グレード制

競馬および公営競技における競走の格付け制度のひとつ

グレード制(グレードせい)またはグループ制(グループせい)とは、競馬および公営競技における競走格付け制度の1つである。

解説 編集

グレード制は、1971年イギリスフランスアイルランド競馬で「グループ制」が導入されたことを受け、1973年アメリカ合衆国カナダ間で始められたもので、その後南アフリカ共和国1981年)などが続いた。

日本では1984年中央競馬が導入した[1]。以後、日本ではグレードを興行のブランド化する手法が他の公営競技でも広く受け入れられ、競艇オートレース競輪でも主要競走がグレードによって格付けされるようになっていった。

グレード制では、各競走をレベルや重要度の高い順にグレード1、グレード2、グレード3と格付けされ、G1、G2、G3(GI、GII、GIII)というように「『G』+数字(アラビア数字ローマ数字)」という形で略表記される。競馬ではグレード制における最高峰の格付けはグレード1であるが、競輪・競艇・オートレースではグレード1の上にそれぞれグランプリ(GP)、スペシャルグレードスーパーグレード(ともにSG)という最高位の格付けが設定されている。

それぞれのグレード制の詳細については以下を参照。

競馬における種々の格付けと互換性 編集

競馬においては、各国のレース主催者が独自に定めたグレードと、国際セリ名簿基準書の基準に準じた基準で格付けされる「国際グレード」が存在する。この「国際グレード」のもとでは国際的に格付けの互換性がある。また、ヨーロッパ諸国を中心に「グループ制」を採用している国もある(これらの国も障害競走ではグレード制で格付けを行っている)が、グレード制とは表記の違いしかなく、略表記も「G1」など数字の部分がアラビア数字かローマ数字かという違いしかない。国際セリ名簿基準書の基準に準じている限り完全に互換性を有しており、日本では両者を区別せず「国際グレード」と呼んでいる。

日本では、日本中央競馬会(JRA)が中央競馬に最初に導入したグレードは中央競馬独自のグレードで、2009年までは国際的な互換性がある競走は一部に過ぎなかった。2007年国際セリ名簿基準委員会の勧告に従い、国際グレードの付かない重賞レースは日本限定グレードの「Jpn」(「JpnI」など、ただしこの場合の読みは原則として「ジーワン」[2])表記となった。この「Jpn」表記の格付けと国際グレードは日本国内においては互換性がある。その後JRAは段階的にレースを国際化し、2010年には全重賞レースが国際グレードの格付けを得た。一方で地方競馬はJRAとも異なる各地方競馬独自の格付けをしていたが、1997年に「ダートグレード競走」としてJRA・各地方競馬間で統一的に定めた格付けを開始した。これらは国際グレードではなく2007年には同様に「Jpn」となったが、2011年東京大賞典がはじめて国際グレードを獲得している。

なお、2009年以降のグレードについては、日本グレード格付け管理委員会が各重賞競走についての格付けを管理・監督[3]しており、新設重賞である場合は原則として最低2年間はグレードの格付けがなされず、「新設重賞」[4]として扱われ、3年目以後に競走の規模や過去のレースレーティングを踏まえてグレードの格付けを行うが、新設重賞であっても過去に同じ条件、またはそれに準じる規模のオープン特別から重賞に格上げをする場合は、例外としてグレード格付けをなす場合もある。

その他 編集

テニスやゴルフなど 編集

テニスゴルフのツアーサーキットなど公営競技以外のプロスポーツでは、グレード(グループ)制という表現ではないが、「メジャー」と呼ばれる高い位置付けがされた大会が存在する。競馬で言うと、グレード1に相当する大会である。

陸上競技 編集

トラック・フィールドの最高峰としては毎年世界中を転戦するIAAFダイヤモンドリーグであり、隔年開催の世界選手権もある。

マラソンなどの世界のロードレースについて、国際陸上競技連盟2008年からゴールド・シルバー・ブロンズの3段階で格付けする制度が導入され、2020年には更に上位格となるプラチナが導入され4段階格付けとなっている。

脚注 編集

  1. ^ オークスで史上最長15分の発走遅延 放馬除外マニュアル通りだが…より円滑にルール見直し必要”. 日刊スポーツ (2022年6月7日). 2022年6月7日閲覧。
  2. ^ 一部のマスコミ関係者は「ジェーピーエヌ・ワン」などとアナウンスする場合もある
  3. ^ 平地重賞のグレード格付け方法を変更へ”. ラジオNIKKEI (2008年10月27日). 2023年9月12日閲覧。
  4. ^ 2年目以後は「重賞」