サン・マテウス-ジャバクアラ都市間回廊

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サン・マテウス-ジャバクアラ都市間回廊ポルトガル語: Corredor Metropolitano São Mateus - Jabaquara)、通称「ABD都市間回廊(Corredor Metropolitano ABD)」は、ブラジル大サンパウロ都市圏に存在するバス・ラピッド・トランジット(BRT)トロリーバス)の路線網。都市圏の中心地であるサンパウロサン・マテウス地区ポルトガル語版ジャバクアラ地区ポルトガル語版と周辺都市を結ぶ電化路線で、愛称の「ABD」は路線が経由するサントアンドレ(Santo André)、サンベルナルド・ド・カンポ(São Bernardo do Campo), ディアデマポルトガル語版Diadema)の三都市に由来する。運営は公営企業のサンパウロ都市交通会社ポルトガル語版(Empresa Metropolitana de Transportes Urbanos de São Paulo、EMTU)から委託されたネクスト・モビリダード(Next Mobilidade)によって行われる[1][2][3][4][5]

サン・マテウス-ジャバクアラ都市間回廊(ABD回廊)で使用されている連接式トロリーバス2021年撮影)

歴史

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サンパウロと周辺都市を結ぶ、道路と分離された専用レーンを走るトロリーバス(BRT)路線を建設する計画は1970年代から検討が始まっていたが、石油消費量の削減や大気汚染の抑制、公共交通網の改善、国内産業の活性化を目的に本格的に計画が動き出したのは、サンパウロ州の州令として発表された1983年の事であった。以降は順次工事が進められ、まず1988年12月にフェラソポリス(Ferrazópolis)とサン・テマウス地区を結ぶ路線が開通し、翌1990年10月に計画されていた残りの区間も営業運転を開始した。更に2010年7月にはディアデマ(Diadema)から分岐し、サンパウロのブルックリン・ノヴォポルトガル語版(Brooklin Novo)にある通勤列車サンパウロ都市圏鉄道会社)のベリーニ駅ポルトガル語版(Berrini)を結ぶ支線が開通した。ただしこの時点では全区間の電化は行われておらず、一部区間ではトロリーバス車両ではなくディーゼルバスによる運用が行われており、非電化のままであったピラポリーニャ(Piraporinha) - ジャバクアラ地区の間の電化工事が完了したのは2011年となった。また、同時期には路線網の架線を始めとした既存の施設の大規模な改修工事や変電所、整流装置の整備が実施されている[2][6][7][8][9][10][11]

これらの路線の運営組織については、1997年以降サンパウロ都市交通会社(ETMU)から委託される形でメトラポルトガル語版(Metra)による運営が行われ、以降は同社による維持管理や更新工事が行われた。その後、2021年9月からは同社に代わりネクスト・モビリダード(Next Mobilidade)が運営による運営が実施されている[2][3][4][8][9][12]

系統

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2024年8月時点で、サン・マテウス-ジャバグアラ都市間回廊(ABD都市間回廊)を経由する系統は以下の通りである[5][13][14]

系統番号 起点 終点 参考・備考
284 Terminal Metropolitano São Mateus Terminal Metropolitano Santo André Oeste
285 Terminal Metropolitano São Mateus Terminal Metropolitano Ferrazópolis
286 Terminal Metropolitano Santo André Oeste Terminal Metropolitano Ferrazópolis
287 Terminal Metropolitano Santo André Oeste Terminal Metropolitano Diadema
287PIR Terminal Metropolitano Santo André Oeste Terminal Metropolitano Piraporinha
288 Terminal Metropolitano Ferrazópolis Terminal Metropolitano Jabaquara
288PIR Terminal Metropolitano Ferrazópolis Terminal Metropolitano Piraporinha
289 Terminal Metropolitano Piraporinha Terminal Metropolitano Jabaquara
290 Terminal Metropolitano Diadema Terminal Metropolitano Jabaquara
376 Terminal Metropolitano Diadema Berrini

車両

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サン・マテウス-ジャバグアラ都市間回廊(ABD都市間回廊)では、2023年時点でノンステップ式トロリーバス車両による運行が行われている他、一部の便にはディーゼルバスやハイブリッドバス電気バスが用いられる事もある。ただし同年以降一部のノンステップトロリーバス(7201 - 7221)が駆動装置の不備により運用から離脱しており、代替としてディーゼルバスを改造した連接式トロリーバスが投入される事になっている[15][16][17]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ Corredor Metropolitano ABD (São Mateus - Jabaquara)”. 2024年8月21日閲覧。
  2. ^ a b c Histórico”. 2024年8月21日閲覧。
  3. ^ a b Dirk Budach (2023年6月27日). “Electric BRT in São Paulo: Which model to choose?”. Urban Transport Magazine. 2024年8月21日閲覧。
  4. ^ a b Renato Lobo (2021年9月25日). “10 linhas da EMTU serão assumidas pela Next Mobilidade”. ViaTrolebus. 2024年8月21日閲覧。
  5. ^ a b Mapa do Traçado”. 2024年8月21日閲覧。
  6. ^ Roberto Bartolomeu Berkes, Carlos Alberto Pinto Coecho & Caroline Claudino Lage 2013, p. 110.
  7. ^ Roberto Bartolomeu Berkes, Carlos Alberto Pinto Coecho & Caroline Claudino Lage 2013, p. 111.
  8. ^ a b Roberto Bartolomeu Berkes, Carlos Alberto Pinto Coecho & Caroline Claudino Lage 2013, p. 112.
  9. ^ a b Roberto Bartolomeu Berkes, Carlos Alberto Pinto Coecho & Caroline Claudino Lage 2013, p. 113.
  10. ^ Renato Lobo (2014年10月14日). “São Paulo teria 280 km de corredores de trólebus”. Via Trolebus. 2024年8月21日閲覧。
  11. ^ Projetos”. 2024年8月21日閲覧。
  12. ^ Adamo Bazani (2021年5月14日). “Next Mobilidade será o nome da concessionária do Corredor ABD, BRT ABC e de todas as linhas metropolitanas da EMTU no ABC”. Diário do Transporte. 2024年8月21日閲覧。
  13. ^ Linhas do Corredor Metropolitano ABD”. 2024年8月21日閲覧。
  14. ^ Linhas e horários”. Next Mobilidade. 2024年8月21日閲覧。
  15. ^ Frotas”. Metra Sistema Metropolitano de Transportes LTDA. 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月21日閲覧。
  16. ^ Erik Buch (2024年5月27日). “Sao Paulo: New “e-Trol” buses for the suburban BRT trolleybus system”. Urban Transport Magazine. 2024年8月21日閲覧。
  17. ^ Nossa frota”. Next Mobilidade. 2024年8月21日閲覧。

参考資料

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外部リンク

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