WZ-7 (航空機)

中華人民解放空軍が運用する高高度長時間滞空無人航空機(無人偵察機)

WZ-7
(Soaring Dragon/翔龙)

中国珠海航空ショーで撮影されたWZ-7 翔竜

中国珠海航空ショーで撮影されたWZ-7 翔竜

  • 用途:高高度長時間滞空無人航空機(HALE)
  • 設計者:成都飛機設計研究所
  • 製造者:貴州航空工業集団有限責任公司
  • 運用者中国人民解放軍空軍
  • 運用状況:現役

貴州 WZ-7 翔竜簡体字:贵州 无侦-7 翔龙、英語表記:Guizhou WZ-7 Soaring Dragon)は、中華人民共和国の成都飛機設計研究所が設計し、 貴州航空工業集団有限責任公司が生産する高高度長時間滞空無人航空機(HALE)[1]。日本のメディア報道では形式番号の「WZ-7[2](WZ7)[3] や「無偵7[4]と紹介された。

『翔竜』イメージ図

GJ-1 翼竜GJ-11 利剣などの無人航空機とは異なり、アメリカ合衆国RQ-4 グローバルホークに相当する純粋な偵察機だが[5]対艦弾道ミサイル巡航ミサイルを標的に誘導する能力もあるとされる[6][7]

開発

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2006年珠海エアショーで模型が初公開された[8]。模型には成都飛機設計研究所の略であるCADI(簡体字:成都飞机设计研究所、英語表記:Chengdu Aircraft Design Institute)のロゴがマーキングされており、同研究所が設計にかかわったことが示唆されている。

2011年に中国人民解放軍空軍のラウンデルがマーキングされた黒塗りの塗装の技術実証機(原型機)の写真がインターネット上に掲載され[9]2013年には技術実証機の特徴であった尾翼の結合翼をV字尾翼にするなどの改良をされた機体「EA-03」の動画が撮影された[10]

運用歴

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2023年1月、航空自衛隊によって撮影されたWZ-7

2017年チベット自治区シガツェ空港で配備された[11]

2019年7月、台湾海峡を通過したアメリカ海軍タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦アンティータムを監視する任務で初めて運用された[12]

2023年1月、沖縄県沖縄本島宮古島の間を通過した。航空自衛隊が領空侵犯対応で同機種を確認したのは初めて。[13]

2024年3月26日、大陸方面から飛来し、日本海を飛行していることが確認された[14]。防衛省が公開する範囲において、中国の無人機が日本海を飛行していることが明らかになったのは今回が初めてである[15]

2024年4月20日、フィリピン近くの南シナ海において、WZ-7の飛行が確認された[16]

2024年6月26日、鹿児島・奄美大島沖での飛行が確認された[17]

機体

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主翼は高アスペクト比の後退翼低翼配置となっている。主翼翌端にウイングレットが取り付けられている。水平尾翼は主翼の付け根から翌端に向かっておよそ三分の二の位置で接続する結合翼を採用している。ランディンギアは引込み前輪式である[5]

エンジン

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ターボファンエンジン1基。型式不明。ドーサルインテークを採用している[5]

ミッション・ペイロード

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おそらく監視および照準用センサーを搭載していると思われる[5]

誘導・管制

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詳細は不明。機種上面のバルジ部に衛星通信アンテナを搭載[5]

運用者

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スペック

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  • 全長:14.0m
  • 全高:5.4m
  • 全幅:23.0m
  • 最大離陸重量:7,500kg
  • ペイロード:650kg
  • 運用高度:18,000m
  • 巡航速度:750km/h
  • 航続距離:7,000km

出典

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  1. ^ 平成30年版防衛白書第I部わが国を取り巻く安全保障環境”. 防衛省 (2016年). 2019年9月30日閲覧。
  2. ^ Tadayuki YOSHIKAWA (2022年). “中国の無人偵察機、沖縄に2日連続飛来 空自がスクランブル”. Aviation Wire. 2022年1月3日閲覧。
  3. ^ 中国軍の無人偵察機「WZ7」、沖縄周辺を飛行…空自機がスクランブル”. 読売新聞オンライン (2022年). 2022年1月3日閲覧。
  4. ^ 中国軍無人機が太平洋往復 初確認の機種、沖縄-宮古間”. 日本経済新聞 (2022年). 2022年1月3日閲覧。
  5. ^ a b c d e IHS Jane's All The World's Aircraft:Unmanned 2015-2016, IHS, 2015, pp. 26-27
  6. ^ Newdick, Thomas (编). World News: China's Soar Eagle UAV revealed. Combat Aircraft (Hersham, Surrey, UK: Ian Allan Publishing). September 2011, 12 (9): 30. ISSN 2041-7489.
  7. ^ 央視官方頻道-新武器迅猛革新
  8. ^ 组图:中国高空无人侦察机“翔龙”. 人民网. 2006-11-02
  9. ^ 海外メディア、無人機「翔竜」を楽観視 中国版グローバルホーク”. 中国網 (2011年7月15日). 2019年10月16日閲覧。
  10. ^ New Chinese Drone Unveiled in Video”. ニューヨーク・タイムズ (2013年11月6日). 2019年10月16日閲覧。
  11. ^ 中国の大型無人機「翔龍」号、高原に進駐か”. 中国網 (2017年10月9日). 2019年10月16日閲覧。
  12. ^ Axe, David (29 July 2019). "China's Giant Spy Drone Just Tailed a U.S. Navy Cruiser". National Interest.
  13. ^ 2023年1月1日 公表 中国軍機の動向について(WZ-7)”. 防衛省統合幕僚監部. 2023年1月2日閲覧。
  14. ^ 中国軍機の動向について”. 統合幕僚監部 (2024年3月26日). 2024年3月28日閲覧。
  15. ^ 中国軍の無人機、日本海を飛行 空自がスクランブル”. 東京新聞 (2024年3月26日). 2024年3月28日閲覧。
  16. ^ Chinese WZ-7 Soaring Dragon Hovers Near Philippines Ahead Of BrahMos Delivery, Balikatan Drills With USA”. The EurAsian Times (2024年4月20日). 2024年4月22日閲覧。
  17. ^ 中国の偵察型無人機「WZ7」が鹿児島・奄美大島沖に飛来 領空への侵入なし 鹿児島県”. 2024年6月29日閲覧。

参考文献

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  • Martin Streetly (2015). IHS Jane's All The World's Aircraft:Unmanned 2015-2016. IHS. ISBN 978-0710631381