クローバー (玩具メーカー)

株式会社 クローバーは、1973年から1983年まで東京都葛飾区に存在した、日本の玩具メーカーである。『機動戦士ガンダム』の放送当時のメインスポンサーとして知られている。

沿革について編集

ツクダの営業部長だった小松志千郎が独立し、1973年に創業。本社は、1982年当時、東京都葛飾区立石5丁目16番3号(※近隣には、同業者であるトミー(現在のタカラトミー)の本社社屋も所在)にあった。創業当初から1980年代前半にかけ、アニメ関連や自社開発のキャラクターグッズ・文具を中心に商品販売を展開した。主力商品は、当初は『やわらかベビー』などの女児向け玩具で、1977年以降は「超合金」から続く亜鉛合金ダイキャストを含むロボット関連の玩具。なお、「超合金」を扱っているポピー(1983年、親会社・バンダイに吸収合併)が女児向けキャラクターとして『キャンディ・キャンディ』を売り出した時期にクローバーは合金ロボット玩具を売り出しており、両者は同時期にお互い相手の得意分野に進出している。

1982年、女児向けのキャラクターを扱う子会社・ポプラを設立。

業績不振から1983年8月、不渡りを出して事業停止、倒産に至った。負債総額は、15億円強に上った(帝国データバンクの調査による)。

後年の書籍で「ガンダムブーム」の恩恵に与れなかったように言われ、倒産の原因は「ガンダムブームに乗れなかったため」とされる事も多い。しかし実際には、『ガンダム』の放送期間である1979年度の間に、売上および利益がほぼ倍増している。これが『ガンダム』の玩具によるものかどうかは不明だが、少なくとも『ガンダム』によって経営が傾いたわけではないようである。またブーム時にはガンダムのパネロックを5000万個販売するなど好調で、1981年には過去最高の年商を達成している。

むしろブームの退潮と、それを打開するために参加した『聖戦士ダンバイン』、『亜空大作戦スラングル』の玩具売り上げが振るわなかった事が原因のようである。

日本サンライズとの関わりについて編集

スポンサーとしては参加していないものの『山ねずみロッキーチャック』で創業後初めてテレビアニメと関わった後、1977年に、東北新社の傘下から独立して間もない頃の日本サンライズ(現:サンライズ)とタッグを組んでアニメキャラクター玩具への進出に本腰を入れ始めた。同社制作のテレビアニメ第1作である『無敵超人ザンボット3』と続く第2作の『無敵鋼人ダイターン3』には企画の段階から関わり、これらに登場する「ザンボエース」「ダイターン3」などは、商品化先行でデザインされた。

『機動戦士ガンダム』の制作にも企画段階から関与しており、メカ設定の中には「Gアーマー」など、クローバーの意向で決定されたものもある。クローバーの狙いは、それまでの「剣術ごっこ」だった子供番組ではなく「戦闘ごっこ」の内容にする事で小学校高学年の子供を購買層に取り込む事であったようだ。当時の子供番組は低年齢化していて、関連玩具の購買層が減ってゆく傾向にあり、その事に対する危機感が『ガンダム』を生んだ。しかしそれまでの箱組みロボットとは違ったデザインのガンダムは、主役メカとしては玩具売り上げが振るわず、同作は予定より2ヶ月早く放送を終了している。小学校高学年でも難しい内容だった事に加えて、前2作(『ザンボット3』と『ダイターン3』)は関東地方で午後6時台だった放送時間が5時台に変更された事なども打ち切りの原因だったと言える。ただし、Gアーマーの商品化である「ガンダムDX合体セット」は売り上げが好調であった事から、クローバーにより打ち切りの撤回が打診されているようだ。

「スーパーロボット路線」に回帰した後番組の『無敵ロボ トライダーG7』では玩具の売り上げが好調で、その後番組の『最強ロボ ダイオージャ』も、『トライダーG7』と同様の路線となった。

そして、「ガンプラブーム」の再来を狙ってリアル・ロボット路線となった『戦闘メカ ザブングル』以降、“名古屋テレビ&日本サンライズのロボットアニメ枠”にはバンダイもスポンサーとして加わった。クローバー社の玩具と共に同社のプラモデルも発売されたが、同枠の主力商品は次第にそちらへとシフトしてゆく。かつては学童がメインだった購買層の動向も変化し、変形合体を中心とした出来合いの玩具の人気は低迷した。クローバーの業績は伸び悩み、結果、『聖戦士ダンバイン』の放送中に倒産してしまった。

そのため、ダンバインの後継メカである「ビルバイン」の玩具は、金型を引き継いで急遽スポンサーとなったトミー(現:タカラトミー)から発売されている。

ガンダム等の玩具について編集

放送当初に同社が発売したガンダム関連の合金玩具の売れ行きは芳しくなかったようで、番組の放送短縮の一因となっている。しかし番組の放送短縮が決まっていた年末には好調に売れるようになっており、短縮を取りやめる意見もあった[1]

当時の合金玩具としては珍しくないことだが、クローバーのガンダムもアニメでは白い部位が銀色になっている[2]など玩具独自のアレンジによりアニメ設定と差異のあるデザインとなっており、アニメに登場しない武器も付属している(後述)。

ガンダムの玩具は『ガンダム』が映画化された頃にも再発売されており、ある程度劇中に近づけた仕様のものや、箱にリアルな絵が描かれたのものもあったという。

『ザブングル』や『ダンバイン』『スラングル』の頃には、かなり設定に忠実な玩具を製造していたという。

機動戦士ガンダム DX合体セット編集

1979年に年末商戦向け新製品として定価5800円で発売された。ガンダムとGファイターのセット。ガンダムは、設定どおりAパーツとBパーツとコアファイターで構成され、合体分離可能。Gファイターは、「G・カプセル」、「G・ウィング」、「G・キャタピラ」、「ビーム・キャノン」より構成される。Gアーマー用に「ガンダム・シールド」が2枚付属する。ガンダム本体のデザインは準決定稿を基にしており、肩の形状の違いやアンクルガードのスリット(シールによる再現)や下腕にくびれがあるなど、準決定稿をリファインした、後のプロトタイプガンダムに似ている。ガンダム本体の大きさは、全長18cmで、1/100スケールである。他にもガンダム単体のみの「ガンダム合体セット」も同時発売された。こちらにもGアーマーを前提として「ガンダム・シールド」が2枚付属している。

アニメに登場しない武器編集

当時の箱の説明書きから、

1.ビームライフルのデザインがガンキャノンのそれで、名称が「ラッシュ・ライフル」。
2.オリジナルのロケット砲が付属しており、名称が「ハイパー・バズーカ砲」。その代わりに、クローバー版ガンダムにはアニメ版の「ハイパーバズーカ」は付いていない。この武器は胴体右上面に固定できる。後発のバンダイの「1/100 RX-78 ガンダム」にも同様の武器が付属している。なお、こちらにはアニメ版の「ハイパーバズーカ」も付いている。この武器のデザインは、実在する兵器である、「M47ドラゴン 歩兵携行式対戦車ミサイル」や「FGM-148 ジャベリン 歩兵携行式多目的ミサイル」に似ている。
3.オリジナルの槍斧が付属しており、名称が「ソード・ジャベリン」。後にフルアーマー・ユニコーンガンダム専用装備「ハイパー・ビーム・ジャベリン」として公式設定に採用された。
4.手首がばね仕掛けで飛ぶ。名称が「G(ガンダム)・パンチ」。
5.コアファイターの機首が分離してミサイルになる。名称不明。コアブロックに変形させるには機首と尾翼と車輪を外す。この機首のデザインが後発のバンダイの「1/100 RX-78 ガンダム」のコアファイターにも引き継がれる(バンダイ版が機首は伸縮するがキャノピーは動かないのはそのため)。

機動戦士ガンダム コンビネーションジュニア編集

コアファイターとガンダムとガンキャノンとガンタンクの4体セット。AパーツとBパーツの組み合わせにより、9種類の戦士を作れる。大きさはほぼ1/144スケール。ジュニアは廉価版のことだが、この商品に上位版のデラックス(DX)は存在しない。

関連玩具を販売した作品編集

カルピス劇場
名古屋テレビ日本サンライズ制作枠のロボットアニメ
国際映画社作品
漫画
その他
子会社・ポプラが商品化した作品

関連会社編集

  • バンダイ - 『ダンバイン』後半のメインスポンサー。
  • アオシマ - 『ザンボット3』〜『ダイオージャ』、『アクロバンチ』、『スラングル』のプラモデルを販売したメーカー。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ キネマ旬報社『富野由悠季善仕事』145ページより。放送当時の名古屋テレビのプロデューサーだった関岡渉がスポンサーの都合による打ち切り決定の経緯、売上の上昇を受けて「このまま行こうかとも言ったんですが」と、当時の状況を振り返っている。
  2. ^ クローバー側が主人公機であるガンダムの色が主に白色であったことに反対したことも影響している。