スポットライト 世紀のスクープ

スポットライト 世紀のスクープ』(スポットライト せいきのスクープ、原題:Spotlight)は、2015年のアメリカの伝記・犯罪・ドラマ映画。ジョシュ・シンガートム・マッカーシーが脚本を執筆し、マッカーシーが監督を務めた。映画は2003年にピューリッツァー賞を公益報道部門で受賞した『ボストン・グローブ』紙の報道に基づき、米国の新聞社の調査報道班として最も長い歴史を持つ[4]同紙「スポットライト」チームによる、ボストンとその周辺地域で蔓延していた[5]カトリック司祭による性的虐待事件に関する報道の顛末を描く。マーク・ラファロマイケル・キートンレイチェル・マクアダムスジョン・スラッテリースタンリー・トゥッチブライアン・ダーシー・ジェームズ英語版リーヴ・シュレイバービリー・クラダップらが出演している。

スポットライト 世紀のスクープ
Spotlight
監督 トム・マッカーシー
脚本 ジョシュ・シンガー
トム・マッカーシー
製作 マイケル・シュガー
スティーヴ・ゴリン
ニコール・ロックリン
バイル・ペイゴン・ファウスト
製作総指揮 ジェフ・スコール
ジョナサン・キング
ピエール・オミダイア
マイケル・ビーダーマン
バード・ドロス
トム・オーテンバーグ
ピーター・ローソン
ゼイヴィア・マーチャンド
出演者 マーク・ラファロ
マイケル・キートン
レイチェル・マクアダムス
リーヴ・シュレイバー
ジョン・スラッテリー
スタンリー・トゥッチ
音楽 ハワード・ショア
撮影 マサノブ・タカヤナギ
編集 トム・マカードル
製作会社 アノニマス・コンテント
ロックリン/ファウスト
パーティシパント・メディア
ファースト・ルック・メディア
配給 アメリカ合衆国の旗 オープン・ロード・フィルムズ
日本の旗 ロングライド
公開 アメリカ合衆国の旗 2015年11月6日
日本の旗 2016年4月15日
上映時間 129分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 2000万ドル[1]
興行収入 6335万ドル[2]
日本の旗 4億4000万円[3]
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本作は2015年、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション外部門で披露されたほか、テルライド映画祭トロント国際映画祭の特別招待部門でも上映された。北米ではオープン・ロード・フィルムズの配給で2015年11月6日に公開された。日本ではロングライドの配給で2016年4月15日に公開される予定。本作は数多くの組合賞や批評家賞を受賞したほか、様々な媒体によって2015年最良の映画の一つに挙げられた。第88回アカデミー賞では作品賞監督賞助演男優賞 (ラファロ)、助演女優賞 (マクアダムス)、脚本賞編集賞の6部門にノミネートされ、作品賞と脚本賞を受賞した。

目次

あらすじ編集

2001年マサチューセッツ州ボストンの日刊紙『ボストン・グローブ』はマーティ・バロンを新編集長として迎える。バロンは同紙の少数精鋭取材チーム「スポットライト」のウォルター・ロビンソンと会いゲーガン神父の子供への性的虐待事件をチームで調査し記事にするよう持ちかける。チームは進行中の調査を中断し取材に取り掛かるが様々な障害・妨害にあう。調査が佳境に差し掛かる頃、チームは9月11日を迎える。

キャスト編集

※括弧内は日本語吹替[6]

「スポットライト」班編集

その他編集

製作編集

シンガーとマッカーシーは2013年6月に脚本を完成させた[8]。この脚本は2013年の「ブラック・リスト英語版」に掲載された[9]

主要撮影は2014年9月24日にボストンで始まり[10]、続けて10月にはオンタリオ州ハミルトンに移った。撮影が行われた場所にはボストンのフェンウェイ・パーク[11]、『ボストン・グローブ』オフィス[12]ボストン公共図書館[13]、ハミルトンのマックマスター大学などがある[14]。編集には8か月を要した[15]

公開編集

北米では2015年11月6日に限定公開され、11月25日に拡大公開された[16]

映画は2000万ドルの製作費に対し、2016年3月までに北米で3929万ドル、その他の地域で2407万ドルの合計6335万ドルを売り上げている[2]。限定公開時のオープニング週末では5館から295,009ドルを売り上げ、1館あたり59,002ドルという高い平均成績を上げた[17]。拡大公開初週の週末興行ランキングでは8位に立った[18]

評価編集

Rotten Tomatoesは259件の批評に基づき、高評価の割合を96%、評価の平均を8.9/10、批評家の総意を「『スポットライト 世紀のスクープ』はその事実に基づく物語の恐ろしい細部を、主人公たちを持て囃したい誘惑に抗いながら丁寧になぞることで、被写体となった実在の人物と観客の両方に敬意を表するドラマを作り上げている」としている[19]Metacriticは45件の批評に基づき、93/100という「幅広い支持」の値を示している[20]

トロント国際映画祭の観客投票では3位だった[21]

カトリック教会の反応編集

バチカン放送のコメンテーターは映画を「誠実」「力強い」と讃え、『グローブ』紙の報道こそが米カトリック教会に「罪を完全に受け入れ、それを公に認め、すべての責任を取る」ことを促したのだと述べた[22]。ルカ・ペレグリーニはバチカン放送の電子版で映画を讃え、「ボストン大司教区のカトリック教会の基盤を崩壊に陥れたのは、テロ攻撃ではなく、とどまるところを知らない真実の力だった。事実、最も純粋な召命の形を示して見せたのは、紛れもなく『ボストン・グローブ』の数名の有能なジャーナリストたちである。その召命とは、事実を探し出し、情報源を調べ上げ、コミュニティと街のために自らを正義のパラディンとすることだった」と記した[22][23]。2016年2月には聖職者による性的虐待に関するバチカンの委員会で映画が上映された[24]。バチカンの日刊紙『オッセルヴァトーレ・ロマーノ』は本作のアカデミー作品賞受賞を受け、「反カトリック的な映画ではない」「同作は、敬虔な人々がこうした恐ろしい現実の発見に対峙したときの衝撃と絶大な痛みを表現することに成功している」とするコラムを掲載した[25]

批判編集

ボストン・グローブ』による報道に対する批判書を著しているデイヴィッド・F・ピエール・ジュニアは『ニューヨーク・タイムズ』の取材に応じ、「本作の最大の欠陥は、事件が明るみに出た際、教会の職員たちに虐待をする司祭たちは治療を経れば元の役職に戻っても安全だと請け合った心理学者たちを描くことに失敗している点だ」と述べた。オープン・ロード・フィルムズはこれに対し、「ピエール氏は虐待の事実から注意をそらすために神話を持続させようとしている」と反駁した[26]

ボストンカレッジ高校の理事で広報部長であるジャック・ダンは、ゲイリー・ガローンによって演じられた彼のキャラクターが事件の隠蔽に加担していたかのように描かれているとして本作を批判した。ダンは映画を鑑賞した上で、彼は現実には事件のことを知っていてすぐに対応に動いたと話した[27]。劇中にも登場する記者ウォルター・ロビンソンとサーシャ・ファイファーはこれに対して声明を発表し、ダンは取材当時「自身が広報を務める学校に最も都合よくなる形に話を当てはめた」「(劇中ダンが登場する唯一のシーンである) 2002年初頭に我々が初めて腰を下ろして取材したときには、広報として積極的にボストンカレッジ高校を擁護した」と反論した[28]

受賞とノミネート編集

映画賞 部門 対象 結果
2015 ヴェネチア国際映画祭 ブライアン賞 トム・マッカーシー 受賞
シルバーマウス賞 受賞
第19回ハリウッド映画賞 脚本賞 トム・マッカーシー
ジョシュ・シンガー
受賞
2016 第50回全米映画批評家協会賞[29] 作品賞 スポットライト 受賞
監督賞 トム・マッカーシー 受賞
全米脚本家組合賞 脚本賞 トム・マッカーシー
ジョシュ・シンガー
受賞
英国アカデミー賞 脚本賞 トム・マッカーシー
ジョシュ・シンガー
受賞
第73回ゴールデングローブ賞[30] 作品賞(ドラマ部門) スポットライト ノミネート
監督賞 トム・マッカーシー ノミネート
脚本賞 トム・マッカーシー
ジョシュ・シンガー
ノミネート
第31回インディペンデント・スピリット賞[31] 作品賞 受賞
監督賞 トム・マッカーシー 受賞
脚本賞 トム・マッカーシー
ジョシュ・シンガー
受賞
編集賞 トム・マカードル 受賞
アンサンブル賞(ロバート・アルトマン賞) 受賞
第88回アカデミー賞[32] 脚本賞 トム・マッカーシー
ジョシュ・シンガー
受賞
作品賞 スポットライト 受賞
編集賞 トム・マカードル ノミネート
助演男優賞 マーク・ラファロ ノミネート
助演女優賞 レイチェル・マクアダムス ノミネート
監督賞 トム・マッカーシー ノミネート
第29回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞[33] 外国作品賞 受賞
2017 第90回キネマ旬報ベスト・テン[34] 外国映画ベスト・テン 7位

参考文献編集

  1. ^ Yuan, Jada (2015年11月3日). “Watching the Watchers: Tom McCarthy on Making Spotlight”. Vulture. http://www.vulture.com/2015/11/tom-mccarthy-on-spotlight-oscars.html 2016年2月29日閲覧。 
  2. ^ a b Spotlight”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2016年3月3日閲覧。
  3. ^ キネマ旬報 2017年3月下旬号』p.43
  4. ^ Allen, Scott (2012年6月22日). “A distinguished history of digging up the truth”. ボストン・グローブ. http://www.bostonglobe.com/news/special-reports/2012/06/22/distinguished-history-digging-truth/koYXOjPVD3CfTuRBtp0ZnM/story.html 2016年2月29日閲覧。 
  5. ^ 映画の最後に同様の問題が発覚した他の地域名リストが表示される
  6. ^ スポットライト 世紀のスクープ Blu-ray”. 2016年7月8日閲覧。
  7. ^ 日テレ・青木源太アナ、洋画吹き替えに初挑戦 “鼻息”にこだわり”. 2016年9月18日閲覧。
  8. ^ Shanahan, Mark; Goldstein, Meredith (2014年8月19日). “‘Spotlight’ script tells the story of Globe series”. ボストン・グローブ. http://www.bostonglobe.com/lifestyle/names/2014/08/18/spotlight-script-tells-story-globe-series/qzgm5dd7ztbZdMjT146VSI/story.html 2016年2月29日閲覧。 
  9. ^ “Black List 2013: Full Screenplay List”. Deadline. (2013年12月16日). http://deadline.com/2013/12/2013-black-list-best-screenplays-full-list-653017/ 2016年2月29日閲覧。 
  10. ^ Juul, Matt (2014年9月24日). “Globe ‘Spotlight’ Movie Holding Open Casting Call”. Boston.com. http://www.boston.com/entertainment/2014/09/24/globe-spotlight-movie-hold-open-casting-call/AaOtsFA84me850w191FG6I/story.html 2016年2月29日閲覧。 
  11. ^ Shanahan, Mark; Goldstein, Meredith (2014年9月26日). “‘Spotlight’ filming at Fenway Park”. ボストン・グローブ. https://www.bostonglobe.com/lifestyle/names/2014/09/25/spotlight-about-globe-coverage-church-scandal-begins-filming-with-scene-fenway/QTRGxrrFE1uoApUtznwroJ/story.html 2016年2月29日閲覧。 
  12. ^ Shanahan, Mark; Goldstein, Meredith (2014年9月29日). “‘Spotlight’ films at The Boston Globe”. ボストン・グローブ. http://www.bostonglobe.com/lifestyle/names/2014/09/28/spotlight-films-the-boston-globe/tpRmmpfsWRrH3uY1p3hEKK/story.html 2016年2月29日閲覧。 
  13. ^ Shanahan, Mark; Goldstein, Meredith (2014年9月30日). “Rachel McAdams reporting for duty”. ボストン・グローブ. http://www.bostonglobe.com/lifestyle/names/2014/09/29/namesspotlight/dZj79qpRegZykaoxGxKzuJ/story.html 2016年2月29日閲覧。 
  14. ^ “Ruffalo, Tucci in Hamilton for Spotlight shoot”. CHCH (Channel Zero). (2014年10月7日). http://www.chch.com/ruffalo-tucci-hamilton-spotlight-shoot/ 2016年2月29日閲覧。 
  15. ^ “‘Spotlight’ Editor – Tom Mcardle – In Conversation”. Film Doctor. (2016年2月18日). https://filmdoctor.co.uk/2016/02/18/spotlight-editor-tom-mcardle-in-conversation/ 2016年2月29日閲覧。 
  16. ^ D'Alessandro, Anthony (2015年6月10日). “Michael Keaton-Mark Ruffalo Boston Globe Pic ‘Spotlight’ Finds A November Date”. Deadline. http://deadline.com/2015/06/michael-keaton-mark-ruffalo-spotlight-open-road-release-date-1201440774/ 2016年2月29日閲覧。 
  17. ^ D'Alessandro, Anthony (2015年11月9日). “‘Spectre’ $70.4M Opening: Still 2nd Highest 007 Debut Behind ‘Skyfall’, But Not That Far From ‘Quantum Of Solace’ – Monday AM”. Deadline. http://deadline.com/2015/11/spectre-the-peanuts-movie-james-bond-box-office-1201610575/ 2016年2月29日閲覧。 
  18. ^ D'Alessandro, Anthony (2015年11月29日). “Thanksgiving Box Office +12% Over 2014, Boosted By ‘Mockingjay 2’, ‘Good Dinosaur’ & ‘Creed’ – Sunday AM Final Update”. Deadline. http://deadline.com/2015/11/thanksgiving-box-office-hunger-games-mockingjay-creed-the-good-dinosaur-1201639941/ 2016年2月29日閲覧。 
  19. ^ Spotlight (2015)”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2016年2月29日閲覧。
  20. ^ Spotlight”. Metacritic. CBS Interactive. 2016年2月29日閲覧。
  21. ^ “Toronto International Film Festival Announces 2015 Award Winners” (PDF) (プレスリリース), トロント国際映画祭, http://s3.amazonaws.com/presscontent.tiff.net/docs/48vk20_Festival_Awards_2015__8877337_1442771061.pdf 2016年2月29日閲覧。 
  22. ^ a b Allen Jr., John L. (2015年10月23日). “Vatican Radio praises movie on Boston Globe coverage of clergy abuse”. Crux (Boston Globe Media). http://www.cruxnow.com/life/2015/10/23/vatican-radio-praises-movie-on-boston-globe-coverage-of-clergy-abuse/ 2016年2月29日閲覧。 
  23. ^ Pellegrini, Luca (2015年9月4日). “A Venezia il film sulla pedofilia nella diocesi di Boston”. バチカン放送. http://it.radiovaticana.va/news/2015/09/04/venezia_lo_scandalo_della_pedofilia_nella_diocesi_di_boston/1169430 2016年2月29日閲覧。 
  24. ^ Kington, Tom (2016年2月4日). “Vatican panel kicks off meeting on sexual abuse by watching 'Spotlight'”. ロサンゼルス・タイムズ. http://www.latimes.com/world/europe/la-fg-italy-vatican-spotlight-20160204-story.html 2016年2月29日閲覧。 
  25. ^ Scaraffia, Lucetta (2016年2月29日). “It’s not an anti-Catholic film”. オッセルヴァトーレ・ロマーノ. http://www.osservatoreromano.va/en/news/its-not-anti-catholic-film 2016年3月3日閲覧。 
  26. ^ Cielpy, Michael; Barnes, Brooks (2016年1月7日). ニューヨーク・タイムズ 
  27. ^ Muldoon, Tim (2015年11月27日). ““Spotlight” Reveals Sexual Abuse, But Misrepresents a Good Man”. Aleteia. http://aleteia.org/2015/11/27/spotlight-reveals-sexual-abuse-but-misrepresents-a-good-man/ 2016年2月29日閲覧。 
  28. ^ Encarnacao, Jack (2015年11月26日). “Globe reporters defend portrayal of Jack Dunn in movie”. Boston Herald. http://www.bostonherald.com/entertainment/movies/2015/11/globe_reporters_defend_portrayal_of_jack_dunn_in_movie 2015年11月30日閲覧。 
  29. ^ Awards for 2015 films by NSFC on January 3, 2016”. 全米映画批評家協会 (2016年1月3日). 2016年2月28日閲覧。
  30. ^ ゴールデングローブ賞「キャロル」が最多ノミネート、坂本龍一は作曲賞候補に”. 映画ナタリー (2015年12月11日). 2016年2月28日閲覧。
  31. ^ 米インディペンデント・スピリット賞、「スポットライト」が作品賞含む5冠”. 映画.com (2016年2月29日). 2016年3月1日閲覧。
  32. ^ アカデミー賞ノミネーション発表、「レヴェナント」12部門、「マッドマックス」10部門”. 映画ナタリー (2016年1月15日). 2016年2月28日閲覧。
  33. ^ “外国作品賞「スポットライト」/映画大賞”. 日刊スポーツ. (2016年12月6日). http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1748201.html 2016年12月6日閲覧。 
  34. ^ “キネマ旬報ベスト・テン決定、「この世界の片隅に」「ハドソン川の奇跡」が1位に”. 映画ナタリー. (2017年1月10日). http://natalie.mu/eiga/news/216247 2017年1月10日閲覧。 

関連項目編集

外部リンク編集