サナダムシ(真田虫)またはジョウチュウ(条虫、絛虫)は、条虫綱Cestoda)に分類される扁形動物の総称。成体はすべて人体の消化管中で生息する寄生虫である。テニア科裂頭条虫科などが含まれる。名前の由来は真田紐に似ていることによる。日本の古代には「寸白(すばく)」とよばれた。長いと10m以上になるものも存在する。

サナダムシ
サナダムシの成体
分類
: 動物界 Animalia
: 扁形動物門 Platyhelminthes
: 条虫綱 Cestoda
学名
Cestoda Rudolphi, 1808[1]
和名
サナダムシ[2]
ジョウチュウ[2]
英名
tape worms[2]
亜綱

特徴 編集

共通する特徴は、消化管を完全に欠くこと。体は扁平で上皮細胞がなく、体表はクチクラに覆われている。栄養分は体表から吸収する。また、宿主に固着するための吸盤などを外部に備える。雌雄同体で体内は雌雄の生殖器官のみが発達している。

大きくは単節条虫亜綱と多節条虫亜綱に分けられる。一般にサナダムシとしてイメージするのは後者である。単節条虫亜綱のものは節に分かれない扁平な体で、先端に吸盤などを持つ。多節条虫亜綱のものは、頭部とそれに続く片節からなる。頭部の先端はやや膨らみ、ここに吸盤や鉤など、宿主に固着するための構造が発達する。それに続く片節は、それぞれに生殖器が含まれており、当節から分裂によって形成され、成熟すると切り離される。これは一見では体節に見えるが、実際にはそれぞれの片節が個体であると見るのが正しく、分裂した個体がつながったまま成長し、成熟するにつれて離れてゆくのである。そのため、これをストロビラともいう。長く切り離されずに10mにも達するものもあれば、常に数節のみからなる数mm程度の種もある。切り離された片節は消化管に寄生するものであれば糞と共に排出され、体外で卵が孵化するものが多い。

生活史 編集

ヒトを最終宿主とするものには、有鉤条虫(ユウコウジョウチュウ、カギサナダ)、無鉤条虫(ムコウジョウチュウ、カギナシサナダ)、広節裂頭条虫(コウセツレットウジョウチュウ、ハバヒロミゾサナダ)などがある。

成虫の多くは脊椎動物の消化管に寄生する。多くは中間宿主を持ち、複数の宿主を乗り換えながら成長する。幼生が中間宿主体内で出芽などによって無性生殖する種もある。

危険な種 編集

サナダムシは、特にヒトに寄生するものは、あまりにも大きいため、健康に大きな影響があるといわれることが多かった。しかし、寄生者が終宿主となるべきヒトの健康に負担をかける行為は、自らの命を危険にさらすことであり、進化の過程でそのようなことが起こらない性質をある程度は身につけているとも考えられる。

危険なのは、ヒトを終宿主としない種が体内に入った場合である。腸内で成熟できない場合、幼生のままで体内を移動して本来寄生すべきでない部位に定着し、さまざまな弊害を出す場合がある(2015年には、2014年にヒトの脳内へ寄生した例が報告されている[3])。幼生が体内に寄生して内臓を圧迫・破壊したり(有鉤条虫など)、さらに無性生殖をする種(エキノコックスなど)では最悪の場合、死の危険がある。未だ成虫が知られていない、芽殖孤虫というのもある。

分類 編集

大部分は真正条虫亜綱に含まれる。それらの目の分類は主として頭部の構造による。

サナダムシを題材とした作品 編集

脚注 編集

  1. ^ 長澤和也「日本産淡水魚類に寄生する条虫類目録(1889-2015年)」『広島大学総合博物館研究報告』第7巻、広島大学総合博物館、2015年、89–115頁。 
  2. ^ a b c 田近謙一「扁形動物門」、白山義久 編『バイオディバーシティ・シリーズ 5 無脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、2000年、裳華房、118–120頁。
  3. ^ 激しい頭痛の原因は脳に寄生したサナダムシ」『AFPBB News』、2015年11月7日。2020年7月19日閲覧。
  4. ^ 新田理人・松本優・浦部美佐子「和歌山県産アオリイカ(頭足綱:ヤリイカ科)の鰓に寄生していたキュウカジョウチュウ(吸花条虫)属の1種Anthobothrium sp.(条虫綱:“四葉目”)の幼虫」『タクサ:日本動物分類学会誌』第55巻、日本動物分類学会、2023年、9–14頁。 

参考文献 編集

  • 内田亨、『増補 動物系統分類の基礎』、1974、北隆館
  • 白山義久編集:岩槻邦男・馬渡峻輔監修『無脊椎動物の多様性と系統』、2000、裳華房

関連項目 編集

外部リンク 編集