スビ礁飛行場

南沙諸島のスビ礁に中国が建設した飛行場

スビ礁飛行場中国語: 渚碧礁机场)は、南沙諸島スビ礁を埋め立てた人工島に中華人民共和国が建設した飛行場。スビ礁は中華人民共和国中華民国(台湾)、ベトナムによって領有権が主張されており、中華人民共和国が実効支配を行っている。

スビ礁飛行場
渚碧礁机场
2021年撮影の航空写真
IATA: noneICAO: none
概要
空港種別軍民共用
所有/運営者中国人民解放軍
所在地中華人民共和国の旗中華人民共和国海南省三沙市(実効支配)
中華民国の旗 中華民国(領有権主張)
 ベトナム(領有権主張)
供給都市スビ礁
座標北緯10度55分32.5秒 西経114度4分18.6秒 / 北緯10.925694度 西経114.071833度 / 10.925694; -114.071833座標: 北緯10度55分32.5秒 西経114度4分18.6秒 / 北緯10.925694度 西経114.071833度 / 10.925694; -114.071833
地図
スビ礁飛行場の位置(南シナ海内)
スビ礁飛行場
スビ礁飛行場
海南省での位置
滑走路
方向 全長 表面
ft m
03/21 10,662 3,250 コンクリート

名称 編集

中国のメディアでは「渚碧礁新机场」(スビ礁新空港)「渚碧礁新建机场」(スビ礁に新しく建設された飛行場)などと表記される[1]

スビ礁には飛行場の他に都市がなく、南沙諸島問題に関連して取り上げられることから、日本語の文献やメディアにおいてこの飛行場が言及される際は単に「スビ礁」「スビ礁の飛行場(滑走路)」と呼称される[2][3]

歴史 編集

中国の海洋進出 編集

当初、中国は飛行場の建設は商業目的(民間用)であるとして軍事化の意図を否定していた[6][7]。また、中国メディアも「南シナ海は国際線が混雑する空域であり、このような飛行場が建設されることで航空気象情報や緊急着陸場所などの提供が可能となり、国際社会に寄与する」と報じていた[1]

しかし、実際には、Y-20など中国人民解放軍の輸送機が離着陸しているほか[8]、軍用格納庫や電子妨害装置、砲台、レーダー・通信施設、ミサイルシェルターなどの軍事装備や施設が設置されており[7][6]、実態は軍事基地であることが指摘されていた。

2017年には中国政府系メディアの中国南海網が「南シナ海の主権範囲内での中国の必要な軍事防衛を強化するため、中国は、南シナ海島礁の面積を合理的に拡大した」と報道し、軍事利用を認める形となった[6]。また、2021年9月には中国人民解放軍海軍南海艦隊が、スビ礁を含む人工島の滑走路を利用して空輸作戦を行ったことを公表した。S.ラジャラトナム国際関係研究所のコリン・コーは「中国人民解放軍が南シナ海一帯の広大な海域で圧倒的な軍事力を発揮できることを見せつけようとしたのは間違いない」とした上で、人工島の滑走路が大型輸送機による空輸任務に対応できるなら、H-6爆撃機の運用にも対応できるだろうと見解を述べている[8]

施設 編集

幅60メートル (200 ft)、長さ3,250メートル (10,660 ft)の滑走路が1本ある。

脚注 編集

  1. ^ a b c 中国南沙美济礁渚碧礁新建机场试飞成功” (2016年7月13日). 2023年4月2日閲覧。
  2. ^ 中国民用航空局、フライトチェッカーでミスチーフ礁とスビ礁に検査飛行”. Flyteamニュース (2016年7月13日). 2023年4月2日閲覧。
  3. ^ 日本国際問題研究所. “米国議会への年次報告書 中華人民共和国に関わる軍事・安全保障上の展開2017”. 2023年4月2日閲覧。
  4. ^ 中国南沙群岛美济礁、渚碧礁新机场校验飞行成功”. news.ifeng.com. 2018年11月8日閲覧。
  5. ^ 中国南沙美济礁渚碧礁新建机场试飞成功” (2016年7月13日). 2023年11月19日閲覧。
  6. ^ a b c d 南シナ海情勢(中国による地形埋立・関係国の動向)”. 防衛省 (2023年2月). 2023年4月3日閲覧。
  7. ^ a b 第304回国際政経懇話会メモ「北朝鮮問題の陰で着々と進む中国の海洋戦略」”. 日本国際フォーラム (2018年6月21日). 2023年4月3日閲覧。
  8. ^ a b 中国が南シナ海で空輸作戦、既成事実化狙い公表か”. Wall Street Journal (2021年9月25日). 2023年4月3日閲覧。

関連項目 編集