロットでは二重三重の安全装置も組み込まれ、人的なミスに対しても警告を発する信頼性設計で危険を回避するように設計されている。これらでは安全確保を最優先とし、矛盾する状況ではより安全性の高い回避行動を取るように設計されている。

航空機編集

オートパイロットは旅客機をはじめとした航空機に導入されており、現代の航空機の操縦システムの上では、離陸することは人間(パイロット)が関わることが必要でありオートパイロットではできないが、離陸後 安全高度に達した後に、次の空港に向かうまでの巡航アプローチ(空港への進入)・着陸など、ほとんどの段階で用いることができる自動操縦システムが用意されている。

これらは、慣性誘導装置や外部のマーカー(目印となる電波発信器)などから目的地などに対する自身の相対位置を算出し、予定の移動経路との誤差を自動的に補正するものなどである。単純なものでは、所定の方向(方角)と高度のみを維持し、パイロットの負担を軽減させるなどしている。高度なものでは、FMS(飛行管理装置)に入力された飛行計画に従った方角・高度の自動的な操作が可能であるだけでなく、推進力(速度)の調整も行われる。オートパイロットによる推進力の調整機構はオートスロットル (en:Autothrottle)と呼ばれる[1]。現代の航空機関士を廃した2人乗務のコックピットでは、問題発生時にはオートパイロットに操縦を任せてパイロットが問題解決にあたるのが基本となっている。

航空機のオートパイロットの自律システムは、方位磁石のようなものからセンサージャイロコンパスといった自身の向きや状態・周囲の状況を判定する機能と、操縦装置のコントロールを組み合わせたものだが、さらにはGPS衛星の電波をキャッチして自身の現在位置を測定、予定経路との誤差から、どのように移動すればその誤差を修正できるかを判断するものも登場している。前述の相対位置の割り出し機構と併せて、移動経路を予め入力しておけば、複数経路を巡回して行くことも可能である。ただ、同種機構の操作ミスないし作動不良[2]から、大韓航空機撃墜事件のように悲劇的な事件に発展したケースもあり、こういった機器の過信には絶えず警鐘が鳴らされている。

航空機のオートパイロットのうち簡易なものは、ただ所定の条件下でのみ適切に機能する性質のものであるため、積極的に用いられるのは状況が安定している巡航時の進路誘導においてのみである。その一方で、高度なオートパイロット機能を有する航空機もあり、航空機の運航のほとんどをオートパイロットに任せることも可能となっている。ただし、離陸だけは2018年現在でも手動で行っている。着陸の自動操縦は、計器着陸装置(ILS)を用いて気象条件・パイロットの資格などが整った状況で行う[3]

以上の事情も含め航空機の場合、ある一定高度以上に上昇してしまえば、障害物に突き当たったりする確率は一挙に低下するし、また状況も比較的安定しているため、オートパイロットの採用も進んでいる。しかし、雲の下など地表障害物の危険が予期される空域では、オートパイロットの運用は、それら機器の機能如何では危険である。また、何らかの事情によってオートパイロットが機能しなくなると、結果として手動での操縦ができずに墜落するという事故が多発している。(エールフランス447便墜落事故アダム航空574便墜落事故中華航空140便墜落事故)

船舶編集

大型船舶では入力した航路を辿るオートパイロットが普及している。大洋に出てしまえば障害物に突き当たる確率は低下し、運航状況も比較的安定しているため難易度は低いが障害物(流氷岩礁など)がある海域ではあえて手動による操舵を行っている。また多数の船舶が行き交う港や海峡などでは水先人による案内も行われている。

接岸に際しては、波や潮の状況や貨物の積載量も影響するため、補助的なシステムにとどまっているが、コスト面でのメリットも少ないため積極的な開発が行われていない。

セーリング・ボート(ヨット)のクルージングにおいてもオートパイロット装置が用いられることは多い。特にシングルハンド(一人)での航海時には、睡眠時間確保などの観点から必要度は高い。セイリングボートでも他の船舶同様に操縦者は自船の周囲を見張る義務があるが、乗り手は睡眠をとったり炊事・食事をする必要もあり、24時間舵を握り続けるわけにはいかないので、近辺に船舶が無い比較的安全だと判断される海域などでオートパイロットを用いてそうしたことをする時間を確保することになる(レーダーを装備している船では、安全のため、その自動警報のスイッチを入れるなどしておく)。

セーリング・クルーザー用としては風に対する船の向きを一定に保つように作用するウインドベーン(英語版)と呼ばれる機械式オートパイロットが古くから利用されている。またコンピュータがGPSのデータを用いて自船の針路の変化を計算し、棒状の部分を電動でたえず伸び縮みさせることでティラー・バー(棒)を操作するティラーパイロットもあり、針路を数字で指定することができる。

自動車編集

自動運転の自動車はロボットカーとも呼ばれている。

2014年時点で市販化されている機能としてはクルーズコントロール衝突被害軽減ブレーキがあったが、あくまでドライバーの支援という域を出ていなかった。その段階で、自動車のオートパイロットに関して言えば、技術的ハードルはまだ高いとの意見も一部にはあった。鉱山用車両など一般的な公道以外で走行する車両のものでは実用化されていた。

2016年に前後[要出典]して市販車レベルで自動運転の機能を備えた乗用車が発売されたり、また実社会で試験的に運用される旅客・輸送を担う車両も登場してはいるものの、市販の乗用車では非常時の信頼性の問題もあって[要出典]ドライバーの労力軽減のための補助機能に限定されたもの(レベル2:部分自動運転)となっており、また試験運用されている高レベル自動運転車も緊急時には状況を判断して非常停止させるオペレーターが乗るなどしているが[要出典]、そのどちらも交通事故に巻き込まれたり起こしたりといったニュースも報じられるなど、2017年時点でも改良のための努力が行われている段階である[要出典]。その一方で衝突被害軽減ブレーキのような安全装置も改良が続けられており[要出典]、より積極的に誤った操作による暴走を防止する乗用車も発売されている[要出典]

鉄道編集

敷設された軌道上を走行ことから制御する項目は事実上速度のみであり、技術的難易度が比較的低く、1970年代以降自動列車運転装置(ATO)による運行が実現している。

補助編集

オートパイロットの技術を応用し、姿勢や進路の補正する機能が登場している。

航空機では手動操縦時にも姿勢が一定以上の角度を超えると安全な姿勢に戻す、空間識失調時にボタンを押すと姿勢を水平にする、低酸素症になりやすい高高度において一定間隔でメッセージを表示しボタンを押さないと安全な高度まで降下するなど、操縦のアシストや安全装置として利用する例もあり、大型旅客機のみならずシーラス SR20などの高級プライベート機でも採用されている。着陸モード時にボタンを押すだけで着陸復行の動作(加速しつつ上昇する)を行う機能は大型旅客機に多く採用されている。マルチコプターでは操作しなくても機体を静止させるために利用されている。

自動車ではアクセルを一定に保つクルーズコントロールや車間制御やブレーキ制御も行うアダプティブクルーズコントロール、衝突被害軽減ブレーキが実用化されている。

参考文献編集

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 旅客機の構造#オートスロットル参照。
  2. ^ どちらであったかの結論は出ていないが
  3. ^ 特に、精度の高いILS CATIIIは悪天候での着陸には欠かせない技術であり、パイロットの補助の範疇を超えるものである。

リンク編集